心の中のサンタクロース
オレンジ色の顔に笑顔をたたえたハロウィーンのカボチャが東京の街から姿を消すと共に、たくさんの願いが込められた赤と緑のクリスマスツリーが登場して、次の楽しいイベントの到来を示している。「今年のクリスマスのプレゼントは?」――これこそが、黙々と仕事に励む大人にとっても、歓迎する子供たちにとっても、いつも頭を離れない一番の気になるテーマだ。
日本の子供たちは物心がつくと、いい子にしていないとクリスマスにサンタクロースから期待したプレゼントがもらえないということを教えこまれる。中国とは違って、彼らの大部分は小学校に上がって、場合によっては中学生になってからようやく、友達との論議の中でサンタクロースの存在に疑いを持つようになる。そうなるまでは、毎年年末になると、煙突から入ってくる、決して会うことのできないおじいさんに対してまじめに手紙を書き、飴やクッキーなどを準備するのが当然のことと考え、自分の衣食を削ってまでも全力で子供たちの願いを聞き届けたいと願う両親たちは、彼らがプレゼントをもらって喜ぶ姿を見て、満面に幸福の笑みを浮かべるのである。
ある有名な教育機関の調査によれば、今でもサンタクロースの存在をまじめに信じている日本の子供は約80%いるのだそうで、景気が悪化してもこの信仰の堅さは微動だにしないという。一方、四苦八苦する両親たちは、サンタクロースの役割を演じる中で「馬脚」を現さないように、あるいは大きくなった子供たちの疑惑に抵抗するために、苦労を重ねて頭をしぼる。
幸いなことに、メディアがこの問題では大いに助けになっている。新聞、雑誌、ネット、テレビなどによって、我々には北欧に「サンタクロース協会」があることが伝えられている。日本にも公認のサンタクロースがおり、ラップランドにはサンタクロースに手紙を出す時の住所が存在し、気持ちのこもった返事までもらえるのだ。そこで抜け目のない両親たちは、サンタクロースの名前をかたって子供に伝える。「サンタクロースのプレゼントは小さな子供たちだけに来るの。もう10歳になったのだから、これからはお父さんとお母さんにプレゼントを頼みなさい。」こうして彼らは、深夜に子供たちの枕元にプレゼントを置きに行く面倒を免れるのである。
それにしても、こんなにたくさんの子供たちが依然としてサンタクロースの存在を信じているとは、小さな地球の上のできごととして、なかなかすばらしいことではないだろうか。もともとクリスマスプレゼントは、特定の人物のために準備するものではなかった。雪ぞりに乗って空からプレゼントを撒くという行為は、愛や幸福や夢の実現を祈る過程なのである。この話は、神話の世界から現実社会に投げかけられた、間違いを指摘する一筋の光であるかもしれない。だが、子供たちは成長するにしたがって自分でそれを理解していくに違いない。やはり真相解明の権利は、子供たち自身に与えておいたほうがいいだろう。
心の中に愛があれば、この世の中の誰もがサンタクロースになれる。お父さん、今年もサンタクロースの「コスプレ」をするのを、荷が重いと感じていますか?子供たちの純真さとまじめさのために、日本のお父さん、お母さん、がんばってください! |