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タイトル:Daily Drama Express 2008/11/03 イノセント・ラブ (3)  2008/11/05


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/11/03 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル イノセント・ラブ
局  名 フジテレビ系
放映日時 月曜21時
キャスト 秋山佳音(堀北真希)
 長崎殉也(北川悠二)
 桜井美月(香椎由宇)
 秋山耀司(福士誠治)
 瀬川昴 (成宮寛貴)
 浅野聖花(内田有紀)
 義道神父(内藤剛志)
 池田次郎(豊原功補)
主題歌
脚  本 浅野妙子
主題歌   宇多田ヒカル『Eternally - Drama Mix -』

あらすじ 第3話「引き裂かれた絆」

 週末、佳音(かのん)(堀北真希)はこれまでと同じように殉也
(北川悠仁)の家にやって来た。殉也はちょうど出かけるところで
「あとよろしくね」とにこやかに言って出て行った。佳音も笑顔で送
り出したが、内心は複雑だった。

 あの女の人は誰なんだろう、気にしながら掃除をしていたら、棚か
らアルバムが落ちてきた。佳音は何気なくめくってみた。そしてわか
った。あの女の人はあの人を心から笑わせて人だと。アルバムには殉
也と幸せそうな表情で写った聖花(きよか)(内田有紀)がいた。

 殉也は医師を呼んで聖花を検査してもらった。
「残念ですが、変わりありません」
「えっ、でも……」
「表情が変化したと言うのでしょう?」
 医師は殉也の言いたいことを察して言った。そういうことはよくあ
る。だが、それは本人の意識とはまったく関係のない現象だと医師は
説明した。
「じゃあ今後は?」
 呆然となった殉也の代わりに昴(すばる)(成宮寛貴)が尋ねた。
医師は多くを説明しなかった。聖花は依然危険な状態で、生命維持装
置が止まったら数分以内に死ぬことになる状態だとだけ、淡々と話し
た。

 その日義道神父(内藤剛志)の教会で少年少女聖歌隊の指導をした
後、殉也は美月(香椎由宇)に誘われて義道神父と一緒に食事をした。
義道神父も殉也のこれからを案じていた。教会や日曜学校に奉仕して
くれるのはありがたいが、もっと自分のことを考えてもいいのではな
いかと神父は話した。
「あっ、でも今度福島でパイプオルガンの修理の仕事もありますし、
ちゃんと自分のこともしていますよ」殉也は義道神父を安心させよう
とそんな話をした。

 殉也は美月といっしょに帰った。
「あたし、福島に行っちゃおうかな?」
 美月がいたずらっぽく言った。パイプオルガンの修理の手伝いをし
たいということだ。
「うん、いいよ」
 殉也は答えた。
「調子悪いんでしょ。あたしの言ったことに素直に返事をするときは
いつもそう。聖花さんの調子が悪いの?」
「いや違うよ。ただあいつが笑うんだ。医者は無意識の反射だって言
うんだけど、俺はそうは思わない。あいつは愛想笑いしない女だから」
 その瞬間美月は目を怒らせた。聖花が快方に向かっていると知って
心中穏やかであるはずがない。

 佳音は夜遅くまで殉也の家に滞在し、掃除を続けていた。すると突
然奥の部屋から物音がした。佳音は気になったが、殉也との約束があ
るからと気にしないようにした。しかしまた物音が立った。佳音は親
切心から奥の部屋の様子を見ようと歩いて行ってドアノブに手をかけ
ようとした。
「あれ、こんな時間まで掃除してたの?」
 戻ってきた殉也に不意に声をかけられて、佳音は慌てた。
「細かいところが気になってしまって」
「そうなんだ。じゃあ延長料金払うよ」
「いいんです、好きでしていたことですから」
 佳音は急ぎ足で出て行った。殉也は後と追うとしたが、そのとき部
屋の中から非常事態を告げるアラームが鳴り響いた。
「聖花!」
 殉也は慌てて部屋の中に入った。見ると生命維持装置のチューブが
外れている。殉也は慌ててチューブをつなぎなおした。

「あの子がやったと思うのか?」
 殉也の話を聞いて昴は聞き返した。
「聖花がやったと思うのは変かな。もしも聖花には何もかもわかって
いたとしたら……」
 殉也にはいつまでたっても合点がいかないことがあった。3年前の
結婚式の日、聖花は睡眠薬を誤って大量に飲んで意識不明になった。
でも殉也には聖花が自殺を図ったんじゃないかという疑念が離れなか
った。
「ありえない。愛する男と結婚する日になんで自殺するんだよ」
 昴は即座に否定した。だが、殉也は納得することができなかった。

 佳音は耀司(福士誠治)の就職先を探していた。勤め先が見つかれ
ば仮釈放が早まると保護司から話があったのだ。だが、本人が来ない
のは論外と追い返されるばかりだった。佳音は覚悟を決め、耀司が刑
務所にいること、勤め先が決まらないと釈放されないことをすべて打
ち明け頭を下げた。そしてようやく小さな自動車整備工場に働き口を
見つけた。

 お兄ちゃん、喜んでください。仮釈放された後の勤め先が決まりま
した。もうすぐ一緒に暮らせるね、がんばろうね!お兄ちゃん!!

 だが数日後、佳音は内定取り消しの電話を受けてしまった。佳音は
仕方なく長野に所有している土地を売ることにした。そうすれば当座
の生活はどうにかなるから耀司の仮釈放も認められるだろうと佳音は
思ったのだ。そこで土地を見に長野へと足を運んだが、そこには「親
殺し」「出て行け」と書かれたボードや粗大ごみが山積みにされてい
て、佳音の心を痛めつけた。

 追い討ちをかけるように殉也がもう掃除に来なくていいと言って来
た。どうして?と尋ねても殉也は訳を話そうとはしなかった。佳音は
反射的に思った。殉也も自分の兄のことを知ってほかの人と同じよう
な冷たい目で見ているのだと。

 正直なところ殉也は迷っていた。
「なあ聖花、チューブをはずしたのはお前なの?」
 殉也は話しかけるが、もちろん答えは得られない。だが、殉也は気
づかなかったが、殉也の問いかけに聖花の手がかすかに動いてい
た……。

 佳音は池田(豊原功補)の訪問を受けた。また耀司のことを聞かせ
て欲しいという。耀司の生い立ちや家族のこと。1つ1つ佳音は答え
た。耀司が両親と仲が悪かったことを尋ねられるとそれは違うときっ
ぱり言った。池田は事件当日のことを尋ねた。佳音は答えようとした
が、突然呼吸が乱れてきた。あの日何があったのか、佳音は思い出そ
うとしてもなぜか思い出せない。一緒にクリスマスケーキのろうそく
の火を消して、それから……。そのとき突然眠っていた自分の掛けぶ
とんがはがされ、悲鳴をあげた自分の姿が浮かんできた。佳音はそれ
が何なのかわからず困惑した。
「すいません、ちょっと疲れちゃって」
 佳音は苦しげに答えた。

 それから少しして耀司に面会に行った佳音は事件のころのことの記
憶がないことを相談した。だが、耀司は池田にはもう会うなと言った。
「でもあの人はお兄ちゃんの無実を晴らしたいって」
 佳音は耀司に言ったが、耀司は急に声を荒げた。
「マスコミは自分の書きたいことしか書きはしない。俺はお前さえ信
じてくれればそれでいいんだ!」
 唐突な兄の反応に佳音は驚いた。耀司も我に返り、話題を変えた。
「好きな人とはそれからどうだ?」
「あれは、だめになったんだ。というか、元から私じゃダメだったん
だよ」
 悲しそうな目をする佳音を見て、耀司は言った。
「お前がダメなことはない。そいつがダメなんだよ」
 佳音を励ますつもりで言ったが、今度は佳音が大声をあげた。
「そうじゃない、ダメになるのは、お兄ちゃんのせいだよ!」
 いくら一生懸命になっても、兄が殺人犯とわかると冷たい目を向け
られる。そのせいで殉也も……。そう思うと今まで抑えていたものが
一気に噴出してしまった。
「ご、ごめん。今のは嘘だよ、気にしないで」
 慌てて訂正したものの、耀司はうつむいて黙り込み、後味の悪さだ
けが残ってしまった。

 殉也は昴に後のことを頼むと、美月と一緒に福島へと向かうため夜
行バスの駅に行った。バスを待っているとき、美月が不意に切り出し
た。
「聖書には大きな罪を抱えたまま死ぬと地獄に落ちるって書かれてい
るけど、本当かな?」
「ん?」
「もしそうならあたしは間違いなく地獄行きだな」
「そんな大きな罪があるの?」
 殉也はあまり深刻に受け止めなかった。
「聖花さんが死ねばいいって思ってるの」
 殉也は驚いて美月を見た。美月は冷ややかな笑みを浮かべていた。
「あの人は殉ちゃんを苦しめているだけじゃない」
「……」
 思いがけない話に殉也は何も言えなくなった。
「ごめん、あたし先に車内にいるね」
 美月は立ち上がった。
 殉也は不安になって携帯から聖花の部屋へとアクセスした。聖花の
部屋にはカメラが取り付けられていた。だが、「カメラの電源がつい
ていません」というメッセージが返ってきた。驚いた殉也はすぐさま
家に戻った。

 そのころ、佳音は殉也の家の前を通りかかった。すると突然昴が憔
悴しきったような表情で駆け出してくるのが見えた。何か異変めいた
ものを感じた佳音は殉也の家に入った。すると奥の部屋から「キーン」
という妙な音が聞こえてきた。

 佳音は恐る恐る部屋の中に入った。佳音の目に映ったのは目を開い
たまま微動だにしない聖花、そのそばにはずされたチューブだった。
事態をよく飲み込めはしなかったが、佳音は直感的にチューブをつな
ぎなおさなくてはいけないと感じ、動揺する気持ちを抑えながらチュ
ーブをつなぎ、そばの生命時装置のボタンを押した。
「やめな」
 突然背後に声がした。振り向くと昴がいた。
「何も見なかったことにして出て行くんだ」
 昴は恐ろしい目つきをしていた。
「この人はあの人の大事な人なんでしょ?」
 佳音は昴を無視して機器を操作し続けようとした。
「止めるんだ!」
 昴は佳音を突き飛ばした。そこへ殉也が入ってきた。生命維持装置
が非常事態を告げるアラームを鳴らした。
「聖花!」
 殉也は聖花に駆け寄った。そんな殉也を見た昴は生命維持装置に駆
け寄り機器の電源を入れなおした。少しして聖花の容態は安定した。
 殉也は胸をなでおろしたが、次の瞬間憎しみのこもった目で佳音を
にらみつけた。佳音は何も言えず逃げ出した。殉也はすぐ追いかけよ
うとしたが、昴が止めた。
「やったのは、俺だよ」
「どうして!」
「お前のために決まっているじゃないか。お前の人生がこの女に食い
つぶされるのを見てられないんだ」
 昴の言葉に殉也は裏切られたような思いだったが、自分のしている
ことが昴だけでなく、美月や義道神父とか多くの人にそう思わせると
いうことを思い知らされずにはいられなかった。

 殉也は佳音のあとを追いかけ、謝った。
「疑ってごめん。前にも似たようなことがあって、それが君じゃない
かと思ってしまって」
 そして聖花のことを話し始めた。聖花は自分の婚約者で、医者には
見込みがないと言われているけど、自分はきっと回復すると思ってい
るということを。
「馬鹿みたいと思うことはある。でも彼女のいない人生はありえない。
彼女なしでは幸せになんかなれないんだ!」
 殉也は思いのたけを吐き出した。佳音はそれを驚いた風に見ていた
が、やがてゆっくり近づくとそっと殉也の手をとった。
「だったら私も祈ります。いつかあの人が目覚めるように」
 佳音は目に涙を浮かべていたが、穏やかな口調で殉也を見つめた。

 次の週末佳音が殉也の家に行くと、聖花は車椅子に乗って日の当た
る窓辺にいた。驚いた佳音を見て殉也は言った。
「今日は天気がいいから聖花にも見せてあげようと思ってね」
 殉也はにっこりしてカサブランカの花束を聖花の傍に置いた。
「聖花の好きな花なんだ」
 そんな殉也の様子を見て、佳音はなんだか自分のことのように嬉し
くなった。

 殉也は佳音が駅の清掃をしていると聞いて、大変に思い、自分がア
ルバイトしている喫茶店のウェイトレスの仕事を紹介した。
「いいんですか?ありがとうございます」
 佳音は感謝した。

 こうしてまた明るい見通しが立ってきたところに保護司から耀司の
仮釈放が決まったと言う連絡が入った。保護司がつてを頼ってある鉄
工所の職を斡旋してくれたのだ。

 佳音は長野少年刑務所に耀司を迎えにいった。耀司はにこやかな表
情で出てきた。佳音は耀司を横浜の自分の部屋に連れて行くことにし
た。耀司は終始穏やかな様子で佳音も安心していたが、耀司は佳音の
いないところで、池田に電話し「妹に近づくな。これ以上付きまとう
と殺す」と脅迫した。

 そして佳音の部屋に着くと、目ざとく殉也と佳音が写っている写真
を見つけ、そばにある慰問コンサートのパンフレットに目を通した。
「佳音、ちょっとそのへんを1人でぶらぶらしてみたい」
「そう。じゃあ夕食ができるころに帰ってきて」
 佳音は笑顔で耀司を送り出した。

 お兄ちゃん、あたしは祈ってました。大好きなあの人がいつも笑顔
でいられますように。神様、どうか私の小さな幸せを奪わないでくだ
さい、と。

 耀司はパンフレットに書かれた教会にやって来た。そしてオルガン
伴奏をする殉也を瞬きもせず鋭い目つきで見据えていた。


寸  評  聖花を取り巻く人々、殉也、美月、昴のそれぞれの思いが強く出
ていて、見ごたえのある回だったと思いました。しかしそのせいで、
佳音抜きでストーリーが成り立ってしまうのではないかと思えてしま
いました。殉也の一途な思い、美月の憎しみ、昴の友情、それぞれ相
手を思いやっているのと自分のわがままな思いの葛藤が人間の本性と
いうものを映し出しているように見えるのです。一方佳音は殉也に対
して「一緒に祈ります」と健気に言っていて、その裏表ない純粋さは
すばらしいと思うのですが、人間味というものは弱くなってしまい、
存在感がいま一つになっていると思えます。佳音がキリスト教に深く
帰依しているような設定があれば殉也のために祈るというセリフがも
う少し自然になったように思いますが。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 『流星の絆』、クドカンの手にかかるとまったく違う雰囲気に作り変えられ
て面白いです。クドカンの脚本はセリフの言い回しが巧妙だと思います。テン
ポもいいし、表現も秀逸だし、やはりすごいなあと改めて実感しています。
(けん)

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発行元:ドラマ研究会
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