|
===================================================== 発行部数 26 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ ☆☆ 2008/10/27 (Mon) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 1.月曜日の連続ドラマ 2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1. 月曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル イノセント・ラブ 局 名 フジテレビ系 放映日時 月曜21時 キャスト 秋山佳音(堀北真希) 長崎殉也(北川悠二) 桜井美月(香椎由宇) 秋山耀司(福士誠治) 瀬川昴 (成宮寛貴) 浅野聖花(内田有紀) 義道神父(内藤剛志) 池田次郎(豊原功補) 主題歌 脚 本 浅野妙子 主題歌 宇多田ヒカル『Eternally - Drama Mix -』 あらすじ 第2話「衝撃の一夜」 殉也(北川悠仁)は聖花(きよか)(内田有紀)の傍に一晩付き添 った。翌朝玄関に出ると佳音(かのん)(堀北真希)がそっと置いて いったプレゼントの紙袋を見つけた。不思議に思いつつ中を見るとグ ランドピアノのオルゴールが入っている。 誰からだろう?殉也は思い当たる節がまったくなかったが、そのま ま部屋のグランドピアノの傍らに置いた。 佳音は「山田加奈子」と名前を変えて新しい清掃会社に応募し採用 された。前と違い駅構内など外の場所も多くきつかったが、佳音は不 満を抱くことはなかった。 医師が殉也を訪れ、聖花を診察した。 「以前と変わりません。自発呼吸も弱いですし、不安定なままです。 急変したらすぐ連絡してください」 医師の淡々とした口調に、予想していたこととはいえ殉也の落胆は 大きかった。 佳音は仕事に行く途中、殉也の家を通りかかった。塀の柵から窓の 内側を伺うとちょうど殉也が何かを持って入ってきた。おそるおそる 殉也を見つめる佳音の耳にオルゴールの音色が響いてきた。佳音は殉 也が手にしているのが自分の贈ったグランドピアノのオルゴールだと 知って嬉しさがこみ上げ、思わず笑顔になった。彼にちゃんと届いた、 それだけで幸せを感じる佳音だった。 殉也のもとに昴(すばる)(成宮寛貴)が花束を抱えてやって来た。 聖花の見舞いだった。殉也は聖花のいる部屋に昴だけは通していた。 「聖花、メリークリスマス」 昴は聖花の手をとり、無反応の聖花にささやいた。昴の表情はどこ となく息苦しいものだった。 「昴、来週の土曜聖歌隊の慰問コンサートがあるんだ。悪いけど1日 聖花を見ててくれないかな」 「別にいいよ」 昴は快く受け容れた。 「あれから3年か。聖花、きれいなままだな。きっとお前に愛されて いるからだ」 コーヒーを入れてくれている殉也に昴は言った。だが殉也は思いつ めたような表情で答えた。 「俺は聖花を愛しているのかな?身体はここにあっても、心がここに ないとしたら、俺は聖花の何を愛しているのだろう……」 思い悩む殉也を見て、昴はなんと答えていいのかわからなかった。 そこへ美月(香椎由宇)が慰問コンサートの譜面を届けてきた。 「ありがとう」 殉也は笑顔で受け取ったが、それ以上は何か言いづらそうな顔をし た。 「あっ、私はこれで帰るから」 自分を家にあげれば聖花に合わせなくてはならなくなるのを殉也が 嫌がっているのを美月はよくわかっていた。だからそう答えると殉也 はどこかホッとしたような顔をした。 「じゃあ俺も帰るから」 美月をフォローするかのように昴が言った。 「なんであんなに一生懸命面倒見れるのかなあ。もう3年でしょ?殉 ちゃんのこれからを思うとなんだか心配だなあ」 美月は殉也がなぜそこまで一途になれるのかがわからなかった。 「俺もそう思うよ」 「どんな人だったんですか、聖花さんて」 殉也は聖花のことを美月に何も話そうとしなかった。 「うーん、聖花はそんなにいい女じゃなかったよ。優しくもなかった し、いい奥さんになるようなタイプじゃなかった。でもそういう女だ からこそ好きになることもあるんだろうな」 昴はそんな風に美月の疑問に答えた。けれど美月はますます納得が いかなくなってしまった。 美月はそのまま教会の懺悔室に行った。 「今日私は罪を犯しました。ある人の死を心から希いました。その気 持ちがどうしても消えません」 佳音は弁護士事務所を訪れ、耀司(福士誠治)の弁護を依頼した。 けれど証拠不十分で確実に負けると言われてひどく落ち込むばかりだ った。明るい未来が見えないままにただ過ぎていく日々に佳音の心は 折れてしまいそうだった。 そんなとき、佳音はある駅のホームで殉也を見かけて思わず「あっ」 と言いそうになった。 お兄ちゃん元気ですか?私は元気です。毎日が楽しいです。好きな 人がいる、ただそれだけで、好きな人がこの街にいる、ただそれだけ で……。こんにちはって声をかければいいってお兄ちゃんは思います か?でもあの人が私の本当のことを知ってしまったら、他の人と同じ ように私から離れていくでしょう。だからこれでいいんです。あの人 を遠くから見つめている、ただそれだけで…… 自然と殉也の後を追い、ある喫茶店の前で殉也が落としたハンカチ を拾って店内に入ったものの、声をかけるのが恐くなる佳音だった。 でも遠くから見つめていられるだけで佳音は元気付けられて満足だっ た。 池田(豊原功輔)が耀司に面会を求めてきた。怪訝な表情で面会場 に現れた耀司に池田は愛想笑いを浮かべた。 「僕は君を助けたいと思っている。反省して罪を認めれば仮釈放も近 くなるんだろう?」 「悪いことをしたと言えということですか。それはできません」 「どうして?」 「悪いことは何もしてないからです」 「君は……」 池田は事情を整理しだした。事件当時耀司は両親を殺したと自白し たが、裁判では一転して何もしていないと反論していた。 「僕はこの事件には深い事情があると思っている」 池田は畳み掛けるように続けた。両親を殺した後証拠を消すために 灯油をまき、家を火事にしたと。 だが耀司は顔色一つ変えなかった。 「目がさめたときに両親はすでに死んでいました。灯油をまいたのは 2人の無残な姿を妹に見せたくなかったからです」 「じゃあ誰が殺したんだろう?」 池田は疑りぶかく耀司を見つめた。両親が刺されたナイフからは耀 司の指紋が検出されていた。状況証拠からは耀司が殺したとしか言い ようがなかった。 「僕は、やっていません」 それでも耀司は淡々と無実であることを繰り返すだけだった。 ハンカチを返そうと行くと、佳音は春江(宮崎美子)が慌しく出て 行くのを見た。また父親の介護で呼び出されたのだろう。ということ は今殉也は留守……。佳音は知らず知らず階段を登りドアノブに手を かけていた。 テーブルにハンカチをそっと置いてニコリとすると、佳音は散らば った楽譜などを手際よく整理し始めた。するとグランドピアノのとこ ろに自分が贈ったグランドピアノのオルゴールが目に留まった。それ を取り上げて、やさしく磨いた。 突然奥のほうから物音がした。佳音は驚いて奥の部屋の様子を見に 行った。するとドアが開いて昴が出てきた。佳音を見た昴は驚き、不 審な目を向けた。 「君、誰?何してんの?」 昴に詰問された佳音は恐くなって逃げ出した。ところがちょうど殉 也が戻ってきたところに鉢合わせてしまった。 「君、どうしてここにいるの?」 殉也は驚き、顔を強張らせた。佳音は何か言わなくてはと思ったが、 ことばが出てこない。昴がやって来て、佳音の手を掴んだ。 「殉也、何もとられてないか見て!」 「あっ、ああ」 困惑しながら殉也が部屋の中を見渡したが、取られた形跡はなかっ た。ただグランドピアノのオルゴールが動かされていた。 「これを動かしたのも君なの?」 殉也は佳音の意図を測りかねて困った顔をした。 「警察呼ぼう」 昴が言った。佳音は動転し、昴の手を振り払い逃げた。 「一度写真を撮ったんだ、いっしょに」 殉也は昴に佳音のことを話した。 「それ、完全に女ストーカーだよ」 昴は呆れた風に言った。 「でもよかったよ、あの部屋のドア開けられなくて」 昴は聖花の部屋に戻って、聖花の様子を見た。 「お、おい、殉也」 驚いた昴の声を聞いて殉也が来た。 「聖花……笑ってる」 見ると、ずっと無表情だった聖花がうっすらと微笑んでいた。 「聖花、聖花!」 殉也はたまらなくなって聖花にすがりつくようにして呼びかけたが、 聖花は反応しない。それでも聖花に呼びかける殉也を見て、昴もまた たまらなくなった。 その晩、佳音は一晩中泣いた。ほんの出来心からとりかえしのつか ないことをしてしまった。たった1つの幸せが壊れてしまったのだ。 佳音は泣きながら殉也と撮った写真を破った。 佳音は仕事を休んで長野少年刑務所に耀司に面会しに行った。だが 耀司は風邪なので会えないと言われてしまった。殉也に嫌われ、兄に 冷たくされ、佳音は希望を失った。うつろな眼差しで1人寂しく夜道 を歩いていると川が流れているところに出た。轟々と音を立てる川に 佳音は足を止めた。 お兄ちゃん、風邪ひいたって本当ですか?ねえ、お兄ちゃん。空に はこんなにたくさん星があるんだもの。その1つが急に消えてなくな ってもきっと誰も気づかないよね……。 川の流れをじっと見つめているとなんだか吸い込まれそうな気がし た。そのまま一歩足を踏み出そうとした瞬間、佳音の携帯が鳴った。 「秋山佳音さん?長崎殉也の代理のものです。この間はすいません。 君の事を誤解していました」 声の主は昴だった。 「実は、これから週1回掃除に来てくれませんか?」 「えっ、かまいませんけど……」 「そう、じゃあ今週末からお願いします」 昴はそういうと電話を切った。佳音は何がなんだかわからなかった。 でも殉也が来てくれと言ってくれているなら、彼は私のことを悪く思 ってはいない! 週末、佳音は殉也の家を訪れた。掃除に来ただけなのに心が浮き浮 きして、自然と髪型を整えたりとしてしまう。ドアフォンを鳴らそう としたら殉也が現れた。 「来るの見えたから」 殉也は屈託のない笑顔を見せた。佳音はすっかり緊張してぎこちな く頭を下げた。 殉也は掃除の段取りについて説明し、最後に奥の部屋には絶対に入 らないようにと念押しした。 「はい」 佳音は誓いを立てるようにしっかりとうなづいた。 「掃除が終わったら好きなことしてていいよ」 「好きなこと?」 「歌ったり、踊ったり」 突拍子のないことを言われて佳音はきょとんとしてしまった。 「冗談だよ、よろしくお願いします」 殉也はそう言うと出かけていった。 何で雇ってくれたのか?それを聞くのはよそう!幸せが向こうから やってきてくれたのだもの。大事に扱わなきゃ、また壊れてしまう。 佳音はテキパキと掃除や洗い物をして、冷蔵庫のものを見繕ってサ ンドウィッチを作って帰って行った。 「で、どうよ、彼女を雇ってみて」 「うん……」 昴の問いかけに殉也は考え込んだ。佳音を雇ったのは聖花が笑った からだ。笑ったのは佳音が来た事に関係があるような気がする、こじ つけかもしれないが、聖花が元のように元気になれるのなら殉也は何 でもするつもりだった。 「違うかもしれないけど、そうかもしれない」 「とりあえず試すだけは試そうと?」 「3年ぶりなんだ、笑ったの。馬鹿みたいに思うかもしれないけど」 「思わないよ。案外お前の言うとおりかもよ。嫉妬したんじゃない?」 「嫉妬?」 「聖花らしくないけどな。でも面白いじゃん。嫉妬に駆られてむっく り起き上がったら」 「あのなあ」 「冗談だよ」 佳音は毎週末やって来てまめまめしく掃除をした。こうして殉也と いつでも会えると思うと心が弾んでついついハミングが出てしまった。 そこに帰ってきた殉也に、佳音はどぎまぎしてしまった。 「いいよ、歌って」 殉也はにっこりした。そう言われてもと佳音は戸惑うばかりだが、 殉也は佳音の手をとって一緒にピアノの前に座って、ピアノを弾きだ した。 「慈しみ深き、友なるイエスは、罪とが憂いを取り去りたもう……」 殉也の伴奏しながら歌った。はじめはぎこちなかった佳音も殉也に 合わせて佳音は賛美歌を歌い始めた。 帰り際、殉也は小さなオルゴール箱を差し出した。 「あれ、君でしょ?そのお返し」 殉也はグランドピアノのオルゴールに目を向けた。 「あ、ありがとうございます」 はにかみながら、佳音は嬉しそうにオルゴールを見つめた。 オルゴールを見つめながらの帰り道、佳音はいきなり車から降りて きた男に呼び止められた。男は池田だった。池田は耀司に会ってきた と言った。 「お兄さん、重大な秘密を隠しているね。もしかしたら冤罪なのかも しれない」 「冤罪?」 そう言う人は今まで1人もいなかったので佳音は驚いた。池田は愛 想のいい笑いを浮かべて協力したいと言う。なんだかすごくいい日の ように佳音は思った。 お兄ちゃん、風邪の具合はどうですか?毎日寒いのでとても心配で す。今日池田さんという人に会いました。助けてくれるって言ってま した。冤罪だって。がんばろうね。希望が見えてきたね! 佳音は手紙を書きながら、クリップボードを見て微笑んだ。殉也と 一緒に撮った写真が丁寧に貼りあわされていた。 ある日佳音が駅で清掃をしていると、昴が訪ねてきた。 「殉也の家の仕事はどう?何でも言って。待遇とか不満があったら言 ってくれって言ってたから」 「とんでもない、感謝してます」 佳音は慌てて否定した。 「殉也さんていい人ですね、彼女とかいないんですか?」 佳音は思わず口走った。見ると昴の表情が硬直している。 「す、すいません」 佳音は慌てて謝った。 「いや、いいんだ。彼女はいないよ。1人忘れられない恋人がいたん だけど、もういない。あいつは1人ぼっちなんだ」 昴はうつむき考え込むような顔をしていたのに佳音は気づかなかっ た。 「殉也のことよろしくね」 昴はにっこりすると帰って行った。 その足で昴は殉也の家に行き、聖花を見舞った。聖花は相変わらず 無表情で天井を見つめている。昴は思いつめた表情で聖花を見つめた。 そして震える手で聖花の生命維持装置の管を抜こうとした。 「ただいまあ」 殉也の声がして昴は我に返った。 「聖花、帰ったよ」 殉也は聖花の部屋に入ってきてにっこりと声をかけた。昴は別れの 挨拶もそこそこに帰って行った。 殉也は聖花の身体を拭いた。そのとき殉也はふと聖花がまばたきし たような気がした。けれど聖花は相変わらず無表情で天井を見つめて いるだけだった。 「ごめんね聖花。俺、半分諦めていたんだ。本当はもう治らないんじ ゃないかって。何やっても無駄なんじゃないかって。でも違うんだよ な。聖花はわかっている。俺の迷う気持ちも全部感じている」 殉也はそう言うと、聖花を抱かかえた。 殉也がおいしかったと言ってくれたので、佳音はサンドウィッチを 作って殉也の家に急いだ。家に着いてドアフォンを鳴らそうとすると、 殉也が賛美歌を歌うのが聞こえてきた。塀の柵から窓の内側を見た佳 音は手にしたサンドウィッチの包みを落としてしまった。殉也の隣に は女の人(聖花)がいて殉也の肩に頭を乗せている格好になっていた。 お兄ちゃん、人はどうして嘘をつくのでしょうか?誰かを喜ばせた くて?それとも悲しみに突き落としたくて?あの人を見ているだけで 幸せなんて、あたしは嘘をついていた…… 佳音は動くこともできず、強張った表情のまま立ち尽くした。 寸 評 主人公の幸せの前に障害が立ちはだかって絶望のどん底に落とさ れるというお決まりのパターンですが、最大の障害が聖花であること が新鮮さを感じました(余談ですが、聖花が回復するドラマではない ので、笑ったり、瞬きするのがホラーチックで不気味でした)。普通 は意地悪な女の人が障害として立ちはだかり、その人が負けてハッピ ーエンドになるというのとは一風違います。そう言った意味で、スト ーリー展開はドラマチックな要素を多分に含んでおり、面白く見るこ とができました。タイトルの「イノセントラヴ」とは何なのか?見返 りを求めない無償の愛?それとももっと高次な宗教的な愛なのか、ラ ストに向かってうまく具現化して欲しいと思います。 しかしながら面白いからと言って「ウケル」かどうかは別問題だと 思います。最大のネックは佳音の性格づけ。今どきこういう性格の女 の子は稀でしょうからリアリティに欠ける気がします。少女マンガや メルヘンの世界ならある程度作り話という前提があるので問題ないの ですが、ドラマは人間というものを深く抉り出すジャンルですから虚 構であっても設定や人物にリアリティが要求されると思うのです。あ れだけすさんだ生い立ちであれば、荒んでしまうとか、リストカット を繰り返すとか現実にうまく適応できなくなるのが現代社会だと思い ますので、佳音の性格はどこか浮いているような気がします。 執 筆 者 けん() ---------------------------------------------------------------------- 2. 編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 大学ラグビーでは現在リーグ戦の真っ最中ですが、11/1に早稲田大学が 帝京大学に敗れました。早稲田大学は7年連続リーグ戦無敗を続けており、連 勝記録は53にまで達していましたので、ちょっとした話題です。連勝はいつ かは止まるものですが、それが今年とはちょっと予想ができなかったです。で もこれで優勝争いが白熱してきたので、いいことだと思いました。(けん) ====================================================================== 発行元:ドラマ研究会 e-mail:info@j-drama.tv/ url :http://www.j-drama.tv/ ID :MM3E195F16414CD このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。 (http://www.mailux.com/) ====================================================================== |