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タイトル:憂国通信  2008/11/03


パナソニックが電池目当てで三洋電機の買収 

三洋電機はいつ倒産してもおかしくないボロ会社だった。同族経営で創業者一族が散々つまみ食いをしたせいである。
「SANYO」のイメージはやはり「安っぽい」というところだろう。
客を自宅に呼んだ時、「あら、どこのテレビ?」などと訊かれると、恥ずかしそうに「実はSANYOなの」などと答えなければならない。
見栄っ張りならまず目立つところの電化製品にSANYOは使わないだろう。
安いだけあって、デザインも性能もイマイチで、壊れやすいような気もするが、使っていて特に問題があるわけでもない。
それなりに企業努力しているのだろう。
似たような性能なら安い方がいい。
特に、「潰れるのではないか?」と噂が立ち始めた頃から、白物家電を中心にSANYO製品は大型電気販売店の目玉商品に使われていた。

そんなSANYOだが、唯一取り柄はあった。何故か電池では頑張っていたのだ。

松下電器産業株式会社を「パナソニック」などとふざけた社名に替え、水戸黄門の視聴率まで低下させてしまったパナソニックだが、何故か他の家電メーカーが不況であえいでいるのに、ここだけ過去最高利益をあげて景気がいい。

パナソニック、'08年度上期連結決算は減収増益−薄型テレビは前年同期比55%増の成長へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081028/pana.htm

ナショナルというとSANYOほどではないが、ダサいイメージがあった。始末が悪いことにSANYOよりも割高である。
それでも保っていたのは、アフタケアが充実していたからだ。街の小さな電気屋はあらかたがナショナル販売店で、取り付けや修理などこまめにやってくれた。地域密着型だったのである。
大型量販店が登場し、町の電気屋さんが潰れてしまったので、「ナショナル」も御用済みになったわけだ。

SANYOの電池は世界の最先端を行っている。一点豪華主義的な頑張りである。特に太陽電池とリチウムイオン電池の性能は抜群である。
リチウムイオン電池の主戦場は、パソコンや携帯電話向けだ。SANYOは世界シェア3割程度でトップを占める。パナソニックも約1千億円を投じて大阪市内にリチウムイオン電池の新工場を建てる計画。SANYO買収で、世界シェアの半分近くを握ることになる。 

今後伸びが期待されるハイブリッド車(HV)や電気自動車向け電池の開発・量産化にもSANYOの技術はものをいうのである。     
他の家電メーカーもSANYOに触手を伸ばしていただろうが、二の足を踏んだのはSANYOが抱えている10万人の従業員である。とんでもないお荷物なのだ。
欲しいのは電池だけだから、正直なところ「10万人の従業員」は邪魔なのである。
パナソニックも30万人の従業員を抱えている。正直な話、こんなにいらない。9兆円の営業収益があっても、一人あたりにすれば大したことはない。そこにSANYOの余剰人員が加わって40万人の超大企業になった。
「SANYOの従業員を解雇しない」というのが合併の約束だが、自社も含めて大量リストラをやってしまえば「そんな約束関係ない」ということになるだろう。


パナソニック、三洋買収で基本合意 TOBで09年4月子会社化 
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081103AT1D0200N02112008.html


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