日本で見た運動会
錦秋の十月が口笛の音と共に、細長い島国の青空をゆっくりと流れていく。今月のカレンダーを破いた時、なぜか目の前に窓いっぱいに下げられて空の果てまで続くかのようなてるてる坊主を思い出した。そして記憶のフィルムに焼き付けられた感動的な場面が、少しずつ脳裏によみがえってきた。
日本の小学校の運動会は、まさに団結と喜びの交響詩だ!
一年の中でもたいへん重要なこのイベントに、教師も生徒も早くからその「モード」に入っていく。国語の授業では運動会の作文を書かせ、図工の授業では運動会のポスターを描かせる。課外活動では運動会会場に飾る万国旗を作り、運動会前日には子供たち一人一人が、晴天を祈るてるてる坊主を作って教室の窓に掛ける。
運動場に集まった小学生たちは、低学年から高学年までが赤組と白組に分けられる。赤と白の区別は紅白の帽子によって行われ、会場全体が競争する二組に分かれるのだ。中国では、運動会の競技は個人の成果を強調することが多く、選抜された人だけが参加できるが、日本ではすべての子供たちが運動会の主役である。競技は各組の点だけを合計し、高学年が低学年を引っ張って、一体になって団結し、個人の汗で集団の勝利を勝ち取るのだ。
「玉ころがし」「竹取り」「騎馬戦」「綱引き」などが、活気があって楽しいのはもちろんだが、「組体操」(中国のスポーツ大会の開幕式で行われるパフォーマンスに似ている)も運動会を盛り上げるための重要なプログラムである。子供たちは手を取り合い、肩を並べて、人工の波や花盛りの様子などを作ってみせたあと、いくつかの組に分かれて「人間ピラミッド」を作る。小さな体で組み立てていき、だんだん高くなって、最後の一人が上に上がり、4、5層のピラミッドができあがると同時に力強い音楽が鳴り響き、手に持ったカラーリボンを空中に投げ上げた瞬間の感動的な場面は、彼らの一生の記憶に残ることだろう。
だが私の目は、競技場に現れた車椅子と、そこに座った半身不随で頭をかしげた女の子に向けられた。中国での経験では、障害のある生徒が友だちの競技を見に来られるだけでも、かつては「学校の配慮」を示すものと見られていた。だが、次に起こった場面に私は驚いた。2人の係の男女生徒がその車椅子を押して、障害者の友だちとともにかけっこの行列に並んだのだ!彼らは最後にゴールしたが、会場からは最も大きな拍手が沸き起こり、誰よりも励ましの声援が送られていた。
また一年が過ぎ、多くの在日華人が日本の小学校の運動会で、このような感動的な瞬間を目撃したかもしれない。自分が子どもの時には得られなかった体験を味わって感慨を覚えると同時に、かつての祖国の教育についてもまた深く考えさせられた。 |