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タイトル:Daily Drama Express 2008/09/11 コード・ブルー (最終回)  2008/09/17


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/09/11 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル コード・ブルー
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 藍沢耕作(山下智久)
 白石 恵(新垣結衣)
 緋山美帆子(戸田恵梨香)
 冴島はるか(比嘉愛未)
 藤川一男(浅利陽介)
 田所良昭(児玉 清)
 森本忠士(勝村政信)
 梶 寿志(寺島進)
 西条 章(杉本哲太)
 三井環奈(りょう)
 黒田脩二(柳葉敏郎)
脚  本 林宏司
主題歌  Mr.Children「HANABI」

あらすじ 第11話「生と死」

 トンネル内の安全確認が取れると、耕作(山下智久)とはるか(比
嘉愛未)はすぐトンネル内に向かった。増援に来た恵(新垣結衣)、
美帆子(戸田恵梨香)はトンネルの外でけが人の対応に当たった。

 トンネル内で耕作はトラックの下敷きになった男性を見つけた。救
助している時間がないと見た耕作はその場で治療を開始した。

 美帆子は重傷患者の女性をヘリで搬送していたが、容態が急変した。
あと6分で病院というところだが、森本(勝村政信)はそれでは持た
ないと呻いた。患者は心タンポナーゼを起こしていた。
「緋山、心嚢穿刺やったことあるか?」
 黒田(柳葉敏郎)が口を挟んこんだ。
「研修医時代、エコーとガイドワイヤーがある状況でなら」
 美帆子の表情に緊張が走る。黒田はその場でやれと暗に言っている。
「わかりました。指示お願いします」
 美帆子は覚悟を決めて処置を始めた。もし心筋まで刺してしまった
ら患者は死んでしまう。慎重に差し込んでいかなくてはならない。し
かも風でヘリが揺れ、手元を狂わせようとする。美帆子はじっとりと
した汗をかいた。祈るような気持ちで進める。すると血液が吸引され
てきた。
「意識回復してきています!」
 美帆子の声に黒田と森本は安堵した。
「よくやった」
 黒田が短く言った。美帆子は緊張した表情を崩すことなく、黒田の
ねぎらいを聞いていた。

 耕作は出血を止めようと必死になったが、大動脈狭部が断裂してい
た。
「これじゃ、助けられない……」
 耕作は無念の表情を浮かべた。恵もはるかも心痛を覚えた。だが耕
作はすぐ切り替えた。
「悲しんでられない、俺たちは助けられる患者を助けるだけだ」
 耕作はそう言うと他の患者の処置に向かった。

 ケガを負った人数は予想以上に多く、輸血も尽き、救急車もすべて
搬送に出てしまった。それでも患者はまだ運ばなければならない。環
奈(りょう)は思わず天を仰いだ。しかし事故現場のバスが目に入っ
た。
「あのバス搬送に使いましょう!」
 環奈はレスキューに指示した。

 病院側は受け入れに追われた。そこへ機材、薬品などがまったく足
りていないという報告が入った。黒田以下みな言葉を失ったが、一男
(浅利陽介)が言った。
「俺に行かせてください!」
 黒田は一男を見た。強くゆるぎない顔つきだった。
「あるだけのものを持って、行け!」
「はい!」
 一男はヘリに乗って、現地に向かった。
 到着した一男は混乱している事故現場に動じることなく、次々と処
置して行った。

 美帆子は夫がまだ救助されていないことをしきりに訴える女性患者
の手当てをしていた。とりあえず病院へと搬送させたが、携帯電話が
落ちたためそれを預かった。美帆子は不安になった。けが人はほぼ搬
送が終わり、残されているのは死亡者ばかりだ。美帆子は不安を抑え
ながら死亡者を確認して行った。妻によると夫は水色のチェックの服
を着ているらしい。しかし死亡者の中にはそれらしい人はいなかった。

 美帆子は携帯をかけてみた。すると恵が出た。
「なに?あんた何やってんの?」
 美帆子は驚いた。だが恵はトンネル内で手当てしている男性の携帯
が鳴ったので出たのだという。
「生きているのね?」
 美帆子はすぐさま現場に駆け付けた。

 その男性はトラックの積荷の下敷きになっていて、恵だけでなく、
耕作、環奈、はるかも合流して救助に当たっていた。だが、そんなと
きレスキューから思いもかけない報告が入った。
「この先のトラックからガソリンが漏れているとの連絡がありました。
先生方、安全確認できるまで非難してください」
 どうする?
「しかたない、私たちも避難しましょう」
 環奈がそう言い、みな引き上げようとした。
「待ってください!安全確認後に戻ってきて私たちにやるべきことが
あるのでしょうか?」
 患者を見捨てて、いったん避難すれば、その間に患者は……。
「止まりかけた心臓が動き出している、今なら助けられる。でも戻っ
てきたあとじゃダメかもしれない。おいていけません」
 恵は動かなかった。
「あと何分で救助できます?」
 耕作がレスキューに聞いた。
「10分あれば」
「救助してから避難します!」
 耕作がそう言うと、環奈もはるかも頷いた。だが、患者は急にろれ
つが回らなくなった。頚部に損傷がある。
「これじゃ10分も持たない。すぐ頚部を切開しないと」
 耕作が言った。
「黒田先生に指示を仰ぎましょう」
 環奈が言った。
「バイパスだ」
 黒田が言った。とりあえずは血流を再開させる措置でしのぐ。

 トンネルの外では避難してこない耕作たちをみんなが心配げに待っ
ていた。もし引火や爆発に巻き込まれたら……。そのとき、ストレッ
チャーに患者を乗せて搬送してくる耕作たちがトンネルから現れた。
みな一様に引き締まった表情をしていた。

 患者をすぐヘリに乗せ、耕作、恵、はるかが同乗する。恵は黒田へ
患者の容態を伝えて、付け加えた。
「なお、ドクターは全員無事です」
 報告を聞き終わると黒田は思わず、ふぅーっと大きく息をついた。

 長い1日が終わった。死者12名、重傷者6名、軽症者42名だっ
た。耕作たちはそれぞれの思いに浸っていた。

 一男は母親にヘリに乗れたことを伝えた。けれど一男は暗い表情だ
った。大して救えなかった、一男はそのことにとらわれていた。まだ
まだ未熟な自分ということが否応なく意識させられる。

 翌日、健一(今井悠貴)は転院していった。黒田は見送った。むろ
ん医師として、黒田はそういうつもりだった。だが健一は黒田に近づ
くと「お父さん」と声をかけた。有里子(奥貫薫)は自分が勝手に話
したと言った。
「ごめん」
 有里子は謝った。
「いや……」
 黒田はそれ以上言うべき言葉が出てこなかった。最後に「気をつけ
てな」とだけ言い、万感の思いで見送った。

 レスキューの避難勧告を無視したことに安全管理委員会はまた紛糾
した。もし二次災害にでも発展したらどうするのかと非難の声があが
った。
「そのとおりです」
 田所所長(児玉清)は否定しなかった。しかし避難せず処置を続け
たことで助からなかったかもしれない命が助かった。我々はフェロー
に懲罰を課すのでなく再教育を施すべきだろう。今後ともドクターヘ
リの継続を含めて、改めるべきところは改めて取り組んで生きたいと
田所所長は訴えた。

 はるかは元の恋人田沢(平山広行)に会いに行った。田沢は驚いた
顔をした。はるかは硬い表情だった。
「明日来たいと思うかはわからない。でも今日は来たいと思った。あ
なたの顔見たいと思った」
 震えるような声ではるかは言った。それが今の自分の正直な気持ち
だった。
「勝手だな。最低だ」
 田沢は厳しい表情だった。だが次の瞬間和らいだ。
「でも、嬉しいよ」
 はるかは目に涙をいっぱいにして田沢にすがりついた。

 恵は腕を失った黒田と顔を合わせるたびに直視できないでいた。
「もう気にするな。生きていれば救える命の1つや2つはあるだろう」
 黒田は淡々とした口調だった。恵は黙っていた。
「誰よりもヘリに乗れ」
 黒田は付け加えた。

 恵は田所のところへ出向いた。田所はすべてを察して辞表願いを返
してくれた。
「聞きましたよ。昨日のあなたは頼もしかった。どうか強いドクター
になってください」
「はい」
 恵は力強く答えた。

 耕作は黒田に会いに行った。
「見つかったか、答えは?」
「いえ」
「だったら明日からも飛べ。大変だな、名医になるって言うのは」
 黒田は多くを語ろうとしなかった。耕作は言った。
「(現場に)答えなんてあるんでしょうか?昨日俺たちは6人しか救
えなかった。その倍の12人が死んでいます。俺たちは成すすべがな
かった……。救った人たちだって元通りの身体に戻れるかもわからな
い。人はいつか必ず死ぬ。医者にできることは結局死ぬまでの時間を
ほんの少し延ばすだけじゃないでしょうか?」
「そのとおりだ」
 黒田は即答した。
「わずか10分かもしれん。だがその10分が時には人生を変える。
そのために腕を磨くのはまちがっちゃいない。俺はそう思っている。
それがすべてではないけどな」
 黒田は自分の失った腕を見た。
「腕を切ったのがお前でよかった。おかげで生きて息子に会えた」
 黒田は感慨深げだった。

 耕作はエレベーターのところで恵に会った。
「白石、(昨日)現場で処置していたときなにか感じたか?」
 耕作は自分の手を見つめながら聞いた。
「感じた。熱さ、人の鼓動の熱さ。感じたでしょ、あなたも」
「ああ、感じたよ」
「その熱さをいつまでも感じられる医者でありたい」
 恵は耕作を見た。耕作もまた恵を見た。思いは同じだ。

 そして、またドクターヘリ要請が入る。耕作、恵、はるかは全速力
で駆けてヘリに乗り込み、今日も大空へと飛び立っていく。(終わり)


寸  評  ドラマチックというよりはドキュメンタリーチックな展開でした
が、緊迫感や臨場感があってとてもよかったと思います。ただ専門用
語が理解できなくて患者の状態がどうなのかがわかりにくかったかな
と思います。
 医療ドラマは医師が患者に向き合うストーリーが多いですが、この
ドラマは現場に携わる医師の葛藤がメインでした。それなのでドキュ
メンタリーチックな感じが強かったと思います。6人救ったとしても
12人が死んでいることに無力感を覚えるというのは医師の宿命とも
言うべきテーマですね。このドラマでは答えが出ませんでしたが、こ
こらへんを掘り下げて耕作なりの答えが出せればドラマチックになる
のではないかと思いました。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 あえて触れてきませんでしたが、このドラマのフェローは大学を出て実務経
験もあるという設定でしたので、フェローたちの年齢はやはりギャップがあり
ました。役者さんたちは20代前半で、いわゆる経験を積みながら成長してい
くというストーリーを描くにはぴたりときますが、本来は20代後半の人であ
るはずですからその辺のリアルさは崩れていました。20代後半の役者さんを
起用して作ることは難しかったのでしょうか。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
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