メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:直近記事の<補足・訂正>です  2008/09/04


直近記事の<補足・訂正>です
2008.9.4


直近記事(http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080903)の<補足・訂正について>の転載です。

・・・・・

<補足・訂正について>

●下記のとおり、『(プロローグ)EU指導層の「確固たる理念」と「その実践」への揺るがぬ決意』の第四パラグラフの記述を(新・記述)の内容へ訂正してあります。

(旧・記述)

しかしながら、エンロン事件・サブプライム問題など米国型・ユニラテラリズム発の“金融市場にかかわる不祥事”が追い風となったこともあり、「企業統治」の根幹である「国際会計基準」が、米国型(時価会計主義)から欧州型(実需・経営利益主義)へ大きく舵が切られることとなり、今や、日本の立場が世界で孤立しつつあります(情報源:http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080424/154072、及び2008.8.29付日本経済新聞・記事)。

(新・記述)

し かしながら、エンロン事件・サブプライム問題など米国型・ユニラテラリズム発の“金融市場にかかわる不祥事”が追い風となったこともあり、「企業統治」の 根幹である「国際会計基準」について、米国(SEC/米国証券取引委員会)が欧州型をルーツとする国際財務報告基準(IFRSa)を受け入れる方向へ大き く舵が切られることとなり、今や、日本の立場が世界で孤立しつつあります(情報源:http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080424/154072、2008.8.29&2008.9.4付日本経済新聞・記事)。

(補足・訂正した理由)

●各国の大手機関投資家が海外の証券市場に投資して所有する株式について時価基準を適用させようとする「時価会計主義」と「国際財務報告基準(IFRSa)(=事実上の国際会計基準)を受け入れること」はイコールではありません。日本経済新聞・記事(2008.8.29&2008.9.4付)は、この点についての書き方が曖昧、というよりも誤解に近いように思われます。

●要するに、時価会計にするか簿価会計(欧州伝統)にするかは「国際会計基準」の中での選択肢に過ぎず、ドイツ・フランスを中心とするEU圏諸国(欧州)は、アメリカが1980〜1990年代以降に強めてきた「株主のための企業」(時価からの発想による純粋資本主義)という考え方に対し、「企業の社会的役割を重視する」という立場からの批判を持ち続けています。つまり、この次元での米欧の対立は現在も続いていると見るべきです。

●しかし、日経(2008.9.4)も書いていますが、アメリカが欧州発の「国際会計基準」へ舵を切るということは、「国際会計基準審議会」の運営へ直接関与して、“事実上、国際標準の作成に影響力を発揮しようというアメリカの狡猾な意図”が窺えます。一方、各国の企業会計には、それが帰属する国や地域の歴史的所産であるという厳然たる現実があります。

●だからこそ、EU(欧州連合)は、グローバリズムの 弊害等をも十分に視野に入れた「金融サービス行動計画」に基づいて「透明性指令」、「市場濫用指令」などの各種指令(規制法)を発し続けています。従っ て、我が国も、このようなグローバル動向を踏まえたうえで、今や矛盾が拡大しつつある時価会計の見直しも含め、今後の日本がどのような企業会計のあり方を 進むつもりなのか、その根本的理念から構築することが愁眉の課題です。

●さもなければ、いつまで経っても、アメリカから発せられる「対日・規制改革要望書」のような“ご都合主義の身勝手な対日指令”によって右往左往させられ、民主的な手続きを経ずに何人もの首相の首が刈られ、国益(国民の利益)が著しく消耗するばかりです。

(参考資料)

杉本徳栄・著『改定版、国際会計』(同文舘出版)

時価会計とは?、http://chiezou.jp/word/%E6%99%82%E4%BE%A1%E4%BC%9A%E8%A8%88

間違いだらけの時価会計(神奈川大学経済学部教授 田中弘)、http://www.kokuminrengo.net/2003/200305-econ-tnk.htm

ドイツ公会計制度の現状と問題(南山大学総合政策学部教授 亀井孝文)、http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/pdf/j29d09.pdf

読み誤った時価会計の導入時期、http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fujiwara/02.html

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。