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Mは空っぽになり、Sの発する全てを吸収します。 脱魂し、Sの一部が憑依したかのようにも思えるし、 遠くに飛んだ魂を、糸のように細くなった意識の線で 泳がせているかのようにも思えます。 ある一定の状態に達すると、S側もその意識の線を辿り、追い、 風船のように浮かぶ魂を手中におさめる安堵で、 自らの意識も遠くにやります。 Sも自分自身を空っぽにするのです。 Mだけを空っぽにして、Sだけが現在に残り、操るのではないのです。 顕在意識上の生を保つ限界、一種のトランス状態の中で対峙するのです。 そこには形だけの支配や、理論的なS性やM性も意味を成しません。 見えない力や波が、永久に続く∞のマークのように お互いの間を循環し始めるのです。 一体となる?融合?どんな言葉を選べばよいのかもかりません。 初めてこれを体感した時は怖く、中断しました。 しかし、これは私のSM追究を終わらせない罠ともなりました。 全てのSMセッションで必ずしもそのような素晴らしい体験が訪れるわけでは ありませんし、そこに至るまでには資質や時間、相性も要しますが。 <つづく> |