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タイトル:Daily Drama Express 2008/06/12 バッテリー (最終回)  2008/06/23


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/06/12 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル バッテリー
局  名 NHK
放映日時 木曜20時
キャスト 原田巧 (中山優馬)
 永倉豪 (高田翔)
 原田青波(森本慎太郎)
 原田真紀子(斉藤由貴)
 原田広 (堀部圭亮)
 井岡洋三(石橋蓮司)
 沢口文人(永嶋柊吾)
 東谷啓太(松川尚瑠輝)
 海音寺一希(川村亮介)
 奥平  (登野城佑真)
 矢島繭 (宮崎香蓮)
 伊藤春菜(梶原ひかり)
 戸村真 (千原ジュニア)
 小野薫子(ちすん)
 歌子(理髪店店主)(中尾ミエ)
原作   『バッテリー』あさのあつこ(角川文庫刊)
脚本    相良敦子   
主題歌  Mr.Children「少年」

あらすじ 第10話「俺たちの野球!」

 コントロールを乱した巧(中山優馬(関西ジャニーズJr.))は
1人早朝から壁に向かって投げ込みをしていたが、相変わらずうまく
いかない。豪(高田翔(ジャニーズJr.))は悩みこむ巧に付き合い、
球を受けた。
「大丈夫じゃ、巧。もっと力を抜け!」
 豪は笑顔で巧を励ましたが……。

 巧のストライクが入らないピッチングはなかなか直らなかった。啓
太(松川尚瑠輝)や文人(永嶋柊吾)も心配でならなかったが、巧は
黙りこくっていた。
「本人が言わないんじゃ。そっとしておいてやれ」
 戸村(千原ジュニア)が言った。成長期である年頃だから身体のち
ょっとした変化でそれまでのバランスが崩れてしまう、戸村はそう説
明した。明らかに半年前より巧は身体が大きくなっているのだから。
「俺はどうしてやればいいんですか?」
 豪は考え込んだ。
「キャッチャーにはどうしようもない」
 戸村は静かに言った。時として投手はマウンドで孤独と闘わなくて
はならないときがある。

 巧は家でグラブを磨いていた。黙りこくっている巧を見て洋三(石
橋蓮司)が声をかけた。巧はおもむろに切り出した。
「じいちゃん、俺、まっすぐが入らない」
 洋三はすべてを察したような顔つきでうなづいた。
「お前の球はこれからもっと速くなっていく。それに心がついていか
なければダメじゃ。ボールは心、魂。じいちゃんはそう思っておる」
 時にはどうしようもならないときがある。けれどひたすら自分を信
じ、新しい球が顔を出す瞬間をじっと待つことが必要だと。

 横手二中との試合が決まり、瑞垣が伝えにやってきた。
「どや、姫さんと勝負させてくれや」
 相変わらず挑発的な瑞垣だ。まだ制球難が直らず、巧は即答できな
かった。だが豪が笑顔でボールを差し出した。
「なあ、見せてやろう、お前の新しい直球を」

 瑞垣は左バッターボックスに立った。案の定巧のボールは瑞垣の胸
元をかすりそうなところに行った。
「おい喧嘩売ってるのか?」
 瑞垣は巧をにらみつけた。
「もしかして、ストライクが入らないとか?」
 瑞垣の勘は相変わらず鋭い。
「もう1球行きましょうか、もっと厳しいやつ」
 豪は不敵にやりかえした。
「……やめとくわ。お前ら最高の状態で出てこいよ」
 瑞垣はそれだけ言うと帰っていった。

 練習後、巧と豪は青波(森本慎太郎(ジャニーズJr.))を見舞っ
た。
「ボールは生きとる。まるでトクットクッっていっているような気が
するんじゃ」
 青波は洋三にそんな話をしているところだった。豪は思わず室内に
駆け込んだ。
「その言葉兄ちゃんによーく聞かせてやってくれよ」
 巧に必要なことを青波が言ってくれていた。ボールと向き合い自分
の中に受け入れることが大切。ボールを回しあいながら野球談義をし
ていたら、真紀子(斉藤由貴)がやってきた。
「ちょっとなにしてんの。巧、洗濯物干してきて」
 相変わらず真紀子は神経質だ。

 洗濯物を干しながら巧は手にしていたたわしを、ふと、さおにかか
っている小さな籠に向かって投げた。たわしは籠に入った。ストライ
クだ。
「ほう、たわしじゃとコントロールいいんじゃな」
 豪はいたずらっぽく言った。しかし巧は半信半疑だ。
「巧、お前の決意表明を聞く。原田巧は雨の日も風の日もマウンドに
立って投げられるか?それくらい投げることが好きか?」
「……好きだ」
「よぉーし!」
 豪は巧に駆け寄ってボールを渡した。
「巧、俺はお前がピッチャーじゃのうてもきっとお前と一緒におるわ」
 豪は真剣なまなざしで言った。
「そうじゃ、巧来いよ」
 豪ははしごを目にすると、それを上っていった。巧も後についてい
った。

 見晴らしのいい景色が広がっていた。巧は言った。
「俺、新田東に来て良かった……。もっと前に来ててもそう思ったか
な」
「さあな、この生意気野郎って思ったかもな」
 豪は照れ笑いをした。
「豪、俺もお前がキャッチャーでなくても一緒に野球をする」
「巧、コントロールがどうであろうと俺のミットめがけてただ投げ込
んで来い」
 巧と豪は空を見上げた。すがすがしい気分が2人の間に流れ込んで
きた。

 ベンチ入りメンバーが発表され、巧と豪は先発バッテリーに指名さ
れた。啓太と文人も特別にベンチ入りすることになり大喜びだ。

 その日の夕方、戸村は洋三を訪ね、横手二中の試合に来てくれるよ
う頼んだ。
「ああ、もちろん」
 洋三はにこやかに答えた。ふと戸村は自分が新田高2年のときに突
然監督を辞めた理由を聞いた。あれ以来甲子園常連の新田東は急激に
勝てなくなり、伝統を潰したとまで言われたのだった。
「なぜだったのですか、監督」
「ばあさんが倒れたからじゃ」
 洋三は申し訳なさそうに答えた。
「そうでしたか。私は原田に出会い、いいチームに恵まれ、あのころ
の雰囲気を味わっています。どうか見に来てください」
 戸村は洋三に一礼して帰っていった

 試合当日、出かけようとする巧に洋三は1枚の写真を見せた。ボー
ルを掲げ空を見上げる子どもが写っていた。
「ボールを初めて手にしたときのお前じゃ。ばあさんが撮った」
 このときから巧は片時もボールを離さなかった。
「思い切り投げてこい。そして楽しんでこい」
 洋三のアドバイスはそれだけだった。巧は静かにうなづき、バッグ
を提げて玄関を出た。繭のくれたふくろうのお守りがつけられていた。
「ちょっと、巧、お弁当」
 真紀子が追いかけてきた。
「あんた本当に似合ってるよね、エースナンバー」
 真紀子はにっこりした。
「まあ、がんばってらっしゃい」
「……ありがとう」
 真紀子はびっくりした。
「あんたの口からそんな言葉が出るなんて……もう!」
 ありがとうを聞くまで13年かかった。しんどい!真紀子はうれし
くて、ちょっぴり目を潤ませた。巧も周囲に支えられて野球ができて
いることがわかってきていた。

 そしてマウンドへ。

 巧は振りかぶって思い切り投げた。が、ボールはバックネットへと
とんでもない暴投になった。だが、豪は力強くうなずいた。大丈夫ボ
ールは走っとる。この調子で投げて来い。巧もうなずいた。次の球は
高めに外れたが、豪のミットに収まった。よしっ!豪は確かな手ごた
えを感じた。
 その予感どおり、次に投げた球はストライクが入った。そこから巧
は完全に立ち直り、一気に2アウトまでとった。3番は瑞垣だ。
「姫さん崩れとったんやな。けど今まさに立ち直りつつあるというわ
けか」
 瑞垣は涼しい顔で言った。
「瑞垣さん、本気になってください。巧の球は前回と違います」
 豪は言い返した。
「ほう」
 瑞垣の表情から笑いが消えた。巧は力いっぱい投げた。瑞垣はバッ
トに当てたが、打球は力なくショートゴロになった。

 ベンチに引き上げてくると、海音寺キャプテン(川村亮介)がスタ
ンドを指差した。そこには展西(染谷将太)の姿があった。
「あいつも野球が好きなんじゃ」
 巧はじっと試合を見ている展西を見つめた。

 2回表、門脇が右バッターボックスに立った。巧、来い。お前の、
お前の最高の球を!豪は真ん中にミットを構えた。巧はしっかりとう
なずいた。豪、お前のミットへ!巧の表情に晴れやかな笑顔が浮かん
だ。

 巧が振りかぶった瞬間、青い空が一面に広がった。


寸  評  爽やかなラストで心地よい読後感みたいなものがありました。試
合での勝負シーンを使うことなく展開したストーリーも新鮮でした。
ラストも勝負をつけるというよりは巧の無限の可能性を感じさせると
いう形でよかったと思います。
 ただ個人的には最初の刈上げ拒否の一件がどうもしっくり来なくて、
それがボタンのかけちがいみたいになって最後までわだかまりみたい
なものが残ってしまいました。鼻っ柱が強いのはいいのですが、刈上
げ拒否は豪の態度のほうが潔く見えたので。オーソドックスに1年は
レギュラーにしないという方針に反発するようなやり方のほうが巧の
才能や性格をよく描き出せたのではないかなと思いました。
 あと空を重要なシーンとして描いていましたが、こういうのは毎回
使って印象を強めてほしいと思います。空と巧の関係を深く描ければ
よりよい作りになったと思います。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 『バッテリー』は期待していたのですが、やや物足りない気がしました。き
っと小説というスタイルの方がいい味が出るのでしょう。小説は心理描写を精
密に描けますが、映像はそれがなかなか難しいです。あくまで目に見えるもの
しか伝わりませんので。セリフ、演出、小道具による描写など、いろいろなも
のを駆使しないといけない分難しいだろうなと思います。(けん)

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