今年の本屋大賞
日本全国の書店員がいちばん売りたい本を選ぶ本屋大賞。4月8日(月)に明治記念館で、「2008年本屋大賞」の発表会が行われ、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」(新潮社)が大賞に選ばれた。
以前にも何回かご紹介しているが、「本屋大賞」は5年前に生まれ、短期間のうちに大きな影響力を持つ小説賞となった。2004年には小川洋子の「博士の愛した数式」(新潮社)、2005年には恩田陸の「夜のピクニック」(新潮社)、2006年にはリリー・フランキーの「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(扶桑社)、2007年には佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」(講談社)が受賞している。
今回の本屋大賞は、去年の11月1日から今年の1月11日までの間に、昨年を上回る1037名の書店員がエントリーし、最終的に日本全国349の書店からの426人が投票を行った。これによって上位10名の作品が選ばれて候補作となり、これらの作品に対して1月21日から2月29日までの間に二次投票が行われた。そして、「2008年本屋大賞」が決定したのである。
候補作として残った上位10作品は、桜庭一樹の「赤朽葉の伝説」(東京創元社)、吉田修一の「悪人」(朝日新聞社)、森見登美彦の「有頂天家族」(幻冬舎)、金城一紀の「映画篇」(集英社)、重松清の「カシオペアの丘で」(講談社)、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」(新潮社)、近藤史恵の「サクリファイス」(新潮社)、万城目学の「鹿男あをによし」(幻冬舎)、角田光代の「八日目の蝉」(中央公論社)、桜庭一樹の「私の男」(文芸春秋)である。
全国各地の書店員に受賞を祝われて、伊坂幸太郎は「書店員さんに『あんなやつを選ばなければよかった』と言われないように、今後もがんばります。」と述べた。 |
紀香学校が完成
人気女優の藤原紀香は3月25日、カンボジアに建設した「紀香学校」の落成式に参加した。首都プノンペンから車で3、4時間のプレイヴェン県にあった、おんぼろでトイレもなく廃校寸前だった小学校を建て直し、車椅子の人でもそのまま入れるトイレを備え付けたのだ。藤原紀香は、著書である「紀香魂」の印税など600万円を寄付している。「紀香学校」の在校生は約600人である。学校には井戸やトイレだけでなく、新しいノートや楽器も用意された。藤原紀香は、「子供たちが日本語で『ふるさと』を歌って歓迎してくれて、とても感動した。これからも子供たちが自分の夢を実現するように支えていきたい。」と語った。カンボジア政府は彼女に対して、感謝状と勲章を贈った。
2004年に藤原紀香が初めてカンボジアを訪れた時、「奥地に行けば行くほど裸のままになり、病院にも行けない子供が多い」ということを知り、この厳しい現実を何とかしようとして、「藤原紀香カンボジア子ども基金」を作ることを決め、自分のささやかな力で子どもたちの困難な状況をできるだけ改善したいと考えた。今回は落成式出席のために現地を訪れ、ゴミの山に住む子どもたちと再会し、孤児院を訪問し、たくさんの写真を撮った。いつか、撮影した写真を日本の人々に見せたいと考えている。
藤原紀香は兵庫県出身で、かつて阪神淡路大震災で生きるか死ぬかの経験をした後、一流の女優になる夢を実現した。これまでに、アフガニスタン、カンボジア、インドなどを訪ね、戦争が残した傷跡や貧困の中でもたくましく成長する子どもたちの笑顔に深く感動した。そして、アフガニスタンのタリバンに破壊されたバーミヤン遺跡や、カンボジアの地雷で足を失った子どもたちや、インドの最貧困地区の飢えに苦しむ子どもたちなどを写真に記録した。
藤原紀香の写真展「アフガンの子どもたちの未来のために」は、1000点あまりの中から150点の生き生きとした作品を選んで、5年以上をかけて10ヶ所以上で開催され、大きな反響によって日本全国に支援の輪を作り出した。そして2006年5月15日に始まった「カンボジア子ども基金」は、「紀香学校」の完成によって、また新たな感動の物語を紡ぎ出したのである。 |