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タイトル:Daily Drama Express 2008/03/04 ハチミツとクローバー (9)  2008/03/10


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/03/04 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル ハチミツとクローバー
局  名 フジテレビ系
放映日時 火曜21時
キャスト 花本はぐみ(成海璃子)
 竹本祐太(生田斗真)
 野宮 匠(柏原崇)
 山田あゆみ(原田夏希)
 山田大五郎(泉谷しげる)
 真山 巧(向井 理)
 森田 忍(成宮寛貴)
 花本修司(村上 淳)
 原田理花(瀬戸朝香)
 勅使河原美和子(滝沢沙織)
 ローマイヤ先輩(木村祐一)
 庄田教授(松重 豊)
 寺登泰彦(前川泰之)
原作   『ハチミツとクローバー』羽海野チカ(集英社 QUEEN'S COMICS 刊)
脚本   金子茂樹
主題歌  平井 堅 「キャンバス」(DefSTAR RECORDS)

あらすじ 第9話「奇跡の告白、衝撃の大事故」

 宮大工の一座と別れ、僕、竹本祐太(生田斗真)は再びペダルをこ
ぎ始めた。相変わらず目的地は見えてこないけど、東京にいて悶々と
していたころよりは何に興味があって、何が苦手なのか整理できてき
たように思えた。

 パリ国際アート大賞を受賞した後、森田さん(成宮寛貴)は退屈そ
うにしていた。
「卒業制作はどうした。もう今年しかチャンスはないぞ」
 花本教授(村上淳)は発破をかけたが、森田さんはだるそうに聞い
ているだけだった。

「絵はどうしたのよ?」
 山田さん(原田夏希)も聞いてきた。
「絵はもう卒業!」
 そんな答えに山田さんは思わずため息をついた。
「あたしも早く卒業したい、真山への恋から」
 片想いの恋の悩みはいまだに尽きない。
「そうだよ、新しい恋見つけろよ」
「でも恐い……」
 今まで自分が思ってきた気持ちが嘘になる、今までの思いを全否定
する気がして踏ん切りがつけられないのだ。

 はぐちゃん(成海璃子)は活き活きと描けるようにまで復調してき
た。賞とは関係なく、自由に描くときはぐちゃんはその才能を発揮す
る。だから大神教授(高橋ひとみ)からはぐちゃんの今後をどう考え
ているのかと聞かれたとき、花本教授はこう答えた。
「あいつは、最初から僕らとは違った世界にいて、違った方向に進ん
でいる。むしろそうした中でこそ着実に高い次元に上がっていけるん
ですよ」

 山田さんは藤原デザイン事務所へやって来た。ちょうど真山さん
(向井理)と原田理花(瀬戸朝香)が来ていた。山田さんの挨拶は相
変わらずぎこちなくて、野宮さん(柏原崇)は見てられないという感
じだった。でも山田さんは少し変化していた。原田理花と一緒で幸せ
そうな様子で安心できたのだ。もし不幸そうだったらまだチャンスが
あると思って心が揺れそうになると思えたに違いない、そう思ったの
だ。

 雨の中、僕はひたすら自転車をこいだ。振り返らずひたすら走る。
こげばこぐだけ身体にこびりついた将来への不安や苛立ちがゆっくり
と消えていくのが実感できた。そして、背中から遠ざかっていくすべ
てのことが自分にとってどれだけ大事だったか身にしみてわかった。
僕には戻りたい場所がある、だからこの旅を続けることができる、会
いたい人がいる、だから胸をはれる自分でありたい、そう強く思った。
誇れる友達がいる、だからくじけそうになっても前に進んでこられた。

 そして、旅の果てに雨が終わる場所を見た。僕はある瞬間に雨から
晴れている場所に踏み込んだ。そのとき僕は思った。帰ろう、みんな
のいる場所へ、また同じだけペダルを踏んでと。

 僕は東京へ戻ってくると、真っ先に花本研究室へ向かった。奥のア
トリエには夢中になって絵を描いているはぐちゃんがいた。
「はぐちゃん」
 僕は躊躇なく声をかけた。はぐちゃんは筆を止めて振り返った。
「はぐちゃん、好きだよ。俺、はぐちゃんのこと好きだよ」
 言いたくてもどうしても言えなかった言葉が自然と出てきた。
 驚いたような顔をして言葉が出てこないようだった。はぐちゃんの
答えはわかっている。だから言えただけで僕は嬉しかった。
 僕は部屋を出ようとした。
「ありがとう、お帰り」
 背中越しに彼女の声が聞こえた。
「ただいま」
 僕は思わず笑顔になった。くたくたに疲れているのも忘れて僕は、
自転車をとばして森田さんと真山さんの待つアパートへ帰った。

 真山さんはどんなに忙しくても、自分から進んで何でも仕事をこな
していた。原田理花が自分の働きぶりに満足してくれているのを感じ
ると本当にここに来た選択は正しかったと思えた。そんなときスペイ
ンから1通のFAXが届いた。
「何ですか、これ。活動をスペインに移すって……」
 真山さんは硬い表情で尋ねた。
「かなり前に出したコンペの採用が今頃届いたの」
「向こうに移るんですか?」
「うん」
「どうして、こんな大事なこと話してくれなかったんですか!」
 真山さんは思わず声を荒げた。
「この仕事は1人でやるつもりだったから。あの人と一緒に手がけた
最後の仕事なの」
 原田理花は静かに答えた。
「感謝しているわ。あの人がやり残した仕事をやってこれたのもあな
たがいたからだと思っている。やり残したままだとあたしが生きてい
る意味がないって思ったから」
「僕は、僕はどうなるんですか……」
 真山さんは言葉を失った。
「ごめんなさい」
 原田理花はそれ以上何も言えなかった。

 結局原田理花が仕事をしているのは、亡くなっただんなさんのやり
残したことをやり遂げるためだった。
「やっとそばにいられると思ったのに」
 真山さんは脱力感に襲われていた。だが花本教授は言った。
「そばにいる奴が変えるしかないんだよ。ずっと一緒にいたいんなら
離れるな」

 いきなり好きだって言ったから、キャンパス内ではぐちゃんとばっ
たり顔を合わせたときは正直気まずかった。
「ごめん、気にしないでって言っても無理だよね」
 はぐちゃんは最初戸惑っていたが、いつものように静かに微笑んだ。
 僕らはキャンパスを歩きながら僕が旅している間のことを話した。
はぐちゃんは僕が送ったハガキがとても嬉しかったようだ。
「竹本くんがくれた手紙、あれにすごく勇気もらった。また絵を描こ
うって思えたから」
「そうなんだ」
 それを聞いて僕も嬉しくなった。

 僕は宮大工の本を何冊も集めて勉強を始めた。旅の途中でちょっと
だけ見えた、将来こんなことをしていたらいいなと思うことがあった。
だから今はとにかくそれをやってみよう、そうしたら何か見えてくる
のかもしれない。

 頼まれた陶芸品を納品にやって来た山田さんは勅使河原さん(滝沢
沙織)から野宮さんが真山さんが行く予定になっていた鳥取のプロジ
ェクトに行くことを聞かされ驚いた。野宮さんはそんなこと一言も言
っていなかった。
 野宮さんの自動車で帰りを送ってもらった山田さんは終始無言だっ
た。浜田山美大に着いても野宮さんは鳥取行きのことを話さなかった。
「何で話してくれなかったんですか?一緒に仕事してたのに、ちょっ
とショックでした」
 我慢しきれなくなって山田さんは切り出した。
「別に永久に離れるわけじゃないしさ、言いたくなかったの」
「どうして」
 山田さんの口調は感情的になってきた。
「だって、あゆみちゃんのことが好きだから」
 野宮さんはそれだけ言うと、驚きで言葉を返せない山田さんを置い
て車を出してしまった。

 大神教授が花本研究室のアトリエにやって来た。
「あなたまだ絵を描いていたのね」
「……あたし先生に言われて誰かのために絵を描こうと思いました。
でもあたしにはできませんでした。絵をやめようと思いました。でも
できませんでした。やっぱり描くことはやめられません」
 教授ははぐちゃんの絵をじっと見つめていた。
「あなたの絵には欲がまったく感じられない。だから人の心を掴むの
かもしれないわね。この調子で頑張りなさい」
 教授は学生時代、海外留学したが壁に当たった。実績がなければ相
手にされない苦い経験からはぐちゃんに実績を積ませようと思ってい
たが、はぐちゃんはそういう世界に立ってはいないことを理解したよ
うだった。

 スペインに行く前の最後のプロジェクトが福島であった。同行した
真山さんは東京への帰り際、駅のホームで札幌行きの列車を見つめる
原田理花を見ていてたまらなくなった。その手を取り札幌行きの電車
に飛び乗った。
「行きましょう、小樽」
 真山さんは厳しい表情で言った。

 大神教授に励まされ、はぐちゃんはいつになく浮き浮きしていた。
これまでのように表現したいことだけを描いていられると思うとじっ
としてられなくてキャンパス内を軽やかに走りだした。けれど好事魔
多しというのはこういうことをいうのだろう。階段のところではぐち
ゃんはガラス窓を運んでいる人と接触して転んでしまった。さらに割
れた無数のガラスの破片が飛び散り、はぐちゃんを襲った。

 周囲はすぐ大騒ぎになった。はぐちゃんはうつぶせに倒れていた。
手首のあたりから大量の血が流れ出していた。


寸  評  「あなたの絵には欲がない」というセリフがありましたが、そう
いうところにこのドラマが今ひとつ乗り切れなさが象徴されているよ
うな気がします。それぞれの登場人物が叶わない思いを告白し、思い
悩むところはとても切なくていいシーンなのですが、響いてこないと
いうか、伝わってこないというか。主題の核を明確にし、それを誰か
が握ってないとやはりだめなのかなと思います。たとえば「あしたの、
喜多善男」、「11日後に死ぬ」というドラマの核を握っているので、
情けない主人公でも面白く思えるのですが、「ハチクロ」にはそれが
抽象的で見えにくいです。それが青春ドラマの特長と言えなくもない
のですが。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 暖かくなってきました。日照時間も延びて18時でもまだ明るいですね。昨
秋から野外で1日を過ごすことが多くなったのですが、12月の冬至の頃は
16時半を過ぎると暗くなりだして、17時には真っ暗だったのを思い出すと
季節の移り変わりを実感します。 (けん)

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