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タイトル:仇花の記憶 08/03/10 163号  2008/03/10


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第五巻五回  ショタの現状を思う断簡
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、筆者の目から観た今現在の『ショタ』
と呼ばれる分野の現状と筆者の思いを記述して
みたいと思います。散文的になりましょうがお
付き合い下さいませ。

『ショタ』を特集したアンソロジーで継続刊行
していると思われるのは現在一社発行の一誌の
みかと思われます。それとても傾向としては女
装と言うワンクッションを噛ませた上で成立し
得たショタであろうかと。誤解を恐れずに言え
ば成年漫画の一分野から派生した『ショタ』で
ありましょう。
この現状は恐らく二つの見方ができるかと思わ
れます。『ショタ』と言う分野の展開法の一つ
として「女装」と言う手法が定着したと言う見
方と、「女装」と言う手法が『ショタ』と言う
分野の延命手段として選択されたという見方と。
いずれにしてもこれは99年から2000年にかけて
訪れた第一次ショタアンソロジーブームの衰退
当時とは異なる傾向でありましょう。あの頃は
『ショタ』=やおい・Boy's Loveの一派生形と
言う見方がまだ強かったので仮初の習合で雌伏
したり或いは野に下って力を蓄える人が多かっ
た訳ですが。そこで下地が蓄えられたからこそ、
又後日新たな流れが産み出された面もあるかと
思われます。
閑話休題。
筆者は徒らに現状を嘆いている訳ではありませ
ん。女装と言う方面の開発もショタの裾野を広
げる手段と考えるならば是かと思われます。
筆者が嘆くとするならば、創作発表の場の荒涼
加減であります。
散見しますにショタ創作を産み出す土壌は豊か
になっております。新規参入する著作者も同人
からと言う流れで増えております。にも拘らず、
新しい芽を育てようという動きが何故ここかし
こで鈍るのでしょう。新しい芽が色々な経緯を
経て世に出たとしても何処かしら先人の影を感
じてしまう事も暫し。のみならず、一歩先を行
く同輩と色違い同柄の着物を着させられている
様な、そう言う感覚すら味わっている様な事さ
えございます。
確かに着目の方向性が一点に集中していたなら
ばそれだけ集客率の上昇というものが見込めま
しょう。ある程度の小波はあったとしても凡そ
の安定を望む事も出来ましょう。
然しながら、一つの方向性は反復され過ぎると
飽きが来ます。仮令どの様に美味な感覚と言え
ども、同工異曲と底が見えてしまえば感情の動
きも鎮まり、褪めてゆきましょう。そしてその
褪めた感覚は流行の停滞を派生させてしまうの
です。新刊が出てもどうせパターンだという先
読みの感覚を招いてしまう事によって。
分野の確立の為には安定も確かに必要です。そ
して、その安定を保つ為にはある程度の現場の
活性化が必要なのです。その活性化は何によっ
て招くかと言えば、作風個性のせめぎ合いと言
う事になりましょう。
土壌が豊穣になっているのに作地が荒涼として
いるのは、やり切れません。懐古趣味ではあり
ませんが、以前は俄仕立ての作地であっても実
りは豊穣であった様に思います。享受する側の
感覚も新鮮だった故かも知れませんが。
豊穣で目新しい実りを育てようとするのも大事
ですが、そろそろ実りを送り出す土壌を肥やし
育てる環境が整っても良いのではありますまい
か?逞しく育っている一粒種に目をつけてクロ
ーン株を育てようとするのも結構ですが、一代
限りで終わる様なら元も子もありますまい。

とりあえず筆者は流れを見続けるつもりでござ
います。この一瞬が看取りではなく、見届けの
過程になる事を祈りつつ。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第五巻五回 2008.3.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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