日本で、夜眠れない時はどうするか?若者なら上着をはおって、近くの二十四時間営業のコンビニまで出かけるだろう。ところが最近、日本に住む外国人の間で新しい夜の行き先ができた。それは、夜も灯りが消えない「ドンキ王国」である。
「ドンキ王国」(ドンキホーテの別名、愛称ドンキ)は、日本中にある、一晩中営業している安売りチェーン店である。普通の二十四時間営業のコンビニなら、そろえている商品は四千種程度だろうが、「ドンキ王国」の商品はその十倍だ。家電、日用雑貨、ファッション、スポーツ用品、園芸用具、ペット用品、化粧品、薬品、飲み物、食べ物など、何でもそろっている。おおげさに言えばドンキには、およそ思いつくものなら何でもあるのだ。
私が日本に来て二年目に「ドンキ王国」の第一号店が開店したが、現在は日本全国に四十九店舗もある。いつも行きたくなる理由としては、「便利」なことと「安い」ことに加えて、「楽しい」ということがある。「ドンキ王国」の巨大な黄色い看板の下の入口を入ると、何か間違ったところに来てしまったような気分になる。天井や壁に品物がかけられ、棚や床にも並べられ……店と言うより、自由に宝探しができる迷路のような楽園に入ってしまったようなものだ。このような「楽しさ」のために、みないつまでも店内に留まり、あちこちうろついた末に何かしら気に入ったものを買っていく。自分のためであれ、友達へのプレゼントであれ、たいていは満足のいく買い物ができるのだ。気軽なアクセサリーもあれば、高級ブランドもあるが、すべてに共通しているのは、他ではこんなに安くは買えないということである。
こうした千平方メートルほどもある店舗の客の騒々しさは、夜人が寝静まる時間になると、付近に住む住民にとっては耐え難いものだろう(「ドンキ王国」が開店してから、その手の紛争が起こったこともある)。「ドンキ王国」は、繁華街の真ん中というわけにもいかないし、あまり辺鄙な場所でも困る。そのため、開店する場所については研究が必要だ。また近隣と良好な関係を保つために、一部の店舗の営業時間を変更することもある。このような微妙な調整の中で、ちょうどいいバランスを保っているのだ。もちろん、しばしば新しいタイプの店舗を増設するのも、店の新鮮さを保つ秘訣だろう。
「ドンキに行こう!」は、かつて流行の先端を行く東京の美女たちのスローガンだったこともある。みなさんも日本に遊びにくる機会があれば、くれぐれも「ドンキ王国」に行くのをお忘れなく。 |