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┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓ ┃★┃雑┃学┃★┃人┃の┃体┃は┃化┃学┃工┃場┃ ┗━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛ 第6号です。 発行者より メルマガの発行者の丸山といいます。 毎週木曜日予定で発行していきます。 ご購読ありがとうございます。 今後も引き続き購読おねがいします。 皆さんは、当たり前のように朝起きて寝るまでの間、普通に 生活していると思いますが、私たちの体を科学という角度から 見たとき、とても不思議で面白いものが見えてきます。 また、雑学として人にさりげなく話をすると物知りと思われる かもしれません。試してみてください。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 《麦もカビから取り出した幻覚剤 LSD 》 小麦にある種のカビがつくと、穂の中に、1〜5cmくらいの 紫がかった褐色の角形のものができます。 これを麦角(バッカク)といい、猛毒をもっています。 麦角の毒は、血管を収縮させます。 手足の血行を妨げて壊疽(エソ)を起こし、ひどい痛みも感じ ないうちに手足が腐ってしまうのです。小麦に1%未満の麦角 がついていても、中毒が起こります。ローマ時代には、麦角の ついた小麦で1年に数万人もの人が亡くなったといいます。 しかし、このように恐ろしい猛毒も、適量を用いれば薬になり ます。分娩のとき、子宮の収縮を促すために用いられるように なり、20世紀の入ると、麦角からいろいろな成分が抽出され 研究が進みました。 スイスのサンド社で、麦角から取り出した成分をもとにつくら れたLSDもその一つです。研究員がちょっとなめてみて、 異常な体験をしました。周りの人々が彩色された漫画のように 見えたり、水面に移った画像のように見えたのです。 これが、LSDが幻覚剤として世に踏み出した第一歩です。 ハーバード大学心理学教授のティモシー・レアリーは、アル中 の治療にLSDを用いましたが、やがてこともあろうに学生たち にすすめ、幻覚を体験させます。やがて学生を中心に愛用者 が増えてくると、LSDを魂の救済と結びつけた宗教を興こし、 自ら教祖となったのです。 これがきっかけとなり、アメリカでは若者や学生の間でLSDが 大流行し、大きな社会問題になりました。日本では麻薬として 取り扱われたので、LSDのわざわいからは逃れられましたが。 LSDというのは、物質名でリゼルグ酸ジエチルアミドのL、 サンド社のS、商品名のデリシッドのDの頭文字を重ねら ものです。 《ピリン系薬剤ではないのにアスピリンというのは?》 たいていに風邪薬には、よく見えるところに「非ピリン系」と 書いてあります。アミノピリン、アンチピリンなどのピリン系 の解熱・鎮痛剤は副作用が強いので、この風邪薬では使ってい ませんという意味です。 日頃よく使う解熱・鎮痛剤に、アスピリンがあります。ピリン と名がついていますが、本当の名をアセチルサリチル酸といい、 ピリン系の薬剤ではありません。 どうして同じ解熱・鎮痛剤で、そんなに粉らわしい名前をつけた のでしょう。ピリン系と名がつけば、だれだってピリン系の薬剤 だと思ってしまいます。 アセチルサリチル酸を、アスピリンという名づけて発売したのは、 ドイツの製薬会社バイエルです。1899年のことですから、お よそ100年ほど前のこと、それまでヨーロッパでは、セイヨウ ナツユキソウ(学名:スピラエ・ウルマリア)を湿布役として、 神経痛、リウマチの鎮痛の用いていました。 その成分はサリチル酸です。アセチルサリチル酸は、バイエル が開発した化学薬品です。 似ているがスピリンはないという意味で、 「ア(ではない)スピリン(スピリエ)」と名づけました。 つまり、その後開発されたピリン系の解熱・鎮痛剤と紛らわしい 名前になったのは、単なる偶然の一致だったのです。 アスピリンはどんな痛みにも効くし、モルヒネのように心臓を悪く したり麻薬中毒になったりする恐れがないので、万能薬として注目 を浴びました。 解熱・鎮痛剤として手軽に使われてきましたが、なぜ発熱に効くの かわかったのは、つい最近、1971年のことです。細菌や白血球 が出す発熱物質によって脳でプロスタグランジンという物質がつく られ、体温が上昇させます。これが発熱のメカニズムです。 アスピリンは、脳でプロスタグランジンができるのを抑えるので、 体温の上昇も抑制されるというわけです。アスピリンには、血を 固まらせにくくする作用もあるので、最近では動脈硬化の予防策 としても使われています。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 発行者:丸 山 連絡先:break_345@yahoo.co.jp ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ |