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★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第四巻弐拾回 小説「はぎんぎゅう」 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 小説配信回。お楽しみ戴ければ幸いです。 ○●○ はぎんぎゅう XQO 目印はがさがさした和紙に墨痕逞しく書き殴 られた"FREE HUGS"の文字。時間は七 時ジャスト。 人並みに紛れて、お互いに温もりを補完しあ う一時。不埒な気分にならないのが我ながらい まだに不思議だ。佑に感化されたんだったら好 い変化なんじゃないかと思う。 佑がフリーハグの波に加わると宣言した時、 僕は真っ先に反対した。理由の多分半分は独占 欲、そして半分は世間体。 僕等の関係を薄々感づいている近隣住民の数 は多いし、如何いう感情を抱いているかも気付 かない訳じゃない。其の中でわざわざリスクを 背負わなくとも、と言う気持ちと、自分の物を むざむざ人に貸し出すのかと言うみみっちい気 持ち。自分でも人として如何だかなと思う。 そう言う事を口を酸っぱくして言い募る僕に 対して、佑はのほほんと返したものだ。 「あ、そういえば俺そう言う性嗜好の人だっ け?」 「気付くの遅いよ!」 「でも、そうだからと言って惚れっぽくない から問題ないんじゃね?」 「だって、周りが…」 「……あー、あんさー」 舌打ちで返されるかな、と一瞬ヒヤッとした。 でも、そうじゃなくて背中からのハグで返され た。 「あ……えーと」 「俺さー、あーちゃんと普通に恋愛してるつ もりだったけど、違う?」 「ち、がわない」 「で、あーちゃんも俺の事好きでいてくれる んよね?」 「当たり前じゃん」 「まー、二人きりじゃ生活は出来んから御近 所付き合いは大切にしなきゃならんとしても、 よ」 頭を左肩に載せられる。 「親愛のハグと恋愛のハグの違い、俺判って るつもりよ?」 「……うん」 「恋愛のハグは、あーちゃんと以外には出来 ない。ハグをすっ飛ばして肉欲に迷う可能性は あっても」 「…んな事、断言すんな」 「絶対無い様に努力します」 「心掛けてれば、良い。んで?」 「はい?」 「親愛のハグを人に振りまいた後、僕の居る 余地は佑の中に在る訳?」 「そらもー、特等席がきちんと」 左肩に載った頭。その短い髪を掻き回す。初 めて会ってから暫くは坊主頭だったから撫で回 す感じだったけど、今は掻き回せる程度に髪が 長くなってる。 「ったく…博愛な人と恋愛すると気分が休ま らないな」 「悪いね。我儘で」 「薄情よりは好感持てるから良いやね。期間 と場所は未定?」 「比礼伊里駅前で二ヶ月間を目処に考えてる」 「……何気に小心だな?」 「流石に理解して貰う前だしね」 くぐもった返事。肌で感じる息遣い。伏せた 顔がどんな表情を浮かべているかは確かめなく ても判る。 判っとくべきだったな。佑の方が僕より二人 のバランスに就いて不安を抱えているって事を。 いつも飄々と対処しているものだから、つい忘 れてしまっていた。 形のある証でも身に付けていたら少し展開が 違ったかも知れない。でも、僕は生憎とそう言 う身に付けるものに就いては些か制限を心得て おかなければいけない体質だ。二人暮しを始め るにあたり佑が僕の体質に合わせた生活を送る 為に断念したものも幾つかある。 そうまでした彼が、僕の気持ちを考えずにこ ういう事をする筈が無いと判っとくべきだった じゃないか、全く。 その上で博愛な人をやりたいというんなら、 今度は僕がきちんと向き合うべきなんだろうな、 きっと。 暫くの間、午前七時に僕は佑と親愛のハグを する為に比礼伊里駅前に出かける。ただ温もり を貰う為じゃなくて、博愛な彼の気持ちを少し でも補完する為に。 僕はフリーハグには賛同できても実行は出来 ない。なぜなら、僕はこの大きな駄々っ子一人 を抱きしめるだけで充分手一杯になってしまっ てるから。 (了) ○●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 ここで一つ自己喧伝を。 『ショタコンのゆりかご』サイト化致しました。 http://shotayurikago.omiki.com/ ご愛顧戴けましたら幸いでございます。 では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第四巻弐拾回 2007.10.25発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ |