原宿のオリジナル工芸展
爽やかな風に秋らしさを感じる季節になった。原宿のアートスペース――デザイン・フェスタ・ギャラリーで「秋に花ひらくオリジナル工芸の世界!」と題した展覧会が開かれる。ここで陶芸、木工、染色、刺繍、編み物など、幅広い素材と様々な表現方法が交錯する工芸世界を展開し、未知なる可能性を秘めた世界を探究するのである。
【10月2日〜10月4日 わたなべみなみの「かなしいこと」(立体、刺繍、編み物)】21歳の大学4年生であるわたなべみなみは、最近織物にも興味を持ち、作品制作を始めた。今回の内容は、「気持ちの悪いもの」をテーマに、様々な技法を用いて表現している。いろいろな方法を試みることで、彼女のアート世界が拡げられている。
【10月2日〜10月4日 大磯工房(工芸・陶芸)】湘南の穏やかな波と鮮やかな空の色を、器によって表現する。2005年に工房を設立、2006年からクラフトイベントに参加し、様々なワークショップを意欲的に開催している。日常使いのものであると共に観賞の対象でもある作品に、湘南の匂いを感じることができる。
【10月2日〜10月8日 ELISABETH EBERNORFER “BLOSSOMS”(写真、帽子、オブジェ)】オーストリア在住のアーティストELISABETHが、様々な素材で創られた手編みの帽子やオブジェを撮影した作品を発表する。花をモチーフにした作品は、人々にナチュラルなイメージを与えるが、また別の角度からその魅力を楽しむこともできる。
【10月2日〜10月8日 永島麻夷 「モダン焼き陶芸展」(陶芸)】永島麻夷は愛知県在住で、両親は廃材家具職人である。彼の発表する作品は個性的で色彩豊かな陶芸のモダン焼きと、そこに描かれた独特な世界観溢れる絵画である。被災地の地割れした地層の粘土で作られた作品は、これまでの陶芸の概念を覆し、人々に衝撃を与えるだろう。
【10月5日〜10月8日 福田宣子 「1枚の布〜手織り布の息吹 モスリンの風〜」(染色、織物)】福田宣子は59歳で美大に入って勉強し、自身の感性を発揮し続け、卒業後も数々の展覧会で入賞している。バラエティに富んだ手織り布と独創的な染色を施したモスリン、そしてそれらをなるべく細工せず一枚の布として仕立てた服。失われつつある素材を再興すると共に、染と織りの二つの深遠な世界を表現している。
【10月6日〜10月8日 井出富久(木工作品)】井出富久は拓殖大学工業デザイン学科を卒業後、パッケージデザインに携わる。漆作品を中心として、楸工房を開設。製造、販売、展覧会への参加など、積極的に活動中である。今回は、漆木工作品(アクセサリー、名刺入れなど)を発表する。木目を引き立てた、独特な深みと艶を持っている。
期間:2007年10月2日〜10月8日 午前11時〜午後8時
場所:デザイン・フェスタ・ギャラリー(東京都渋谷区神宮前3−20−18)
デザイン・フェスタの人々【三浦志保】
三浦志保が革製品を作り始めたのは、10年前である。大好きなバイクの世界で革グッズがよく使われ、バイク仲間だったご主人が革製品を作っていたことが直接のきっかけだった。デザイン・フェスタには4年前から参加している。最初は見に行くだけだったが、出展者に「誰でも出せるから、君も出してみなよ。」と言われ、「じゃ、やっちゃおうか!」と出展を決めた。初めてのときはとても緊張したが、今はお客さんと話すのにも慣れてきた。「バイクに乗らない人たちに革製品のよさを伝え、作品を見てもらういい機会になっています。」と彼女は言う。「これからも、自分の好きな作品を作り続けながら、いつの日か、革製品作りの教室を開きたいと思っています。」デザイン・フェスタの会場で、革製のテンガロンハットをかぶって革製品を作っているかっこいい女性がいたら、それが三浦志保である。会場では財布やかばん、革に彫られた絵などの作品を買うことができる。
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