崖っぷちの真実
日本のテレビの推理ドラマのクライマックスでは、崖のシーンがよく登場する。嘘だと思われるなら、夜11時にテレビをつけてチャンネルを合わせれば、そんなシーンに出会えるに違いない。しかし、どうして崖なのだろうかと、不思議に思われるだろう。
最近日本のある大学の研究室で綿密な科学的調査を行った結果、驚くべき結果が現れた。容疑者を崖の上に連れていくと、自白を促す効果が高いというのだ。これは正に、中国で昔から言う「懸崖勒馬、回頭是岸」(崖っぷちで手綱を引き、考え直せば救われる)と同じである。
東映大学の犯罪学研究室の船越英一郎教授は、長年の研究の結果、このような論文を発表した。彼は過去二十年間の犯罪を記録したドキュメンタリーフィルムから、犯人が自白する際の様子を詳細に観察した。その結果、70%の犯人が崖の上に追い詰められた時に自白をしていることがわかった。船越教授は崖が自白を促す原因について分析し、崖下の波が大量のマイナスイオンを発生して、犯人を爽やかな気持ちにさせ、自白する勇気が出てくるのだと結論付けた。つまり、崖にはO・ヘンリーの小説にあるような「賛美歌」の効果があるというわけだ。
これについて、鹿児島県警では「すばらしい研究だ」と大いに評価し、今までは犯人に自白をさせるために、代用監獄、カツ丼、電気スタンドなどを使うしかなかったが、崖なら経費もかからないので、さっそく捜査手法として採用したいとしている。また、船越教授の研究成果には、「解決する事件の30%には入浴シーンが出てくる」という説もあり、さらなる研究による真相究明が望まれる。
ある人がネットでこの情報を見つけて、わざわざ海辺の崖まで行って「実地検証」したのだが、別に「爽やかな気持ち」にはならず、「緊張で不安」だっただけだそうだ。もしかすると犯人はこんなところに連れてこられて、「お願いだから突き落とさないで。全部自白しますから。」と悲鳴を上げているだけなのかもしれない。いずれにしても、崖っぷちの自白が多いということは、争えない事実である。
(さて、東映大学と船越英一郎教授という名前から、読者のみなさんにはもうおわかりだろうが、これはパロディニュースである。日本のサスペンスドラマの典型的なシーンを面白く分析していて、ユーモアに溢れており、なかなかよくできている記事なので、ご紹介してみた。) |