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★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第四巻拾五回 油断禁物 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 さて、つらつらと綴って参りましょうか。 今回は易しく判りそうで微妙に判り難い、「作 品」に対する評価の内側を筆者なりに解してみ ようと試みます。 やおいショタの分野の作品評価というのは恐ら く一般の作品と比べると特殊な部類ではないか、 とこの方面に嵌って以降未だに思います。 実際評価に対する基準がきちんと定められてい る訳ではなく、かなり感覚的な評価の積み重ね が大きな声となり、静かにか激しくか作者の元 に届いたり……現在はネットを通じて届いたり ですとか…致します。 敢えてその状態の中で評価基準を求めるならば、 それは読者それぞれの美意識もしくは嗜好の公 約数でありましょう。しかしそれとても絶対と 言う訳ではないのです。あくまで目安として存 在するだけという話で。 これは恐らく作家が生まれる過程が関係してい る問題であろう、と筆者は感じます。やおいシ ョタの世界では同人とプロの差がかなり曖昧で ありますから。今も、昔も。 実際、筆者がこの世界に転んでから20年程、同 人の場からプロの場に進出した作家さんが多い と感じた事はあっても、何らかの養成機関を経 由して修行を積み、万を持してやおい作家或い はショタ作家BL作家として世に出た人が多くな ったと感じた事は残念ながらございません。筆 者の視点の偏り故に観えていない部分があるの かも知れませんが。 確かに作家を育成すると行ってもどう育成すれ ば良いのか判り難い部分の多い、否、多過ぎる 分野であります。同人の場で自主的に修行を積 み、ある程度の下地を持って登場する人の方が 一から十まで仕込んで行くよりは楽なのでしょ う。作風についても技術よりは個性を尊重し、 いざとなればヘタウマ【註１】で通じる範疇で 良いという判断とてもあるのやも知れません。 確かにそれで上手く行く部分もあるのかも知れ ません。読者がある程度の知識経験を持った同 好の士であると言う前提に寄り掛かるならば。 しかし、20年前と今では当然ながら市場規模は 違うでしょう。同人に於いても、ましてやプロ つまり商業に於いても。ネット普及以前以降で も大いに規模は違います。 ネット普及以降の場合、評価は恐らく日本国内 から加えられるものに止まりますまい。筆者の 言葉も筆者が知らぬだけで地球の裏側で何らか の評価を加えられている可能性もあるのですか ら。 閑話休題。 この界隈にも褒誉の要素の一切ない毀貶のみの 評価というものが存在します。毒舌と称されて いたりするものでございますね。 確かに毒を含んだ評価も必要な場合があります。 たまには毒に当てられないと自らの弱点を見つ ける事も難しくなりましょう。 しかしながら、毒舌と称されるものの中にはた まに見当違いのものが紛れ込んでいる事もある のです。例えば自らの嗜好を盛り上げたい為に 他者を不当に辛辣に論うですとか。 矛盾した物言いですが、毒舌にこそ実は作品に 対する深い愛着が必要なのです。作家さんを育 てる為の毒舌が、必要なのです。 筆者が愚考しますに、作品世界を美しく展開さ せる為には要望で雁字搦めにするよりも作者の 筆が確りと奮える状態を保つのが一番の早道か と。毒舌で萎縮させるよりは褒めて次の段階を 踏む愉しさを覚えて貰うべきではないかと。 作者を育て、そして同時に評者も自己教育出来 る様な評論が展開される事が恐らく一番望まし いのではないでしょうか。 言うは易し行なうは難しと承知はしております。 しかし、心得ておくだけでも作品を見る目に少 し変化が出てくるのではないか、と思うのです。 さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 註１： イラストの評価基準を技術的な面に置かず感覚 的に訴える部分、味わいに求める感性が導き出 した用語。評価に対する思考停止の呪文である とも考えられる。八十年代前半から使用される 様になった用語との事。この註内での解釈は筆 者によるもの。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第四巻拾五回 2007.8.10発行 文責：葡萄瓜XQO website：『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail：xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ |