メルマガ:組紐工芸 工房 多津蔵通信
タイトル:夢幻出版社『多津蔵物語』 ”第四章 其の弐 ”  2007/06/30


書き込みをするのは、思い付きの様なものなのです。

読者に対しては、申し訳ないの気持で、一杯です。

それでも、月末を迎えると、書き込まなくっちゃと、思います。

かくして、アリバイ的に、始めました。

今日の題は、『工房の、新しい姿!』です。

【 新しいとは! 】

 古い衣を、脱ぎ捨てないと、新しい衣は、纏えません。
 仕方が無く、着慣れた衣を、脱ぎ捨てるのです。
 脱いでみると、意外にも、ぼろぼろの衣であった事に、気が付きます。
 もう、十二分に、着尽くした事を、衣は、語ります。
 思わず、ご苦労様と、声を掛けている。


【 新しい姿とは! 】

 新しい衣を纏えば、新しい己に成れるのでは、在りません。
 其れでも、見た目だけは、新しく感じさせらる事が、出来ます。
 其の新しさが、見た目だけならば、次第に、色褪せて行く。
 色褪せる前に、振る舞いも、新しく成らなければ、いけない。
 慌て、装いに合わせた姿を、演じる。


【 新しく演じるとは! 】

 言葉では、簡単だが、現実は、容易くは無い。
 容姿が変わっても、振る舞いまでは、変われない。
 まして、演じるなどは、口で云うほど、簡単ではない。
 其れでも、繕いながら、演じ続ける。
 愚かだと思いながらも、止められない己を、嘆く。


【 新しい嘆き! 】

 新しくなったのに、また、新しい悩みが、生まれる。
 遣りようの無い嘆きの中で、苦悩をする。
 こんなんじゃ無かったのにと、思い返す。
 周りを見渡すと、淡々と、暮らしている。
 無理に、新しくしなくとも、工房の皆は、日々、輝いている。
 
 其の事に気が付くと、一度に、霧は晴れた。
 もう一度、着慣れた衣に、腕を通す。

 不思議に、安堵が戻った。


                   夢幻出版社 編集長 田鶴彦之蔵人



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