マウスコンピューターは、日本のパソコン業界の新しいブランドである。次々に高性能で非常に安い新型パソコンを発売するので、注目を集め、販売量も急増している。だが、実は私がいつも視線を引き付けられるのは、独特な外観や性能の説明ではなく、穴あきチーズからネズミの尻尾がのぞいているブランドマークと、心に響く「理想をカタチに」というスローガンなのである。
休日に撮影した「東京写真日記」を整理していて、何枚かの写真に「西銀座宝くじ売り場」の長蛇の列が写っているのに目が留まった。有名な「日本で一番当たりが出ている売り場」に集まった老若男女たちの顔は期待に輝いていて、以前中国で流行した言葉を捧げたい気分になった。「願夢想成真(夢が叶いますように)」
理想。夢想。たった一字の差だが、よく考えてみると、その意味するところは大きく異っている。
夢想(夢)のない人生は悲しい。だが、夢想は非常にはかなく、個人だけに属するものだ。それは個人の小さな内面の世界にあって、本人もその形をはっきりと描くことができない。だが理想は目標を捜し求める心の働きであって、理性に満ちており、はっきりした将来性があるだけでなく、重要な責務を担っており、不屈の献身的な精神が必要とされる。
「夢が叶う」ことはもちろん喜ぶべきことだが、あまりに空虚なものだと、やってきた喜びもたちまちのうちに去っていき、きらきら輝くシャボン玉のようにあっという間に消えてしまうし、ひたすら夢を貪欲に求めていると、挫折の辛さに耐え切れず、気持ちが落ち込んで途中であきらめてしまうことにもなりかねない。一方、「理想をカタチに」の方は高い建物が平地に建つように、堅実な基礎と無限に発展する未来がある。理想追求の過程で困難や障碍に遭っても、理想のためにがんばっていれば、成功しても失敗しても同じように尊敬される人生の価値がある。
夢想は一時的なものであり、理想は永遠のものである。静かな夜更けに昨日の夢想と今日の理想を一緒にしてゆっくりかみしめる。朝日がのぼる頃、夢想が理想に転化して、朝の光に向かって飛び立っていく。人生はこうして新しい飛躍を迎えるのだ。 |