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*☆*――*☆*――*☆*――*☆**☆*――*☆*――*☆*――*☆*☆*――*☆* ☆☆ ムダ金を払おう! ☆☆ 〜〜勝利者たちの「型破り」成功術〜〜 No.2 衝動買いをしよう *☆*――*☆*――*☆*――*☆**☆*――*☆*――*☆*――*☆*☆*――*☆* 「人は興奮した時に人生を成功させるのです」 *☆*――*☆*― クライスラー社創業者 クライスラー ―*☆*――*☆* 若きウォルター・P・クライスラーには金も学歴もなかった。 父は地元の鉄道会社の機関手。兄も同じく鉄道会社に勤めていた。 クライスラーも高校を卒業後、自然に鉄道会社で働くようになった。 それ以外に食っていく選択肢はなかったし、 整備工場のしがない掃除係の仕事に満足していた。 クライスラーの十代の日々には、 後の輝かしい成功を感じさせるものはなにひとつなかったのだ。 ただ一つ、彼は他人とは違うものを持っていた。 それは無類の機械好きであることだ。機械への強い興味である。 彼は毎日整備工場で仕事の合間にさまざまな機械を眺めたり、触ったり、 仕組みを考えたりすることに、なによりも大きな喜びを感じていた。 やがて彼は掃除係の職についたまま、 本格的な機械技師の勉強を始めるようになった。 全情熱を傾けて猛勉強し、二十歳のころには ベテランの機械技師顔負けの技術と知識を持つようになる。 彼は、エンジニアとしての腕を武器にアメリカ中西部を飛びまわり、 各地の鉄道会社で技師長や工場の総監督として働いた。 そんな毎日の中で、彼は機械に対する純粋な興味のほかに、 機械による輸送にも強い関心をを待ち始めていた。 機械が人や物を運ぶことで社会が豊かになっていく。 そんな実感を仕事から得ていたのだ。 ある日、彼は運命の出会いをする。 シカゴのモーターショーで「ロコモーピル」と名づけられた ツーリングカーを目にしたのだ。 クライスラーは後にこの時のことを次のように記している。 「僕はまるであの車にとりつかれてしまったようだった。 四日間も自動車ショーの会場を雛れることができなかった」 生粋のメカ好きの心がうずいたのである。 しかし、当時の自動車はとてつもない贄沢品で、 普通の労働者にはとても手が出ない。 ましてショーに出品されたロコモービルは最新の高級車である。 彼は悩んだ末、とうとう我慢しきれずに銀行から五千ドルを借り、 その場で自動車を購入する。 そして列車に乗せて自宅に持ち帰るのである。 普通ならその後はドライブ三昧の日々を送りそうなものだが、 クライスラーのメカ好きは筋金入りだった。 彼はロコモーピルを一度も運転しないうちからばらばらに分解し、 終わると再び組み上げた。 それから初めて乗車し、町中を一回りすると再び分解してしまう。 そしてまた組み上げる。クライスラーはこれを何度も繰り返した。 ロコモービルを一つの教科書として徹底的に研究しつくしたのである。 そんな彼を友人たちは「頭がおかしくなったんじゃないか」とさえ噂する。 しかし、この行為が、後にアメリカ自動車業界のビッグスリーの 一つとして君臨する、クライスラー社創業のきっかけとなるのである。 彼が多額の借金をしてロコモービルを衝動買いしてしまった時、 彼の中にあったのは、起業のヒントにしようとか、 最新の輸送手段に投資してみようといった意識ではない。 彼が感じたのは、たまらなく好きなものに出会った時の 「興奮」だけである。 後にクライスラーは、「成功の秘訣は?」と聞かれて、次のように答えている。 「成功の本当の秘訣は『熱心さ』です。というより、『興奮』ですね。 私は人が興奮するのを見るのが好きなんです。 そして、人は興奮した時に人生を成功させるのです」 *☆**☆* ムダ金を払おう!〜〜勝利者たちの型破り成功術〜〜 *☆**☆* 長澤 智彦 tohiko@infoseek.jp |