メルマガの原稿を急いで書いている時に、パソコンが突然「ストライキ」に入ってしまった。真っ黒な画面が、まるでこちらに「宣戦布告」しているように思えた。このパソコンはもう五年間使っていて、最近はダウンすることも多かったので、来年一月に新しいOSが発売されたら買い換えるつもりでいたのだが、まさかそれより前に壊れてしまうとは思わなかった。
編集作業は緊急を要するので、吹き付ける寒風を突いてはるばる秋葉原まで新しいパソコンを買いに出かけた。駅を出たとたん目に飛び込んでくる「電気街」の大きな看板が示すように、大多数の華人にとって秋葉原は永遠に、果てしない家電の海原である。
だが、秋葉原には驚くほど大きな変化が生まれていた。「パソコンの卸売り」、「廉価な家電」の玉座はいつの間にか新宿や渋谷駅付近の大型カメラ店に移り、マニアックなオタクたちも、一部のメディアが伝えるように街に溢れかえっているのではなく、一部の特定の区域に集まっている。
週末の夕暮れの秋葉原が私に与えたイメージは、「電気街」というよりややITの色彩を帯びた「旅行者の街」であった。様々な皮膚の色で様々な言葉を話す人々の流れが、高いビルが林立し、音響が鳴り響くSFのような世界を行きかっている。広い通りが歩行者天国として開放され、無数の音楽グループが自由に歌ったりパフォーマンスを披露したりしている。立ち並ぶ電器店の間にある日本各地からのおいしい料理店や、珍しい軽食の屋台の前には長い列ができている。ハイテクのイメージに溢れるパソコン部品店では、可愛い電子玩具が、両親に小さな手を引かれてやってきた子供たちをひきつけている。
秋葉原は外国人観光客を特別に歓待もしなければ冷遇もしない。ここでは誰もが異国にいるという恐れや緊張を持つことなく、小さな携帯電話ストラップでも、巨大なブロードバンドカラーテレビでも、たどたどしい日本語を使って思う存分値切ることができる。一般の観光地とまったく同じだ。もちろん、私も本物の旅行者のような顔をして、この短い「秋葉原の旅」で、心にかなった自分へのお土産――安くて品質のよい新しいパソコンを買った。
今、「windows vista RC1」と「office 2007試用版」を使ってこの編集後記を書いている。文章の中に、「秋葉原」の気分を感じていただけるだろうか? |