無料コピーと広告
首都圏の大学で、無料で利用できるコピー機「タダコピ」が人気を集めている。
これはコピー用紙の裏面を使った新しいタイプの情報媒体である。大学のキャンパス内で賛助企業に対して情報発信スペース(コピー用紙の裏)を提供し、賛助企業は本来1枚10円のコピーサービスを無料にして学生を支援する。双方がメリットを得られて、一挙両得というわけである。
タダコピを発明したのは慶応大学と中央大学の5人の学生が作った株式会社オーシャナイズである。彼らはコピー用紙の裏にカラフルな企業広告を載せ、企業から1万枚の広告掲載料として40万円を徴収し、機械の設置費やコピー費などに充てている。
裏面の広告が透けないように厚めの紙を使い、あらかじめ広告を印刷しておく。コスト削減のために、紙はA4サイズに限定している。また、一人の学生に一枚の広告が届くような仕組みになっており、5枚コピーしたとしても同じ広告が5枚来ることはない。これによって広告の価値を高めているのだ。用紙トレイはロックされ、関係者以外は開けられないので、自分の持ってきた用紙に勝手に換えることはできない。
イベント参加者を募集する就職支援会社は、「ビラをまけば捨てられてしまうことが多い。コピー用紙として学生の手元に残るのは有用だ。」と述べ、都内の大手アパレル企業は、「我々の新規ブランドを直接女子大生にPRできる。」言う。大学生たちは無料なのに驚くと同時に、裏面の広告のデザインの美しさを絶賛している。
現在、慶応大学、一橋大学、東京大学、早稲田大学、法政大学などの首都圏の9大学に17台のコピー機を設置している。年度内には、関西圏の私立大学にも広め、最終的には100の大学に設置する予定である。 |