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★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第三巻弐拾壱回 萌えは多面体の如く ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 先ずはこの場を借りて一言御礼をば。 先日東京は浅草にて行われました少年系総合同 人誌即売会『ショタスクラッチ』、お陰様を持 ちまして用意のカタログ兼パンフレットが開場 後30分で完売に至ると言う盛況ぶりだったとの 事。カタログに寄稿した者と致しまして御来場 戴きました皆様に御礼申し上げます。 さて、つらつらと綴って参りましょうか。 ○●○ やおいの別称と言いますか分岐には様々ござい ます。とりあえず列記しますと、 ・耽美 ・JUNE ・Boy'sLove ・Guy'sLove ・Men'sLove とりあえず公に囁かれているのはこの辺りでご ざいましょうか。これらは時にやおいと同一視 されたりする事はあっても、相互間で同一視さ れる事は滅多にありません。その理由を、少し 考えてみようかと思います。 先ず、耽美とJUNEはほぼ等しいものとして認識 されます。そして又JUNEとBoy'sLoveも時にほぼ 等しいものとして認識されます。重ねて言えば Boy'sLoveと耽美も等しいものとして考えられて いた頃がありました。これは成立過程による認 識がある程度重複しているからであると考えら れます。 そもそもJUNEと言う区分は雑誌『JUNE』(創刊 当時は『comicJUN』)から由来したものであり、 本来あった耽美趣味から分岐したものであると も考えられます。しかしその内実が耽美と言う 言葉の響きから連想するような重厚一辺倒であ ったかと言うと決してそう言う訳ではなく、む しろ重厚の反動としての笑い軽さも時に含んだ ものであった様です。 Boy'sLoveに目を転ずれば、こちらは最初にこの 語を使用した版元(白夜書房)及び編集プロダ クション(すたんだっぷ)が境界線を曖昧に考 えたままでこの語を使用していた節がある為、 結果として耽美と同一視される様な雰囲気を醸 し出したのでありましょう。後年ではある程度 の区分認識があった様でございますが。 Guy'sLoveと言う区分は実は古くから(と言って も十年程度の歴史ですが)存在します。 もっともこの語もまた版元の都合により発生し た言葉が初出。桜桃書房発行のオリジナルアン ソロジー『JA:KOW』のキャッチコピーが淵源で ございます。愚考しますに、この語はBoy'sLo -veの代用語として案出されたのではないでし ょうか。Boy'sLoveと言う言葉は往時特定版元 の独占使用語であるかの様な雰囲気がございま したので。 さて、残る一つ。Men'sLoveでございます。 これだけはどうも自然発生と言う形で生まれた 区分の様なのですね。少なくとも筆者が初出を 確認しているのは1999年の時点であり、その初 出には(少なくとも一見)商業の思惑が絡んで いない様に見受けられます。 とりあえず成立過程を簡略に列記しましたが、 実はいずれも決して的外れではありません。 むしろ『やおい』と言うものの側面をそれぞれ 言い当てている感がございますね。それが相互 に微妙に干渉しあっているという感じでござい ましょうか。 実際これらの言葉がいずれも消え去る事無く平 行して存在している情況と言うのがやおい萌え の現状を示しているのではないかと思われます。 新しい展開がそれぞれに存在している状況も含 めて。 その展開の中でやおい或いは腐女子と言う存在 がキーワードとして捉えられ、何かの切り口に なると認識されているのやも知れません。 ただその認識の中に歴史的なものが欠けている ので的外れになっている様な感が否定できない のですが。 ○●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 参照文献 ◎ comicJUN 創刊号 1978 NO.1 “いま、危険な愛にめざめて―――” AESTHETIC MAGASZINE FOR GALS 78.10.1発行/KKサン出版/雑誌3961-10 ◎ comicJUNE 1979 2 NO.3 comicJUN改・ジュネ 79.2.1発行/KKサン出版/雑誌05193-2 ◎ イマージュ “BOY'S LOVE【ハート】COMIC” すたんだっぷ:編/白夜書房/91.12.10初版 ISBN 4-89367-248-7 ◎ JA:KOW 1996 JANUARY VOL.1 “GUYS LOVE STORY for GIRLS.” 桜桃書房/96.2.25初版 ISBN 4-7567-0286-4 ◎ 同人サークルガイドブック “YAOI:GUYS LOVE STORY FOR GIRLS.” 桜桃書房/97.1.5初版 ISBN 4-7567-0696-7 ◎ 迷宮書架 ひらのあゆ/雑草社/03.4.23初版 ISBN 4-921040-04-4 ※111頁『Men'sLove』言及 ↑ 活字倶楽部13 '99春号 雑草社/99.6.5発行/雑誌14079-06 ※111頁;レビュー頁扉漫画 ◎ ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第三巻弐拾壱回 2006.11.10発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ |