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===================================================== 発行部数 25 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ ☆☆ 2006/10/23 (Mon) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 1.月曜日の連続ドラマ 2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1. 月曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル のだめカンタービレ 局 名 フジ系 放映日時 月曜21時 キャスト 野田恵 (上野樹里) 千秋真一(玉木宏) 谷岡肇 (西村雅彦) 峰龍太郎(瑛 太) 三木清良(水川あさみ) 奥山真澄(小出恵介) 多賀谷彩子(上原美佐) 大河内守(遠藤雄弥) 佐久 桜(サ エ コ) 峰 龍見(伊武雅刀) 河野けえ子(畑野ひろ子) 江藤耕造(豊原功補) フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人) 石川怜奈(岩佐真悠子) 田中真紀子(高瀬友規奈) 玉木圭司(近藤公園) 橋本洋平(坂本 真) 鈴木 萌(松岡璃奈子) 鈴木 薫(松岡恵望子) 岩井一志(山中崇) 金城静香(小林きな子) 井上由貴(深田あき) 金 井 (小嶌天天) 原 作 二ノ宮知子 脚 本 後藤凜 主題歌 『』 あらすじ Lesson2「落ちこぼれ変態オケ!波乱のスタート!?」 セバスティアーノ・ヴィエラと並ぶ世界的な指揮の巨匠シュトレー ゼマン(竹中直人)によって結成されることになったオーケストラの メンバーが学内の掲示板に貼り出された。 コントラバスの佐久桜(サエコ)、Aオケのメンバーでもあるティ ンパニの奥山真澄(小出恵介)、ロックに入れ込むヴァイオリンの峰 龍太郎(瑛太)などの名前が並んだ。そしてなぜかマスコットガール としてのだめ(上野樹里)の名前もあった。しかし一体選考基準がな んなのか誰にもわからなかった。一見すると真澄以外は落ちこぼれば かり集めた感がある。 千秋(玉木宏)は大学の図書館でシュトレーゼマン指揮によるマー ラーの交響曲第8番のCDを聴いていた。この曲をはじめて聴いたとき 千秋はこんなにも美しいマーラーの演奏があるのか大きな衝撃を受け た。 しかしよりによってその大指揮者が下品なジジイだったとは……。 千秋の苦悩は深まるが、海外に行きたくても行けない千秋にとって日 本で世界的な名指揮者に教われるまたとないチャンスを逃すわけには いかなかった。千秋は転科願の封筒を握りしめ、シュトレーゼマンに 教えを請う決意を固める。 のだめはキャンパスでシュトレーゼマンを見つけると「ミルヒィ〜 (=シュトレーゼマン)、なんでのだめはピアノじゃないんですか?」 と駆け寄る。シュトレーゼマンは「ピアノ、オーケストラニハイレマ センネ。デモマスコットガールナラ、ズットワタシノソバイラレマ ス!」と説明する。 「のだめはピアノが弾きたいんですぅ」とのだめは不服そうな表情 を見せるが、そんなところに少し離れたところで千秋が谷岡(西村雅 彦)に指揮科へ転科する話をしているのが聞こえてくる。谷岡は 「4年の秋なのにかい?」と驚くが、千秋は前々から考えたことであ ると伝え、谷岡も了承することにする。 するとのだめは慌てて「ダメですー、先輩、転科ダメェ!」と止め に入るが、もちろん千秋は翻意するつもりはない。だが、シュトレー ゼマンは千秋の転科願の封筒を取り上げると「シキカヘノテンカハミ トメマセン!」とその場でビリビリと破いて捨ててしまう。 「なんで?」と面食らう千秋に、シュトレーゼマンは千秋が嫌いだ からと答える。そしてもうひとつ千秋がヴィエラを信奉していること もシュトレーゼマンは気に食わないのだと言う。千秋は「巨匠といえ ども一教師、そんな私情で学びたいという学生を拒否してもいいの か!」と抗議するが、シュトレーゼマンは「シキカノコウシハコノワ タシ、ワタシガルールデス」とまったく聞く耳を持たない。 千秋はシュトレーゼマンの傍若無人ぶりに憮然となるが、のだめは にこにこ顔で「ということで指揮科への転科は諦めましょう!」と千 秋の腕に抱きつく。それを遠巻きに見た真澄は「あたしの千秋様に! 野田恵、殺すリスト最上位!」と猛烈な嫉妬心を燃やす。 ホールではシュトレーゼマンによって選抜されたメンバーが集まっ ていた。そこへシュトレーゼマンが到着する。指揮台に上がったシュ トレーゼマンがこのオーケストラをS(シュトレーゼマン)オケと命 名したことを告げるとメンバーたちは足を踏み鳴らして喜びを示す。 シュトレーゼマンは「キョウカラ、ワタシタチハカゾクデス。デモ ホントウノカゾクニナルニハ、ジカントドリョク、トテモタイセツデ ス」と述べ、これから合コンをすると言い出す。メンバーたちは巨匠 らしかならぬ発言に耳を疑うが、親睦会を合コンと取り違えているの だろうと考える。 そのころ、龍太郎は練習室でエレキヴァイオリンを派手にかき鳴ら し「やっぱオレはロックだぜ」と自分の演奏に酔いしれていた。龍太 郎はロック一本でいくと強がり、Sオケに選ばれたことを名誉とも思 わず参加する気もさらさらなかった。 クラシックを軽蔑する龍太郎にバンドの友人たちは呆れる。龍太郎 はヴァイオリンの再試を通らなくては留年するという危機的状況だっ たからだ。しかも試験の伴奏役に千秋をセッティングしたのに、千秋 に演奏が下手すぎて不愉快だと愛想を尽かされてしまった。 龍太郎は「あいつが俺の感性についてこれなかっただけだ!もっと 俺を理解できる芸術肌のやつはいねえのかよ!」と苛立ち紛れにエレ キヴァイオリンを乱暴に弾くが、突然延長コードを切られて音がとん でしまう。 龍太郎が部屋の外を見てみると、のだめが延長コードに足をとられ て転んでいた。龍太郎はのだめを一目見ると「かわいい!」と一目ぼ れ、のだめが持ってたドビュッシーの楽譜を見て「君、ピアノ科?俺 の再試の伴奏やってくれない!」と頼む。 清良(水沢あさみ)は学内のカフェテリアで真澄と雑談していた。 AオケとSオケを兼任することになったことを清良はすごいと褒めるが、 のだめを不愉快がる真澄はSオケに加わるつもりはなかった。 真澄は4年前千秋に出会ったときのことを思い出す。山形から出て きたばかりで右往左往する真澄はある日バスドラムを抱えて階段を上 る途中、よろけて仰向けに倒れそうになった。そこへ千秋が通りかか り背中を支え「大丈夫?気をつけろよ」と声をかけた。以来4年、真 澄はずっと千秋だけを見つめて過ごしてきた。それだけに千秋になれ なれしくするのだめに憤りが収まらなかった。 千秋は転科できないなら別のまともな大学へ移ろうと練習室で退学 届けを書いていた。そこへのだめが「先輩、ベートーヴェンのピアノ ソナタって知ってます?再試の伴奏頼まれちゃって」と入ってくるが、 千秋の退学届けを見てびっくりして取り上げる。そして千秋を考え直 させようと「今日の夜は2人でパーッとやりましょうよ。先輩の手料 理で」と笑顔で誘うが、もちろんすげなく断られる。 日の落ちたキャンパスを千秋はあてもなくさまようかのように歩く。 海外にも行けず、転科もできない。俺はどうしたら……。そんなとこ ろに酔っ払いの演奏じみた滅茶苦茶なヴァイオリンソナタが聞こえて くる。千秋は足を止め「すげぇ滅茶苦茶、なんだこれ」と顔をしかめ る。 演奏しているのは、龍太郎とのだめだった。龍太郎ものだめも楽譜 の指示を無視した破天荒な演奏を繰り広げるが、龍太郎はのだめの演 奏にぐいぐい乗せられ「すげぇ、初めてなのにぴったりだ。ブラボー のだめ!君の演奏にはソウルがある!そうだ、今までは伴奏者が悪か っただけだ。今度の試験はいける!」とすっかり感動した様子でいる。 千秋は帰り道に魚屋に立ち寄り、鯵を1匹買おうとする。しかしの だめが「今夜は2人でパーッとやりましょう」と言ったのを思い出し 2匹買っていく。ところが裏軒の前を通りかかると「はぅ〜ん」とい うのだめの奇声が聞こえてくる。中をのぞいてみると、龍太郎が店の 料理をのだめに振舞っていた。のだめはご馳走を目の前にしてご満悦 といった表情なので、千秋は「あの女、餌をもらえされればどこだっ ていいんじゃないか!」とすっかり機嫌を悪くし、鯵の1匹を魚屋の 水槽に投げ返す。 そのころ、シュトレーゼマンはSオケのメンバーと正真正銘の合コ ンに浸っていた。 のだめは裏軒の料理を抱え「おみや、おみや、先輩のおみや〜!」 と嬉しそうに家路につく。 千秋は鯵のたたきを作り、ヴィエラ指揮のベートーヴェンの交響曲 第7番イ長調を聴きながら1人で静かに夕食をとっていた。「久しぶり の静かな夜だ」と千秋は目を閉じて曲に合わせて指揮をとり始める。 ところが興に乗ってきたところにドアのチャイムがけたたましく鳴る。 のだめの仕業と気分を害された千秋は乱暴にスイッチを切ると、 「人をおちょくりやがって。こんな遅くに何の用だ、ゴミ女!」と怒 鳴りながらドアを開ける。だが、姿を見せたのは彩子(上原美佐)だ った。彩子は「この間の謝りに来たのに、ゴミ女なんてひどい……」 と泣きそうになる。千秋は慌てるが、そこへのだめが帰ってくる。千 秋は「とにかく中へ」と彩子を中に入れ、当てつけのようにのだめを 見やる。のだめは「はぅ!彼女、いたんですか……」と大ショックを 受けてしまう。 翌日、龍太郎はのだめと再試の練習をしようとするが、のだめは失 恋のショックで放心状態に陥っていた。留年のかかる龍太郎は「こん なときに!こっちは留年がかかってんだ、よし俺がくっつけてやる!」 とのだめと一緒に相手を探しに行く。 彩子はカフェテリアで千秋に愚痴っていた。自分よりも容姿で劣っ ている学生にヒロイン役を取られ、彩子の憤りはおさまらない。千秋 は「それ昨晩ずっと聞いてやっただろ」と迷惑がっている。 龍太郎はのだめとカフェテリアにやって来るが、相手が千秋で、し かも交際しているのが彩子と知ると「お前の負けだ。あれは声楽科の マドンナ多賀谷彩子だ。あんないい女と付き合っている千秋がお前に 振り向く可能性は万に一つもない。さっ、練習に行くぞ」とあっさり 撤収しようとする。 のだめは落ち込むが、突然「ふっ、練習なんかしてもどうせ死ぬし 〜」と自嘲気味な笑みを浮かべ、今日ポストにあったという不幸の手 紙を見せる。龍太郎は「ハッ、今時不幸の手紙なんて」と笑い、丸め てポイ捨てするが、その途端頭上に大量の水が落ちてきてずぶぬれに なってしまう。 こうした嫌がらせは執拗に続いた。のだめが夜道を歩いていると、 突然大量の爆竹がはじける、小学生の男の子たちに水鉄砲攻めを食ら う、バナナの皮を踏んで転ぶ、教室に入ると黒板消しが落ちてくる、 背中に「バカ」と書かれた貼り紙を貼られるなどなど。さらに真紀子 (高瀬友規奈)のお弁当をつまみ食いしようとすると、先に食べつく されていた。食べ物のこととあってはもう黙っていられないとばかり に「許せません!殺します!」とのだめは反撃に出る。 のだめはベンチに横になって眠っていた。そこへ真澄が現れ、まぶ たに目を書きこむいたずらをする。そこへ待ち伏せしていた龍太郎が 飛びついて押さえる。 のだめも飛び起き「なんであたしにイタズラすんですか!」と詰め 寄る。真澄は「野田恵!とにかく千秋様には近づかないでちょうだ い!」と怒鳴る。真澄の嫉妬が原因かと龍太郎は合点がつくが、真澄 は「こうなったらあたしと勝負しなさい!」とのだめを挑発する。の だめも「受けてたちましょう!」と真澄とにらみ合いになるが、龍太 郎が「おい、お前らの相手は多賀谷彩子だろう?こうなったら先にデ ートに誘った方が勝ちってのはどうだ」と提案する。こうしてのだめ と真澄のデートバトルが始まった。 彩子の愚痴は止まらず、夜まで千秋を連れまわしていた。酒が進み 「今日も朝まで付き合ってくれるでしょう?」と甘える彩子に千秋は うんざりして帰ろうとする。彩子は「あたしたちより戻さない?似た もの同士でしょ、あたしたち」と誘ってくる。だが千秋は「ああ、俺 も負け犬は嫌いだ」と突き放して席を立ってしまう。 シュトレーゼマンはSオケメンバーと連日合コンに耽っていた。 千秋が帰ってくると、待ち構えていたのだめは千秋をデートに誘う。 千秋は煩わしがるが不意に酔いがまわって吐き気を催したので「わか った、わかった」と適当にあしらって自分の部屋に駆け込む。のだめ は「やったぁ!」と嬉々とする。 一方、真澄はチェコフィルのチケットを龍太郎に見せる。内気な真 澄は今まで千秋を見つめるだけでしゃべったこともなく、龍太郎に誘 ってほしいと哀れっぽく頼む。だが千秋を快く思わない龍太郎は拒否 する。それを見た清良は真澄のためを思って千秋をAオケの練習を見 に来ないかと誘う。 千秋はAオケの練習するホールへとやってくる。真澄は正装して参 加するなどやる気満々、「千秋様、あたしの思いを見てください!」 と躍り上がるような派手なパフォーマンスで千秋にアピールする。し かしそれが指揮講師の怒りに触れ、追い出されてしまう。千秋は一言 「最悪のアホだな」と冷笑し、席を立ってしまう。「最悪のアホ」と 言われて、真澄は打ちのめされる。 千秋は「目をつぶっていれば最高(の演奏)だったのにな。やっぱ りオーケストラっていいよな。俺はやっぱり見ているだけか……」と ため息をつく。 その日千秋が帰ってくるところを待ち構えていたのだめは「先輩、 今度のデートどこのレストランがいいですか?」と飛びつくが、千秋 は「どけ、今そんな気分じゃない」と相手にせず自分の部屋に入って しまうので、のだめはがっくりきてしまう。 龍太郎がのだめの部屋にやってきて再試で演奏するベートーヴェン のバイオリンソナタを練習するが、のだめはもぬけの殻状態、おまけ に真澄まで押しかけていてどんよりしているのでまったく練習になら ないので途方にくれる。 のだめは「先輩に会いたい〜。先輩の手料理が食べたい〜」と嘆く。 それを聞いた龍太郎は「ん?それって脈あるんじゃないのか?嫌いな 女に手料理なんて振舞わないだろう。こうなったら女の武器で攻め ろ!」と励ます。のだめはマリリン・モンローの真似をしてセクシー さをアピールしようとするが、かえってキモクなるので、真澄も見か ね「もう、お化粧の仕方も知らないの」とのだめのメイクを始める。 そこへ「おい、お前ら夜中にギャーギャー騒ぎやがって」と千秋が 怒鳴り込んでくる。のだめは「先輩、会いに来てくれたんですね!」 と千秋に飛びつくが、お化粧で不気味に変わり果てたのだめを見てぎ ょっとして突き飛ばしてしまう。 龍太郎が「こいつらはお前に好かれたい一心でな」とフォローする が、千秋は「こんな女好きになる奴がどこにいるんだ」と突き放し、 真澄を見やると「しかもこっちなんか男だろ!」と無慈悲に言い放つ。 真澄は傷つき部屋を飛び出す。 龍太郎やのだめは酷すぎると千秋を非難するが、千秋は「ひどいの はお前らの演奏の方だ、あんなの騒音、近所迷惑だ!」と不快感を露 にする。カチンときた龍太郎は「ちょっと待てよ」と千秋に詰め寄る が、千秋は「お前、本気で自分がうまいと思ってんのか?」と笑う。 龍太郎は「当然だよ。俺だって全国のジュニアコンクールで3位を取 ったことがあるんだぞ」と反論する。だが千秋は「それで神童と言わ れて勘違いした口か」と龍太郎のヴァイオリンを手に取る。 千秋はベートーヴェンのヴァイオリンソナタのさわりを弾いてみせ る。そのうまさにのだめは思わずピアノ伴奏の手振りをし「先輩、す ごい、素敵ぃ!」と感激し、龍太郎は言葉を失う。 千秋は「俺もウィーンのジュニアコンクールで優勝したことがある んだけどな。少しなら教えてやってもいいぞ」と龍太郎を見やる。龍 太郎は悔しさと挫折感に襲われ、部屋を飛び出していく。 千秋は部屋に戻り、のだめにベートーヴェンのヴァイオリンソナタ のCDを聴かせる。のだめは「へぇ、気持ちいい。あたしと峰くんのと は違います」とびっくりする。千秋は「これが<春>だ。お前らのは “梅雨”だ」と切り捨てる。のだめは「峰くんは最高のフィーリング て言ってましたけど」と首をかしげる。千秋は「そういうのは独りよ がりで、アンサンブルをわかってないし、ピアノの音を聞いていない。 テクニックばかりに気をとられてるんだ」とあきれ果てる。 翌日、のだめがそのことを龍太郎に伝えると、龍太郎は「バカにし やがって!だからクラシックは嫌なんだ」とがっくりと膝をつく。リ ズムや音程だ、楽譜どおりだ、テクニックだ、いくら自分の表現をし ようとしても一小節のミスを追及される、しかも千秋のようなピアノ 科のくせにヴァイオリンも弾きこなすような奴が出てきてやる気を失 わせると顔を歪める。 龍太郎は「どうせ、俺はヘタクソだよ」と投げやりになる。すると のだめは「千秋先輩は下手だなんて言ってませんでしたよ。表現が面 白いとか、アンサンブルはダメでもソロはいいとか。それにああいう タイプは何かきっかけをつかむと急成長するんだって言ってましたよ」 と教える。それを聞いて龍太郎は救われたような思いになる。のだめ は「だから練習しましょうよ、これ、ちゃんと弾けたら気持ちいいで すよ、お花畑みたい」と龍太郎を励ます。龍太郎は「バカ言うな。お 花畑などベートーヴェンに失礼だ。光る青春の喜びと稲妻、だな」と 自分なりの解釈を示す。 千秋は「人の世話焼いている場合じゃないよな」とつぶやきながら スコア譜を独習している。そこへ指揮科の大河内守(遠藤雄弥)が声 をかけ、ドイツ留学した早川がヴィエラの指導を受けていることを教 える。千秋はショックを受け、手にしたスコア譜を落としてしまう。 シュトレーゼマンは相変わらずSオケメンバーと合コン三昧の日々 を送っていた。メンバーの中にはさすがにシュトレーゼマンのやり方 に疑問を持ち、偽者ではないかとさえ考えるようになる。 千秋はインターネットでゲルハルムのセミナーについて調べる。す るとそこにはセバスティアーノ・ヴィエラの指導を受ける未来の指揮 者たちと題したヴィエラと早川をはじめとする受講生の画像があった。 千秋は「なんだよ……」と虚脱感に襲われる。 翌朝、千秋が大学に行こうとすると、廊下でのだめが倒れていた。 千秋が「おい、今日再試の日だろ」と助け起こすとのだめはひどい熱 にうなされていた。のだめは千秋にアピールするため、秋にもかかわ らず薄着でいたため風邪をひいてしまったのだった。 千秋はのだめを毛布に包んで大学へと連れて行き龍太郎に引き渡す。 龍太郎は困り果てるが、のだめが耳打ちするのを聞き、「おっ、そう か。王子様がキスしてくれたら治るそうだぞ」と伝える。千秋は呆れ 「もういい、お前の伴奏は俺がしてやる」と言う。 Aオケをクビになり、千秋にも振られと二重のショックを受けた真 澄は山形に帰ろうと学内で荷物をまとめていた。 龍太郎は不安に見舞われていた。自分の前の奏者はドイツ留学のた め試験を受けられなかったAオケのエリートなので、自分の演奏が見 劣りするのではないかと思えたからだ。しかし千秋は「ドイツだと? 絶対負かしてやる!少なくとも伴奏は俺の方が上だ」と静かに闘志を 燃やす。 龍太郎は「ハッ、いいよな努力しなくても報われるやつはよ」と不 快がる。しかし千秋は「3歳から毎日毎晩血反吐が出るくらいピアノ とヴァイオリンをやって来て、それでもピアノは苦手で大学はピアノ 科に進んだ。猛練習してトップにはなれたけど」と話す。龍太郎は 「何が言いたいんだよ」とわけがわからないでいると、千秋は「結局、 俺のなりたいのは指揮者なんだ。だから俺だって何一つ報われてない」 とつぶやく。思いがけない千秋の言葉に龍太郎は驚く。 龍太郎の番になる。千秋は「今日はテクニックや細かいことは気に するな。でも俺様の音はちゃんと聞いとけよ。あとは好きに弾いてい いから」と告げる。千秋に自分の表現を受け入れられたと感じた龍太 郎は驚きそして笑顔になる。 龍太郎は自分の思いのままに演奏し、千秋はそれに合わせていく。 ホールの外では熱にうなされながらのだめが「光る青春の喜びと稲 妻……」とつぶやいている。 千秋は「相変わらず滅茶苦茶だ。でも合わせてみせる」と龍太郎の 奏法をじっと見やる。龍太郎は「ああすごい、来て欲しいときに来る。 千秋が指揮する、すごく安心、気持ちいい」と活き活きと演奏する。 千秋は「ああ、こいつものだめなのか」と理解する。 *------------------------------------------------------------* −ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番『春』。ベートーヴ ェンが難聴という障害に悩まされながらも決して音楽を諦めず、むし ろ明るく幸せな曲を作った。辛く厳しい冬を乗り越えれば、やがて暖 かな春が来る。俺にもやって来るのだろうか…… *------------------------------------------------------------* のだめは演奏に耳を澄ませながら「お花畑……」と幸せそうな微笑 を浮かべる。大学を去ろうとした真澄は龍太郎と千秋の演奏を耳にし、 ホールへと足を向ける。そして「やっぱり音楽っていいわね……」と つぶやく。のだめがその足をつかみ「勝負はまだ終わってません よ……」とそっと告げる。真澄はそれを聞いてニコリとする。 龍太郎は再試を見事パスした。バンド仲間が学園祭の曲をどうする か聞いてくるが、龍太郎は「悪いけど、バンドは解散する。俺はクラ シック一本でいく」と断る。龍太郎はようやく自分の本心に戻ること ができた。 千秋はのだめをおぶりながら帰路につく。すると真澄が走って来て 「千秋様、私Sオケで頑張ろうと思います」と話す。千秋は「いいん じゃない、踊らなければ」と淡々と答える。龍太郎もやって来て「千 秋が指揮科に転科したら卒業も延びるのにな。俺、千秋の指揮で演奏 したいと思ってたのに。コネも才能もあるんだし卒業したら留学すん だろ」と残念がる。だが千秋は胴体着陸の悪夢を思い出して顔を引き つらせ、答えられない。龍太郎は「えっ、しないの?」と不思議がる。 千秋は慌てて「そんなことはない」と答える。のだめは「そんなぁ」 と悲しがる。 翌日、のだめは千秋を留学させまいと、千秋の手を引っ張ってシュ トレーゼマンに会いにいき、転科を許可するように頼む。するとシュ トレーゼマンは「ワカリマシタ。ワタシノマケデス。ノダメチャンガ、 チュウシテクレタラ、テンカミトメマス」と迫ってくる。のだめは 「どうしよう」と困惑する。 龍太郎、真澄が参加してようやくSオケメンバーが全員そろうが、 シュトレーゼマンがなかなか現れない。メンバーは合コン三昧のシュ トレーゼマンに疑念を募らせており、帰ろうとする。そこへのだめが 駆け込んできて「待ってください、練習やります、やりましょう!」 と叫ぶ。 のだめが指揮するのかと笑い出すメンバーたちに、のだめは「ミル ヒィ(=シュトレーゼマン)は急病で来られないので代わりにこの人 が指揮します!」と千秋を引っ張り込む。千秋を見たメンバーたちは 驚くが、歓迎の声が大勢を占める。一方千秋は「俺が、指揮?」と突 然のチャンスに驚きを押さえきれないでいる。 寸 評 面白かったです。龍太郎のヴァイオリンソナタが酔っ払いの演奏 みたいに聞こえるというのが、それだけで可笑しいです。ベートーヴ ェンと酔っ払いというあべこべな関係がそう思わせるのかもしれませ ん。また千秋がCDを聴きながら指揮をとっているときにドアのチャイ ムが鳴るシーンで千秋がのだめを想像して苛立つのもおかしかったで す。 最大の要因は普通に考えると千秋とのだめは相容れないはずなのに、 通じ合っているというところでしょう。それは、他の登場人物を含め て、音楽を真剣に愛するという点では共通するからだと思います。そ れがこのドラマを引っ張る原点なのでしょう。 あと余談ですが、私はブラスバンドをやっていた経験があるので、 龍太郎が千秋の伴奏に「ああ、来て欲しいときに来る」というのはと てもよくわかります。完璧にハモったときああいう気分になります。 音楽っていいなあと思える瞬間です。 執 筆 者 けん() ---------------------------------------------------------------------- 2. 編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 第1話でヴィエラが千秋少年にモーツァルトはスカトロ話が好きだったと話 していたようにモーツァルトの下品さはよく知られていますが、ベートーヴェ ンもまた奇妙な言動で有名です。のだめの部屋の汚さはベートーヴェンのそれ を髣髴させます。ベートーヴェンの部屋を訪れたある貴族はその汚さに閉口 (着たものが脱ぎっぱなし、食器は洗ってないためゴベゴベ状態、インクがこ ぼれて床で固まっているなど)、いつ伝染病が発生してもおかしくないという 状況だったとか。モーツァルトもベートーヴェンも音楽に特化した教育を受け た結果、他の教育が犠牲になった弊害と言われているそうです。(けん) 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