家を出て15分ほど歩いたところに、以前は潮風の吹く東京湾が広がるのみだったが、最近ここが賑やかな場所に様変わりした。未来に向かう大型総合施設ららぽーと豊洲が建設されて、斬新な景観を見せているのである。林立する巨大な看板群の中に、右と左をそれぞれ指した二つの緑色の手と、間に挟まれた緑のアルファベットの「TOKYU HANDS」の文字を見つけたとたん、心が浮き立つような気分になった。
初めて東急ハンズに連れて行ってもらったのは、18年前の陽の光が透明な朝で、その時も同じように心躍る気持ちだった。異国にやってきたばかりの若者の前に、新大陸が広がったのだ。広くて明るい店内、目を奪うたくさんの商品、自転車やテントから、筆箱やカードまで……すべてのものが少なくとも二、三十種類ほどそろえてあり、あまりの驚きに何と言っていいかわからなかった。奇抜なアイデアと、精巧な技術に溢れた手作り用品の世界に終日浸りきって、時間が過ぎるのを完全に忘れてしまった。
「東急ハンズ」は信頼に値する友人のように、漂泊していた私の日々に無限の色彩を与えてくれた。学業を終えるとき、ここで卒業制作の装丁に使う用具を見つけた。新しい家に引っ越したときは、ここで部屋を飾るフォト・フレームと花瓶を買った。友達を呼ぶときは、ここでホームパーティに必要な楽しいグッズをそろえた。新しい味を試したいときは、ここでカレーやワインの材料を見つけた。カーテンの遮光度が三つのレベルに分かれ、それぞれのレベルがさらに布質によって十数種類に分けられているのを知ったときは、本当に驚いたものだ。新婚カップルがここで買物をして、みな満足して帰っていくのを見ていて、東急ハンズの苦心と心遣いを知る思いがした。
中でも最も感動したのは、顧客のために「世界でただ一つ」の自分だけのオリジナル商品を作り出す細やかなサービスである。大きいものでは家具の設計や庭の装飾、小さいものではアルバムや表札、バッジなど、どれも日常望んでいながらなかなか実現できない生活の夢を、東急ハンズの手を借りれば実現することができる。
日常生活や手仕事と密接に関わり、あらゆる素材、道具、製品を集めた総合的な「生活創造」の名店は、三十年の間に十六個のチェーン店と六個の専門店を持ち、台北には支店の「台隆手創館」があり、ヤフーと楽天にはオンラインショップを持っている。
そして今また嬉しいことに、古い友達のような東急ハンズが我が家の目と鼻の先に登場した。本当に嬉しく、ありがたいことである。 |