ふぐの季節到来
一匹のふぐの毒で30人を殺せるという。だが、ふぐのおいしさには誰も勝てない。晩秋から初冬にかけては、ふぐを味わうには最適な季節だ。冬は水温が下がるため、それに耐えるためにふぐの筋肉が引き締まって、たいへんおいしくなるからである。
麻布十番のふぐ料理店「さくら田」は、30年あまりの歴史を持つ。店主の桜田栄一さんは日本で最も有名なふぐ調理師だ。テレビ番組にもよく登場し、たくさんの芸能人がおいしいふぐを求めて店を訪れる。
さて、ふぐコースではどんなものが食べられるのだろうか。
まず多くの場合、コースは「煮こごり」から始まる。これはふぐの皮から煮出したゼラチンを透明な琥珀色の立方体に固めたもので、下にのせるととろりと溶ける。一緒に供されるふぐ寿司はふぐを使った手まり寿司で、緑の葉に載せられた姿は、まるで仙界の桃のようだ。
次にふぐ刺しが来る。ふぐの肉をセミの羽のように薄く切って、皿の上に蓮の花のようにきれいに並べる。歯ごたえがあって、たいへんおいしい刺身だ。
その次はから揚げだ。ふぐの中で最もおいしい部位を使い、薬味を加えてある。レモンを絞れば本格的な味になる。
最後はしゃぶしゃぶである。ふぐの残りの部分と、豆腐、大根、白菜、しいたけなどをいっしょに入れる。ここで使われる調味酢がまた絶品である。
さくら田:東京都港区麻布十番1−3−13 電話03−3585−4402。ふぐコースは一人15000円である。
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