メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:[参考情報]2006年、夏のフランドル(オランダ・ベルギー)旅行の印象  2006/08/23


[参考情報]2006年、夏のフランドル(オランダ・ベルギー)旅行の印象
2006.8.23

画像は下記のURLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060823

なお、下記HPの方が、より大きい画像を見ることができます。
http://www1.odn.ne.jp/rembrandt200306/nikki16.htm

【四枚目の画像解説】聖バーフ大聖堂(Sint Baafskathedraal)

カール五世(1500〜1558)が洗礼を受けたというゲント最古の教会、聖バーフ
大聖堂(Sint Baafskathedraal)の起源は13世紀まで遡り(ベルギー人の一派ワ
ロン人の寺院として建立の記録が残る/参照、下記・参考URL)、現在の建築は
ゴシックの内陣とロマネスクの塔が合体したものとなっています。因みに、ゲ
ントは『青い鳥』の作者メーテルリンクの故郷であり、16世紀初めには神聖ロ
ーマ皇帝カール5世が、この地で生誕し洗礼を受けています。彼の庇護の下に黄
金時代を迎えたこの町は、ブリュージュと並ぶ北方ルネサンス発祥の地です。

また、この教会の聖堂内には15世紀フランドル絵画の最高傑作」と絶賛され
る、ファン・アイク兄弟(Hubert van Eyck/ca1370-1426、Jan van Eyck/c
a1390-1441)の祭壇画『神秘の仔羊』(http://www.wga.hu/frames-e.html?/ht
ml/e/eyck_van/jan/09ghent/index.html)があります。

(参考)1254. Listed goods in the Walloon region: the gotich choir, th
e Romanic tower, the presbytery (2nd half of the 18th century), the ter
race gardens and the surroundings.
(http://www.opt.be/informations/wallonia_attraction/EN/A/V/43683.html)

<注>

この四枚目の画像の左端にある電線はトラム(安全性と低公害の実現を期待さ
れる路面電車)用のもの。オランダ・ベルギーの各都市ではトラムが重要な市
民の足となっている。

二枚目(正面)、三枚目(左横)の画像はブラッセルにある欧州(EU)委員会のビ
ル。この周辺は「EU District」と呼ばれており、この他に欧州議会などEU関
連の建物や新鉄道駅などが集中的に建設中。たまたま、この地区に隣接するホ
テル・ルネッサンスに宿泊した。

一枚目の画像は街全体が美術館のように美しい古都ブリュージュの早朝の佇ま
い。

●下記の文章(末尾の『 〜 〜 〜 』の部分)は、フランドル旅行の前に
ある友人へ送ったメール内容の一部です。この内容は、今回のフランドル旅行
(8/12〜8/21)での直接的な体験と合致している部分もあり、合致していない
部分もあります。

●合致していない部分について言えば、それは合致しないというよりも、予想
以上に新鮮な驚きに近いということでした。アムステルダム、ブリュージュ、
ゲント、ブラッセルなどの諸都市の美しさと、その自然環境保全の見事さ、或
いはその都市の空気が清澄であること(オランダの光?orフランドルの光?)
はもとより、この一種の“カルチャー・ショックのような不思議な気分”を一
気に文章化することは不可能です。強いて短く言えば、これはオランダ・ベル
ギー両国民が“実に賢く歴史(ブルゴーニュ支配の時代、ハプスブルグ支配の
時代、スペイン・フランス等列強支配〜独立・近代化の時代、そして深刻な宗
教戦争の歴史など)を学んで”現実にしぶとく、かつ寛容に生きているという
市民生活のリアリズムを目撃したことです。そして、この気分と直接の関係は
ありませんが、次のようなこと(◆)が印象に残りました。

◆デン・ハーグ(オランダの行政首都)で、日本で言えば霞ヶ関と皇居が合体
したような地区(国王宮殿と隣接する中央官庁街)を見聞して驚いたのは、三
色のオランダ国旗とともに青いEUの旗も翻るその地区一帯が実に開放的で自由
な気分に満ちていたことです。誰でも立ち入りが許され、そこには厳めしい官
憲の制服・軍服も官僚臭も一切ありません。そこからそれほど遠くない路上の
屋台でオランダ名物の“ニシンの酢漬け”の立ち食いを経験しました。・・・
が、その夜、ホテルでテレビのスイッチを回すと、「厳めしい(この時だ
け?)小泉首相の8/15靖国参拝」のニュースが、レバノン情勢に次ぐほぼトッ
プに近い扱いで流れていました。しかも、その翌日から、日本関係のニュース
はピタリと止まってしまいました(例外は日経平均株価関連だけ)。

◆そして、帰国直後に驚かされたのは各マスメディアが横並びで発表した小泉
内閣と「小泉首相・8/15靖国参拝」の支持率調査の発表であり、しかも予想ど
おりとはいえ両支持率が軒並みに大きくアップしており、「小泉首相・8/15靖
国参拝」については、もはや過半以上の国民が支持に回っているようです。喩
えれば、これは日本国民全体が一種の重い「テレビorネットorブログ中毒症」
を罹患し、視野狭窄の異常心理(=歴史に無知な根無し草的右傾化)に嵌った
ということだと思われます(これらの中でNHKの報道姿勢がやや大人しく感じら
れた)。

◆ところで、今回のフランドル旅行で体験したような“アンチ右傾化・アンチ
軍国主義化・アンチ国家主義化の気分”をより深いところから文章化するため
には、今後の当ブログ記事の更新ペースは落とす必要があるようです。今後も
ブログ記事は書き続けますが、更新ペースは高々が月に1〜2回程度として、
殆んど放置状態のHP(レンブラントの眼)の方を、逐次、充実させるつもりで
す。ネット利用者やブロガーは、それぞれ自分の分に合わせるのが肝要であり
(文章化能力があるブロガーはこの限りにあらずと思いますが・・・)、ブロ
グの効用は記事の分量ではなく、特に凡庸なtoxandoriaの場合は、“自分なり
に新しい視点を発見できる一種の喜びの場”とすべきであることを今回の旅行
体験から改めて学んだようです。当然のことですが、リアリズムの世界は、ネ
ットに限らず我われの周辺に満ちみちているのです。

・・・そして、やはりベルギービールは美味でした。

(参考資料)ベルギービール関連URL

ベルギービールの歴史:
http://www.geocities.jp/beerforum/bhistory.htm
札幌でベルギービールが飲めるお店、Paul’S Cafe:
http://www.mnc.to/~pauls/
仙台でベルギービールが飲めるお店、ダボス:
http://www.dabos.biz/
東京でベルギービールが飲めるお店、BLUSSELS:
http://www.brussels.co.jp/
金沢、ル・マルカッサン:
http://www.k2.dion.ne.jp/~marcasin/
京都、Le Monument bleu:
http://web.mac.com/monumentbleu/iWeb/Le%20Monument%20bleu/Welcome.html
名古屋、スピリッツ・ビアバー:
http://www.spirits1888.com/
大阪、バレル:
http://www.belgianbeercafe.jp/
神戸、La Bruxelloise:
http://r.gnavi.co.jp/k863200/

・・・この他については下記を参照。

ベルギービールが飲める店:
http://page.freett.com/bugyonawa/jcafe2.htm

(追記)600枚を超える写真を撮りましたが、記事に併せて(デジカメ画像
のサイズを縮小しながら)追々とUPしてゆくつもりです。

・・・・・・・・・・・・・・

『 暑中お見舞い申しあげます、と言っても涼しすぎますね。

小生は相変わらずで、先週の後半から夏季休暇に入っています。

ところで、来月(上旬末〜下旬初めころ)には、久しぶりに海外(オランダ&
ベルギー)へ出かけます。一人で行きますが、これらの地域には以前からとて
も憧れていました。今、いろいろと関連情報の収集・インプットに取り組んで
いるところです。

昔から、ベネルクス三国というと一緒くたに考えがちですが、特にオランダと
ベルギーは個性がまったく違います。

オランダは現在のアメリカのルーツ(自由主義思想の発祥地という意味で)の
ような国ですが、大航海時代の約250年に及ぶ日蘭交流史の事実があり、日本は
近代化の過程で計り知れぬほどの恩恵をオランダから受けています。ライデン
大学には文献学(日本語の資料で日本文化を研究する立場)を伝統とする「日
本学センター」があります。そして、オランダを代表する芸術家といえば、何
といってもレンブラントとフェルメールを忘れる訳には行きません。

ベルギーはオランダと対照的にカトリック文化の伝統が根付いていますが、欧
州諸国の中で最も遅れて産業革命と植民地主義の時代を経験した国(1960年に
ベルギー領コンゴがコンゴ民主共和国として独立)です。そして、ベルギーを
代表する芸術家といえばルーベンスを忘れる訳には行きません。

なお、ベルギーの歴史・文化的な価値は、オランダ市民社会の誕生〜最盛期(1
6〜17世紀)に先行する14〜15世紀頃にあります。いわゆるベルギー・フラン
ドル地方には、当時繁栄したブリュージュ、ゲントなどの古都が中世そのまま
の姿で残されていることが最大の魅力です。なお、ごく大雑把にいうと、ベル
ギーの北部(フランドル地方)はオランダ文化圏、南部(ワロン地方)はフラ
ンス文化圏です。                           
   
これら二つの国の特徴を一言で言えば、アメリカ型のグローバリズムの波に洗
われながらも、ひたすら溺れるままにならず、貴重な歴史経験から得た知恵を
生かして国の経営が行われていることです。無論、地政学的な利点もあるでし
ょうが・・・。

混迷の度合いを深めるばかりのように見える我が国も、例えば徹底したワーク
シェアリングなどに関して、これら両国の現在における資本主義の姿から日本
の未来のあり方を考えるヒントを得ることができるのではないか、と思ってい
ます。人口減少傾向への対応方法やアジア諸国との関係のあり方なども含め
て・・・。

今ではヨーロッパの小国(人口規模、オランダ:約1,500万 ベルギー:約1,00
0万、国土面積、オランダ:九州の約1.5倍、ベルギー:ほぼ四国程度)に過ぎ
ない両国民の意識の底にはヨーロッパ市民(EU市民/ベルギーの首都ブルッセル
はEUの中心地で“EU District”を建設中)としての意識が定着しつつある一
方で、彼らはそれぞれの特異な歴史経験についても強い愛着を持ち、それを大
切にしているように見えます。そして、恐らく、後者の深層にあるのは“神憑
りの愛国心”のような“狂気&カルト的な感情”ではなく、生まれ故郷へのノ
スタルジーのような“強い愛郷心”のようなものではないかと思っています。
 』

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