「ミニ地球」の住み心地
面積50平方メートルで、トイレ、浴室、テーブル、ベッド、パソコン、電話、テレビ……というのは、一般のアパートと大して変わらない。
だが、入り口はかなり分厚いドアで外気と遮断されている。この部屋は、小松原修さんと篠原正典さんの実験室である。酸素と水と食料は外部から供給されることがなく、完全に密封された空間内で自分たちの力だけで4ヶ月生活するのが実験の目標である。2001年10月、応募者51人の中から厳選された2人は、健康診断と心理テストを行なった後、去年からこの「ミニ地球」の住人になった。
正式名称「閉鎖型生態系実験施設」で、通称「ミニ地球」と呼ばれるこの部屋は、青森県の財団法人環境科学技術研究所に設置されている。この研究所では、放射性物質が生物によってどのように吸収され、排出され、再蓄積されるのかを専門に研究しているが、この実験からは、どのようにしたら宇宙空間で長期生存できるかについてのヒントも得られるのだそうだ。
ミニ地球の居住区はかなり狭いが、植物栽培区、動物飼育区、海洋を模した大型水槽のある水圏実験施設、二酸化炭素を酸素に転化する物質循環処理施設などを備え、全面積は6000平方メートルである。
生活に必要な食べ物はすべて自分で栽培する。とうもろこし、大豆、さつまいもなど30種を育てるが、肉はなく、火も使用しない。飼育しているヤギはミルクを提供する。二人の排泄物と食べられない食品は施設内で分解して植物の肥料にし、繊維は紙に再生してトイレで使用する。水槽の魚は実験用だが、運がよければ海鮮にありつけることもあるかもしれない。酒とタバコは環境に影響する可能性があるので、厳禁である。だが、テレビ、電話、パソコン、Eメールは自由に使える。家族や友人と面会することもできるが、ガラスを隔ててマイクで対話しなければならない。
この実験は、2009年4月まで続く。 |