|
[芸術の価値]『バーゼルにおけるホルバイン展』のご案内 2006.5.15 mioromeoさま(ローマ在住)から、ヨーロッパにおける絵画展のホットな情 報が入りましたのでご案内します。詳細は下記のmioromeoさまの記事「ハン ス・ホルバイン・ジュニア」(Holbein Hans d. J./1497-1543)をご覧くだ さい。同展は、今、バーゼルのKUNSTMUSEUMで7月2日までの予定で開催中で す。(www.kunstmuseumbasel.ch/en/exhibitions/current/holbein) この“情報”の中で、mioromeoさまも「芸術は決して平和と比例して育つも のではないのは残念なことですが、かなりの困難(困難すぎると潰されます) の中でこそ切磋琢磨されて育つもののようです。」と書いておられますが、ま ったく同感するところがあります。 実は、ほぼ同じような問題意識で絵画を描いていたと思われる画家たちがイ タリア・ルネサンスでも存在したようです。このことについては、タイミング よく、いま書きかけの記事がありますので、追ってUPするつもりです。 [mioromeo様 → toxandoria の“バーゼルにおけるホルバイン展”の情報] ■ハンス・ホルバイン・ジュニア(投稿者:ミオロメオ?2006/05/15 07:42:0 6) もう一つたいへん興味深い展覧会としてドイツルネッサンスの重要な作家ハン ス・ホルバイン・ジュニアの、これはスイスのバーゼルで開かれている『バー ゼルにおけるホルバイン展』があります。(7月2日までKUNSTMUSEUMで。油彩40 点、デッサン100点程) www.kunstmuseumbasel.ch/en/exhibitions/current/holbein その後は『ロンドンにおけるホルバイン展』がロンドンのテートギャラリーで9 月28日から開かれるということで、ホルバインが主に活躍した二つの都市での 二部式での展覧会が開かれます。 あの頃の画家はさまざまな都市に出かけて修行をしたり、宮廷から呼ばれたり して出かけてそれぞれに影響を受け合ったのですね。ラファエロの影響を受け た作品なども見られます。彼は本当はフランスの宮廷で仕事をしたかったのだ そうですが、お呼びがかからなかった。残忍なイングランド王のヘンリー8世の ために仕事をしなければならないというつらい立場の画家でしたね。 故国は宗教改革の嵐の中でもあり、行き先のバーゼルでもイギリスでも宗教と 社会の矛盾が噴出していることを目のあたりにして、だからこそ『死の舞踏』 というすざましい作品も生まれていったのでしょう。 それにしても芸術は決して平和と比例して育つものではないのは残念なことで すが、かなりの困難(困難すぎると潰されます)の中でこそ切磋琢磨されて育 つもののようです。 又芸術家の力量は便利さと比例するものでもなく、画家のデッサン力と油絵の 技術は写真が発達してその力に頼るようになってから急激に衰えたということ も一ついえるでしょう。この時代の芸術家、建築家を見ていると激動している 時代にもかかわらず、かなり自由にいろいろな国を行き来しています。 各宮廷にとって画家は、デザイナーや写真報道家、肖像写真家として、イメー ジアップを図るには欠かせない人たちだったのですね。しかしながらホルバイ ンの作品は各宮廷の人々の意図を超えて透析した視点で人間を掘り下げ描き迫 っています。私も機会を作って是非改めて一同に見てみたいと思います。 |