メルマガ:toxandoriaの日記
タイトル:[民主主義の危機]『儒教の誤解=忠君愛国』へ回帰する日本の政治家たち(修正版)  2006/05/06


[民主主義の危機]『儒教の誤解=忠君愛国』へ回帰する日本の政治家たち
(修正版)
2006.5.6

*常会手帳の内容を現代表記へ直した部分に数箇所の誤字表記がありましたの
で「修正版」を送信しておきます。申し訳ございません。

●このところ、中国を始めとするアジア諸国では儒教を見直す動きが見られる
ようです。一様に儒教を見直す動きがあるとしても、国によってその背景は
様々だと考えられます。ただ、一つ言えることは日本の政治家たちの多くが、
ひたすら「忠君愛国」型国家への回帰のトラウマに取り憑かれていることは間
違いがなさそうです。

●靖国参拝問題、改憲、教育基本法改正、、国民投票法、共謀罪、防衛省格上
構想などに纏わりつく“独特の胡散臭さ”の淵源の一つが、この辺りにもある
ようです。かつて、小泉首相は「『罪を憎んで人を憎まず』とは孔子の言葉で
しょう?」と語って識者らの物笑いの種となったことがあります。が、これに
も懲りずに日本の政治家たちは論語の精神の真髄である「忠君愛国」へ戻れと
ざわめき出しています。ところが、これも大いなる誤解であり、この言葉も儒
教の聖典である『論語』には一度も出てこないものなのです(詳細は、中国古
典文学専門家の下記ブログ記事(★)を参照)。
★ブログ朴斎雑誌、http://puzhai.cocolog-nifty.com/zazhi/2005/06/post_f1
8e.html

●このような混乱を“為(タメ)にする意図を持つ”元祖・右傾倒(系統?)
の人々はともかくとして、このような誤解の渦中に日本中の多くの国民(特に
政府与党によってB層と見做されているショタレ・ヘタレ層)が巻き込まれ、戦
前回帰の激流に飲み見込まれることが懸念されます。

●下の文章は、太平洋戦争の最中に日本全国の町内会が“大政翼賛”体制の末
端組織化して行ったことの証拠となるものであり、これは筆者の祖父(恐らく
不承不承ながら常会の役員を押し付けられていたと思われる)の遺品の中にあ
った『常会手帳』から転記したものです。「小泉首相の靖国神社参拝の強行」
と「共謀罪を強行採決で突破しようとする執拗な動き」の背後には、この「常
会手帳」の時代への「異常なノスタルジー」の情念が蠢いているように思われ
てなりません。

■[常会組織へ下達された『防諜心得』]の一部転載
【常会手帳】より(筆者が現代表記へ直して転載)
昭和15年11月22日、訂正発行版 発行所:皇道振興会 著作発行人:長澤小輔
(東京市四谷区左門町4番地)

スパイといえば、兎角、軍事機密のみを考え易いが、戦争が国家の人的、物的
のあらゆる資源を総動員する所謂「国家総力戦」の形態をとるようになると、
軍事機密だけではなく、これ等の資源の状況を知ることも戦力判定の資料とな
るのである。ところが総動員に関する機密は頗る広範囲なものであって、国民
生活と蜜不離の関係にあるものであるから、今日では防諜の完璧を期するに
は、是非とも国民全体がこれに協力しなければならない。これが国民防諜の必
要な所以である。では、このスパイの魔手を防ぐに如何にせねばならぬかとい
うに、第一に秘密を絶対に他人に漏らさぬことである。殊に官庁や軍需工場に
勤務する者は、職務上知り得た秘密事項は家族にも話さぬ覚悟でなくてはなら
ない。

「秘密で語った秘密は漏れる」一旦口から漏らしたことは必ずスパイの耳に入
るもとの思わなくてはならない。汽車、汽船、電車、バスの中などで、秘密に
亘ることを得意然と声高にしゃべっている者があるが、スパイは外国人だけと
思ってはならない。殊に軍事上の秘密に関しては厳重にその漏洩を防止する必
要がある。この種の事項に就ては手帳や紙片にも記入せぬだけの心がけが必要
である。官庁や官吏、軍人、軍需工業関係者の家庭から紙屑を買集めるのはス
パイの常套手段である。又、スパイは官衛、学校、工場、会社、商店等へ照会
を発し、その回答から日本の資源の状況や交通網、鉄道社長数、自動車数、商
船数等水陸の交通施設の状況を知り、或いは航空工業、自動車工業、化学工
業、染料工業の資料を得るのであるが、これ等の照会は学術上又は商への取引
上の照会に擬装しているから、一見疑いを挟む余地がなさそうに見える。この
点に深く注意して慎重に回答する必要がある。

何でもない照会だと思い込むと、その中に一つだけ機密に関する質問が隠され
ていることがある。文化団体、社交団体への照会、調査にも思想戦の重要資料
が照会先や内容を十分に検討する必要がある。

戦地から来た手紙を会報などへ載せるとそれから重要な戦地の情報をとられる
こよが多い。戦地へ出す手紙にも秘密事項や固有別部隊名を書かぬように注意
せねばならない。

要するにスパイを防ぐには、これに対応する国内の組織を一日も早く確立せね
ばならない。所謂国内新体制は防諜の上からも必須の条件である。そして我わ
れ国民の思想や考えの中にある謀略の温床体を打ち砕くこと、即ち外国思想に
かぶれぬことこそ防諜の根本である。

換言すれば、真の日本の姿、日本の力、日本の美点、日本が外国に卓越してい
る点に目ざめることが先決問題である。

=防諜標語=

◎文を書くなら軍機に触れるな、安否尋ねて無事知らせ
◎小さなことでもいうなよ秘密、言えば東亜が築かれぬ
◎見える敵なら恐れもせぬが、見えぬスパイが恐ろしい
◎武勲は顕わせ軍機は隠せ、焼けよ紙屑棄てるな書類
◎手柄話に触れるな軍機、遠くの敵より近くのスパイ

=臣道実践=

◎これからだ、出せ1億の底力
◎よし行こう、ただ臣道を驀(まっしぐ)ら

=常会手帳使用心得=

常会にて打合わせに入る前儀式を執るときに・・・

1 巻頭に皇居二重橋の御写真がありますから手帳を一斉に戴くようにして下
さい。この際は手帳を開いてもその儘でも宜しいと思います。

2 神勅、勅語、詔書又は綱領、宣誓等を斉唱するか或いは司会者これを区切
って謹読し一斉に復唱するようにしても宜しいと思います。尚又毎回一定のも
のでも、其都度神勅から順次かえて行うことも一方法と思います。

3 この様な儀式は余り普通の会合や家庭に於いては行われておりませんが、
常会はお互が日本臣民として行的な実践によって修練して行く大切な道場に致
し度いものと思います。変だとか可笑しいと思ってはなりません。これも新体
制の一つと心得べきであります。

4 常会記録は、常会で決議されたこと実行すべき事を記録して忘備する為め
に書いてください。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。