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「『共謀罪』与党修正案についての日弁連会長声明」の転送 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col7032.html 2006.4.22 本日、衆議院法務委員会は、共謀罪導入のための法律案について審議入りし、 与党か ら修正案が提案された。 この修正案は原案に比べれば、一部にその適用範囲をせばめようとする部分 はあるも のの、この間一貫して当連合会が指摘してきた問題点は解決されてい ない。 第1にこの修正案は、あくまでも団体の「活動」に着目して限定を加えたも のであっ て、必ずしも、「団体」がどこまで限定されているかは明らかでない。 現実に過去に 犯罪を遂行してきた事実も要件とされていない。団体の一部の構 成員が一定の犯罪の 共謀を行ったことのみをもって、団体に犯罪目的ありと解 釈される可能性がある。む しろ端的に、文字通りの組織犯罪集団が関与する場 合に適用範囲を限定するべきである。 第2にこの修正案においては、共謀に加えて、「犯罪の実行に資する行為」 が必要とされている。この概念は、犯罪の準備行為よりもはるかに広い概念であ り、犯罪の実 行にはさしたる影響力を持たない精神的な応援などもこれに含ま れる可能性があり、 共謀罪の適用場面において、ほとんど歯止めにならない。 少なくとも、犯罪の実行の 「準備行為」が行われたことを明確に要件とするべ きである。 そもそも、本法案は、もともと下記のような問題点を有しており、この点は 修正案で も解消されていない。 第1に、本法案が導入しようとする共謀罪は、犯罪が実際に発生する以前、 関係者が 犯罪を起こすことを合意したことのみで処罰できるとするものである。 刑法では、予 備行為を処罰する犯罪でさえ殺人罪等ごく一部に限られていたの であり、本法案は、 このような刑法の体系を根本から覆すものである。 第2に、対象犯罪が619にも及び、あまりに広範な内容となっている。現 実に組織犯罪集団が行うと予測される犯罪類型に限定して立法することは可能 である。 第3に、本法案は、国連越境組織犯罪防止条約に基づいて作られたものである が、同 条約は、国境を越える性質を持った組織犯罪を防止する目的で起草され たものであ る。条約の批准を一部留保するなどの方法によって、我が国の国内 法として、国境を 越える犯罪に限って適用する旨を規定することは、条約の趣 旨に反するものではない。 第4に、自首した者の罪を減免するという規定が盛り込まれているが、この規 定は、 一旦共謀に加わった者は、犯罪の実行をやめることを合意してもそれだ けでは共謀罪 の適用を免れることができず、さらに警察に自首する以外に刑罰 を免れる手段がない ことを示している。この点は共謀罪の本来的な問題点を如 実に示すものであると同時 に、共謀を持ちかけた側のみが自首により刑罰を免 れることがあり得るという点で、この規定自体にも問題がある。 以上の通り、この修正案がいくつかの点で限定を加えた姿勢については一定の 評価は しうるものの、この法案がもともと有している多くの問題点は是正され ておらず、当連合会は、この法案には強く反対し、その抜本的見直しを求め、運 動を継続・強化していくものである。 2006(平成18)年4月21日 日本弁護士連合会 会長 平山 正剛 |