お台場は東京の顔ではない (中国)王衝
日本はすごい。お台場から戻ってきたとき、こんな言葉が口をついて出た。
お台場に着いたのは午後4時過ぎだった。ぼんやりかすんだ空に雲がいくつか浮かび、海上には微かに波が立っていた。連なった高層ビルの一つ一つが、半ば遮られた太陽の光に照らされてくっきりと目に映った。帰るときはすでに街の灯りがともり始め、東京の賑わいの隅々までが姿を見せていた。レインボー・ブリッジがお台場と東京のその他の地区をつないでいた。
明るく輝くお台場の外観が東京の顔だとすれば、そこに内在する魅力は一体どこにあるのだろう?清潔で誰も痰など吐かない街だろうか?規則正しく道を行く人と車だろうか?列車が定刻どおりに駅に着き、発着時間が表示されている地下鉄だろうか?
そうかも知れないし、そうではないかも知れない。トヨタと松下を訪問して、私は自分の答えを得た。
トヨタはハイブリッド車を開発し、一般の車に比べてガソリンを半分に節約できるようになった。燃料電池自動車の研究もかなり進み、ディーゼル車の研究も行われている。つまり、彼らは先行き20年の技術を蓄えているわけだ。
トヨタを離れて松下のFUTUREコーナーを見る。 FUTURE コーナーには壁面一体のスクリーンがあり、遠隔操作もできるし、タッチ操作もできる。そこにはハイアール(注:中国の大手家電メーカー)の「画中画」のように複数のテレビ番組を映し出すこともできるし、背景の画像を任意の大きさに縮小したり拡大したりもできる。この壁面スクリーンは必要に応じて変換もできるし、客間に置いて、演奏者が本物の人と同じ大きさのコンサート場面を放映したり、電子メールを受け取って読んだり、電子メールが商品の PR であれば、さらにファイルを開けて詳しく検討してから注文したりすることもできる。また、このスクリーンは子供のゲームスクリーンとしても使え、子供たちはスクリーン上でバスケットボールをしたり、ピアノを弾いたり、スクリーン上の好きな場所に落書きをしたりできる。こうしたスクリーン、およびそれを支える「家庭用ゲーム機と家具の一体化」の理念は、まもなく現実のものになると私は確信する。
日本は島国であり、地震多発地帯にある。彼らは、ひとたび地震が起こればすべての美しい高層ビルが破壊される可能性もあることを知っているし、それに加えて日本には資源が乏しい。そのため彼らは、技術立国の路線を歩むことを運命付けられているのである。彼らは、どんなに大きな地震が来ても、知識と技術を持った人々がいればそれを回避できるということを知っているのだ。
お台場は東京の顔ではない。東京の顔、日本の顔はいかなる建築物でもなく、創造力を持った人々と彼らが開発した先進的な製品なのである。
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