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タイトル:非公式情報 第196号  2006/03/12


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消えないコソボの火種

By StrangeLove

3月11日、ハーグにある国連の収容施設でかつてのユーゴスラビア大統領、スロボダン・ミロセビッチの死体が発見された。自然死とされているが、違う見方をする人もいる。自殺説は聞こえてこないが。

例え自然死だとしても、問題は残る。高血圧だったことに加え、心臓の状態が悪いとしてミロセビッチはロシアでの治療を希望していたのだが、今年2月に裁判所側はその要求を拒否していたのである。健康上の問題があることを承知していたにも関わらず、検察/法廷側が適切な治療を行わなかったのではないかと非難されても仕方がない。

実は、3月6日に検察側の重要証人、ミラン・バビッチが同じ収容施設で「自殺」している。2002年以来、ミロセビッチの戦争犯罪を証明するための証人として検察側が切り札的に利用してきた人物だ。他の囚人ができないよう厳重に守られていただけに、この件でも検察/裁判所側は非難されても仕方がない。

1990年代のバルカンは混乱の時代だった。ユーゴスラビアを構成していたスロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナなどが相次いで独立を宣言、それを欧米各国がすぐに承認したことで混乱に拍車がかかった。

そうした欧米の態度は現在でも変わらず、クロアチアやマケドニアはEUへの加盟が見通されている。アルバニアやボスニア、セルビア・モンテネグロも潜在的候補だと考えられているだけでなく、コソボの独立とEU加盟も議論されている。

さて、コソボ紛争が激化する中、バビッチは非セルビア人を約8万人、域外へ追放する作戦に加担したとされているのだが、1995年からはクロアチアが「民族浄化」を目的とする「嵐作戦」を開始している。その結果、10万人とも20万人とも言われるセルビア人が追い出され、その際に虐殺事件も起こしている。

この嵐作戦で中心的な役割を果たしたとされる人物のひとりがアギム・セクなる軍人。1999年にはコソボ解放軍の最高指揮官に就任したが、ここにきてコソボの首相候補として名前が挙がっている。反セルビア陣営の残虐行為に関し、「欧米先進国」は寛大だということがわかる。

実は、嵐作戦が開始される直前にアメリカの退役少将、リチャード・グリフィスを中心とする15名の軍事顧問がクロアチアへ入っている。派遣したのは「民間軍事会社」として有名なMPRIだった。顧問団派遣は嵐作戦と無関係なのだろうか?

コソボでは「反セルビア」の旗のもと、欧米やイスラム教徒が集まっているが、そうした中には ネオコンやアル・カイダも含まれていた。

当時のアメリカ大統領、ビル・クリントンがセルビアに対する先制攻撃を承認、その過程で偽情報をアメリカ側が流している。イラク攻撃と似たような展開だ。今年2月下旬、ミロセビッチ側はそのクリントンの証言を求めていた。

セルビア人、アルバニア人、イスラム教徒、そして欧米諸国などがボスニアやコソボで何をしたかは『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房刊)に詳しく示されているので、是非ご覧いただきたい。
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