2006年3月8日第9号(通巻第25号) 毎週水曜日発行 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

先端アートの祭典

国内外の優秀な芸術作品を顕彰、展示するために、2月24日から3月5日まで東京都写真美術館で「第9回文化庁メディア芸術祭」が開催された。世界各国からの応募作品1797点から24点が選ばれ、4つの部門で「大賞」、「優秀賞」と「奨励賞」が授与された。

●アート部門の大賞は「Khronos Projector」
この作品は、われわれに時空を飛び越えることを体験させてくれる。ビル街の風景が映し出されたスクリーンの画面を手でなでたり押したりすると、その部分が昼間の景色から夜景に変わる。作者はウルグアイ出身の東京大学助手、Alvaro Gassinelli氏である。

●エンターテインメント部門の大賞は「Flipbook!」
インターネットブラウザ上で作画ツールを使って、誰でも気軽に楽しくFlash形式の動画を作成することができ、完成した作品はそのままネット上にアップして公開することができる。

●アニメーション部門の大賞は「浮楼」
喜納昌吉の「花」のメロディを元に作られたアニメーションで、村の全景と思われる絵巻物であり、よく観察すると、その中に一人の女性の成長物語が隠されている。

●漫画部門の大賞は「失踪日記」
本メルマガでも紹介したことがある作品。自身の「失踪」体験を元にして創作した漫画であり、第34回日本漫画家協会大賞を受賞した。

(C)2006 Japan Media Arts Plaza .
文化庁メディア芸術プラザ http://plaza.bunka.go.jp/index_ie.html
 
家電製品・IT情報

便器とトイレの革命  

東陶機器(TOTO)は、日本有数のバス・トイレ等衛生設備の設計製造企業であり、人々の生活観念を変える数多くの新しい製品を開発してきた。そのうち二つの例をご紹介しよう。

●歌う便器

MP3再生機能を備えた、洗浄型・暖房・フレグランス便器である。この「NEWネオレスト」というシリーズは、節水・節電などの一般的機能のほか、事前にSDカードに録音された16曲の名曲をリモコンを使って再生できる。また、「室内暖房」機能は冬の寒さを解消し、「脱臭、フレグランス」機能はトイレを常にいい香り(野ばら、風鈴、古都、真綿の四種)で満たしてくれる。

●健康チェック便器

便座に坐ってスイッチを押すと「自動採尿器」が現れ、採尿後1分で「尿糖値」がデジタル表示される先端システムである。厚生労働省の調査によれば、85%の糖尿病患者がこの病気を軽く見ているとのことだが、毎日自分の体をチェックすることで、適切な管理と予防が行えるのである。将来は、坐っただけで全身の健康状態をチェックできる便器が登場することだろう。
(C)2006 TOTO LTD.
TOTO 公式サイト http://www.toto.co.jp/
 
観光スポット・グルメ

夢の大田原牛

日本料理が好きな人なら、「松坂牛」や「米沢牛」はきっと聞いたことがあるだろう。でも、「大田原牛」を知っている人はまだ少ないはずだ。これは今日本で最も人気のある牛肉なのである。大田原牛を食べることができる東京の麻布十番の「大田原 牛超」には、ボーナスが出たときや特別の記念日に20〜30代の若者が殺到する。まもなくホワイトデー(3月14日)がやってくるが、バレンタインデーのお返しをするために「牛超」に予約を入れる男性も多いことだろう。

ところで、大田原牛というのは「松坂牛」や「米沢牛」のように産地のブランドというわけではない。大田原牛の条件はたった二つである。一つは「日本食肉格付協会」が規定する15レベルの肉質基準のうち最高レベルであるA5であること。もう一つは、A5の中にさらに「霜降」の程度で12レベルのBMS(牛脂肪交雑値)が定められているが、これが10以上であることだ。この二つに合格していれば、 栃木県大田原市 産の牛でなくても「大田原牛」と呼ぶことができる。中でも一人前10万円の「大田原牛ステーキ」が取れる基準に達した牛は、日本全国で年間100万頭生まれる牛の中でたった3頭だそうだ。

「大田原牛ステーキ」を食べたある人が、感激してこう言った。「これまで食べていた牛肉は牛肉とは言えないな。一切れつまんで舌に載せると、ゆっくりと溶けていく。まったく、舌だけでなくて脳みそまで溶けてしまいそうな気分だよ!」 (本文は雑誌「R25」の関連する文章をリライトしたものである)

大田原 牛超 麻布十番店 http://www.nasugyu.com/azabu/azabu_index.html

 
イベント掲示板
日本のナンバーワ

古タイヤ利用の妙案

秋田県横手市で、2000年12月にびっくりするような傑作が誕生した。全国で初めての古タイヤで作った砂防ダムの使用が始まったのである。

この高さ8メートル、長さ59メートルの砂防ダムには4500個の古タイヤが使われ、半年かけてようやく完成した。日本では、古タイヤの処理は頭痛の種で、あちこちに連絡したあげく一つにつき800円支払ってようやく引き取ってもらえる。そこで日本最大の自動車タイヤ企業、横浜ゴムと大手建築会社が、共同でこのすばらしい処理法を考案した。

まず、4つのタイヤを積み重ねて、1立方メートルのまとまりにした後、中に鉄筋コンクリートを入れる。こうしたブロックを1000個作って、これで砂防ダムを形成する。これは正に、一石三鳥の方法である。第一に建設コストが大幅に削減できる。この古タイヤは1個600円で買ってくることができ、処理する場合より200円安い。また、新しい工法を用いることによって5%の建設費を節約でき、さらに土石流が発生したときにタイヤが発揮する緩衝作用は一般の泥と石の砂防ダムとは比べものにならない。

近い将来、日本全国でこの妙案が普及し、たくさんの新しい砂防ダムが建設されるだろう。
華人の見た日本

私が垣間見た日本 (中国)無名氏

旅行者の多くは、弾丸のように速いと言われる新幹線に是非乗ってみたいと考える。新幹線の時速は270キロで、世界で最も速い列車の一つであり、乗っていると車両が安定しており、騒音も少なく、飛行機に乗るより快適である。

近代的技術のほかにも、日本にはいろいろと文化的な特色があるが、それらはアジア、特に中国の古典文化に源を発している。休日にはたくさんの敬虔な信者や旅行客が寺院を訪れ、たいへんにぎやかである。東京では、浅草の観音様は旅行者が必ず行く場所だ。東京では、寺院の建物などだけでなく、ショッピング街も有名な観光ポイントである。

日本のショッピング街の計画と建設は独特なもので、旅行者は旅先での買い物の楽しさを味わうことができる。日本では店に並べられた商品には価格がはっきり表示してあり、基本的に値切る習慣はないが、品質はしっかり保証されており、偽ブランドや粗悪品はほとんど見かけない。ただ、物価はたいへん高い。しかし、安いものを買えるチャンスもある。例えばスーツや和服などは、大きなデパートでバーゲンシーズンがあり、運がよければ品質の高いブランド商品を安く買うことができる。

タクシー運転手は、日本の場合多くが四十歳台以降である。彼らが若い観光客のために車のトランクを開けたりスーツケースを運んだりしている姿を街でよく見かける。中高年運転手たちは若者に比べて交通規則をよく守り、割り込んだり、突然停車したり発進したりということはあまりないし、車も清潔である。運転手が規則をきちんと守るので、乗る人もそれにならって、タクシーを停められない場所でやたらに手を上げてタクシーを呼ぶ人はいない。ただ、タクシー代は非常に高い。

毎日午後 5 時の退勤時間から夜10時ごろまで、街はスーツと革靴を身につけて書類かばんを提げた青年や中年やもうすぐ定年と見られる男性でいっぱいである。彼らはグループで飲み屋に入ったり、街をぶらついたりしている。

どうして日本の男性は、退勤後にすぐ家に帰らないのだろう?まっすぐ家に帰ることは、その男性が見込みがなく、友達もなく、向上心もなく、出世できないことを表しているだろうか?

「深セン商報」 より(本編集部で一部削除した)
日本人の見た華人

ねずみは米が好き・・・? (日本)檸檬

中国や香港、台湾を歩いていると、どこかで聞いたことのあるメロディーをよく耳にします。外国のカヴァーをするのが好きですよね。『後来(未来へ)』とか『紅日(それが大事)』などは有名。最近は『恋のマイアヒ』中国語 Ver.!色々な Ver. が絶え間なく流れていてイライラしてくるぐらいです。中国人は、そのカヴァーが、オリジナルだと信じて疑っていません・・・。

日本人だってカヴァーはよくしますけど、それはほぼ洋楽ですよね。

でも!

日本に帰った時に NHK を見ていると、懐かしの『みんなのうた』が始まりました。私の時代だとボニ−ジャックスのおじさん達が「小さい秋」等を低く甘い声で歌っていましたが、今回耳にした曲のタイトルは、

『ねずみは米が好き』。

あれぇ〜?どこかで聞いたことがあるような、ないような・・・。

隣で一緒にテレビを見ていた母に「中国には『老鼠愛大米』っていう歌があるのよ。こういう子供の歌じゃないけどねぇ〜。」等と説明し、聞くともなしに聞いていたのですが、途中で気付きました。

これ、本当に『老鼠愛大米』だ。

いやぁ、びっくりしましたねぇ。日本人も中国の歌をカヴァーしたりするんだぁ。然もみんなのうた!日本の子供たちはあの曲、気に入るのかなぁ〜?所々入る中国語の意味はわからないで歌うんだろうなぁ、子供たち。

「檸檬の深セン小箱」サイトより(本編集部で一部削除した)
読者からのお便り

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先端技術・出版・雑学

ケイタイで長編小説を執筆

「いじられたらそれでおしまい。ここは戦場なのだ。」――世界初の、全編ケイタイで入力して書かれた長編小説が、「第1回野生時代青春文学大賞」を受賞した。作者は何と17歳の高校生である。

角川書店とフジテレビが行なったこの文学創作コンクールは、他の文学賞が選考委員によって選ばれるのとは違って、ネット上の投票と書店員の意見によって決定する。その結果、東京在住の高校2年生、木堂椎(こどう・しい)くんの「りはめより100倍恐ろしい」が栄冠に輝いた。

この作品は、さまざまな高校生の個性を描いた青春小説で、タイトルの意味は、主人公にとって、同級生の「いじり」の陰険な攻撃は、一般的意味である「いじめ」より恐ろしいということを言葉の最後の一字で示したものである。

木堂椎くん(ペンネーム。本名と学校名は公開されていない)は、ケイタイでこの小説を創作し、電子メールで応募した。400字詰め原稿用紙に換算すると約250ページ(約10万字)に相当し、2ヶ月以上の時間がかかったと思われる。

今回のコンクールに集まった長編小説は全部で942篇で、賞金は100万円である。木堂くんは「勉強時間や睡眠時間を削って書き続けた甲斐があった」と受賞の喜びを語っている。
青春文学大賞公式サイト http://www.kadokawa.co.jp/sp/200602-03/
 
世相・若者の生き方

週末号泣が大はやり

「男はむやみと涙を見せるものではない」などという考え方はもう古いらしい。最近日本では「週末号泣」がはやっている。男女を問わず多くの人が、週末になると感動的な映画(DVD)や本を買ってきて、家でそれを見ながら涙を流しているのだそうだ。ある週刊誌で20代から50代の男女読者 800 人を調査したところ、最近1年間に大泣きした人の割合は70%以上だった。そのうち20代から30代の女性の53.5%は、特別な理由がないのに「泣いた」のだそうである。

脳機能研究所の研究によると、被験者に悲しいドラマを見せていらいらの程度を測定したところ、涙を流したときにいらいら感が消えたのだそうだ。また、涙を我慢するように指示したところ、いらいらの度合いが高まった。このことから、泣くことは健康にいいということがわかる。

去年一年間の涙を流した理由で最も多かったのは「悲しみの涙」で297人、それに続いて「特に理由がない涙」(188人)、「その他の理由の涙」(159人)、「後悔の涙」(77人)、「喜びの涙」(56人)、「怒りの涙」(23人)であった。

涙にはさまざまな成分が含まれており、血液に非常に似ているのだそうだ。女性が涙を流したときに化粧が崩れないように、「号泣しても落ちない」アイシャドーやアイペンシルが発売され、「週末号泣のススメ」という本まで出版された。

泣くことと脳のリラックスとの関係はまだ完全に解明されてはいないが、「週末号泣」の潜在的流行は、しばらくの間続きそうである。
お笑いコンビ「号泣」公式サイト http://com.horipro.co.jp/profile/04gokyu.html
 
編集後記

「鮑鰹鱸鯨鰻鯛鮪……」緑色の「魚偏」の漢字がぎっしり書かれた茶碗を手に持ち、ほかほかと上がる緑茶の湯気の向こうにゆっくりと回転する寿司を眺めながら、心の中で漢字を読んでいく。

「あわび、かつお、すずき、くじら、うなぎ、たい、まぐろ……」

家を出て 15 分ほど歩いたところに築地魚市場がある。ここでは東京で最も新鮮な海の幸が味わえるのだそうだ。しかし休日には、もう半時間ほど費やして下町まで足を伸ばし、回転寿司を食べに行きたくなる。

高級な寿司屋の敷居が高いことを言うより、回転寿司に対する偏愛を語りたい。私のような異国の放浪者にとって、どうにも判別しにくいさまざまな魚たちを前にして、衆人環視の中で寿司職人に対して間違いなく自分の食べたいものを注文することは、ほとんど奇跡に近いのだ。そんな時、回転寿司は間違いなく日本の食文化との最良の接点になる。なにしろ一目瞭然の寿司が目の前に差し出されているのだから、ちょっとばかり観察力と忍耐力を持っていれば、たとえ日本語が完全にわからなくても何とかおなかをいっぱいにして、日本の寿司の魅力を味わい尽くすことができるのである。

回転寿司はまた、中華料理の回転テーブルを思い起こさせる。和気あいあいと楽しい気分で自分が食べたいものを取り、あるいは数の少ない「珍しい皿」は、長く待ち続けている隣人に譲る……回転するベルトの中心に立っている白衣白帽の寿司職人は、さまざまな種類の寿司を両手を使って休みなく握り続けると同時に、来る客や去る客に挨拶の声をかけるのを忘れない。

回転寿司は、人々を観察するのに最適な場所である。初めて寿司を味わった感動の涙(あるいはわさびによる涙?)で目の周りを濡らしている金髪碧眼の客、日本語は下手でも挨拶だけは板についた華人のアルバイト、皿の上の二つの寿司のうちかならず一つを夫に食べさせるふくよかな主婦(美食の間もダイエットは忘れない?)、積まれた皿が大人よりも多い小学生……。

回転寿司の店。それは、日本での生活にいろどりを添える小さな贅沢であり、心からリラックスできる場所なのである。