|
[希望のトポス]“OPERA、Koizumi & Horiemon's Love Game” is Over ! 2006.1.26 ライブドアが株価を吊り上げるために使った「株式分割」について、商法改正(2001年施行)前は、「●株式分割後の額面総額が資本金の額を超えないこと」と「●株式分割後の一株あたり純資産額(借対照表の総資産から負債を除いた金額)が5万円以上であること」という規制がありましたが、この二つの規制が撤廃されたため株式分割による株式の増加数を取締役会だけで決定できることになりました(http://www.skc.or.jp/qa/bunkatsu.html)。また、同じくライブドア事件の主な舞台となった「投資事業組合」(http://www.nicrt.jp/toushika/toushika-main01.html)は、出資者から集めた資金を投資して株式公開などで利益を得ようとする仕組みですが、この「投資事業組合」も、2004年から「投資事業有限責任組合契約に関する法律(ファンド法)」(http://www.meti.go.jp/policy/sangyou_kinyuu/kumiaihou.htm)によって、組合員の資格制限や人数制限が撤廃されて投資組合(ファンド)への投資を目的とする投資組合も自由に設立できるようになりました。ライブドアは、これら株式市場に関する「規制緩和」を最大の“ビジネスチャンス”と捉えて“偽計&粉飾ビジネス”に勤しんできた訳です。 ところで、このようなライブドアの“ビジネスチャンス”を支えるインフラストラクチャーとなったのが、生産要素市場における「小泉構造改革の三つの領域(労働、土地、資本)」の一つである「資本市場の改革」です。従来、我が国の資本市場の特徴は「間接金融」(銀行経由の資金融通)の優位ということでしたが、「小泉構造改革」は銀行不良債権問題の絡みと「金融マーケットのグローバリズム化」を理由に、これを「直接金融」(株式市場経由の資金融通)へ転換する政策を強力に推し進めてきました。その結果、株式市場こそが株式会社の命綱である「資本」を調達するために最も重要な場所となってしまった訳です。このことを企業会計の観点で具体的に整理して見ると以下のように「会計ビッグバン」(会計システムの大規制緩和)と呼ばれる七本の柱が見えてきます。「金融マーケットのグローバリズム化」とは、日本の株式会社が、いわば弱肉強食の世界規模の金融マーケット(先端ネット技術と金融工学で巨大な国際金融ゲームの坩堝と化した)の風圧に直接晒されるようになったことを意味します。 (1)税効果会計(課税計算とP/L(損益計算書)の不一致をなくす会計)の導入(1999年4月〜) http://www.yoshikawa-k.com/glossary/k_08.html (2)キャッシュフロー計算書の導入(2000年3月期〜) http://www.tabisland.ne.jp/explain/kaisha/kais_005.htm (3)時価会計(帳簿に計上した資産を時価で評価し直す会計)の導入(2001年3月期〜) http://www.tradition-net.co.jp/kouza/jika_kouza/jika6.htm (4)退職給付会計(将来負担すべき退職金給付額を財務報告に計上する会計)の導入(2001年4月〜) http://www.prings.com/accounting/taisyoku1.htm (5)企業連結会計(親会社と子会社の決算書を合算しグループ全体の損益を把握する会計)の徹底(2002年4月〜)http://www.yokosuka.jp/yfn/yf-00151.htm (6)減損会計(土地・設備等固定資産の減価額(価格低下分)を財務報告に計上する会計)の導入(2006年3月期〜) http://www.sanrio.co.jp/bus_info/keiri/45_1118_3.pdf (7)企業結合会計(企業の合併、株式交換・移転が行われたときの会計)の導入(2006年4月〜) http://www.geocities.jp/akibook1st/ketugo.htm これらの中でライブドアの天才詐欺師・ホリエモンが主に目を付けたツールが、「商法改正(2001年施行)による株式分割の自由化」、「自由化された投資事業組合」、「(3)時価会計」及び「(5)企業連結会計」の四つです。会計用語では「売掛金」(現金とともに売上を構成する)と「有価証券」(株式等)を「金融商品」と呼びますが、ホリエモンにとっては時価会計の対象となる「金融商品」、つまり「売掛金と株式」こそが錬金術の道具に見えたようです。これらのツールを駆使(リアルな部分の操作である「売上の水増しと利益の付け替え(粉飾決算)」とイメージ操作による「株価のつり上げ」の組み合わせ)してライブドア株の時価総額(発行されている全ての株式数×株価、参照http://www.jinvestor.com/news/commentary/20010421/001.html)を際限なく引き上げ続けるというトリック(からくり)を小細工して、グループ連結売上規模が高々300億円程度のライブドアが、一時は株価の時価総額1兆円という“奇跡”を実現したのです。今となってみれば、単体の売上規模で約40兆円のトヨタ自動車の時価総額が約13兆円であることを考慮すると、このライブドアの株価の時価総額1兆円が如何に異常なものであったかが理解できます。 言うまでもなく、この驚異的な数字は“人を動かすのはカネだ!”、“倫理観などは時代で変わる!”とほざいた「ホリエモンの話術と詐術」によって売上げ(売掛金+現金収入)と株の時価総額の擬装・粉飾で生まれたものです。しかも、昨年9月の総選挙では、小泉・竹中・武部という“からくり工作・三羽烏”が、この天才詐欺師・ホリエモンを自民党の選挙用・広告塔ならぬ摩天楼として空中高く祭り上げたのです。このため、善良な多くの国民はコロリとこれに騙された訳です。いわば、詐欺師・ホリエモンはこの『小泉・竹中・武部&ホリエモン』合作の“幻想のドラマ”(Koizumi & Horiemon's Melodrama)の演出で大儲けをしたという訳です。一方、この『小泉・竹中・武部&ホリエモン』の“幻想のドラマ”が総選挙における『小泉詐欺劇場』の大勝利をもたらしたのです。ここで明確に姿を表わすのが小泉・ホリエモンという“両詐欺師”の合作演出がもたらしたシナジー効果(http://dictionary.goo.ne.jp/search/%A4%B7412202150311000000/jn/5/topic/)の計り知れぬほど甚大な大きさです。彼ら四人が日本国民の大多数の精神環境を天空高くへ放り上げた罪、言い換えれば『小泉劇場の幻想空間』の奥深くまで引きずり込んで結果的に多くの金銭的な被害者と政治的・経済的な混乱をもたらした罪は万死に値するほどです。 それにもかかわらず、ただ一点だけ救いとなり、あすかながら「希望のトポス」を感じさせることがあります。それは、今回のホリエモンらの逮捕によって「“OPERA、Koizumi & Horiemon's Love Game” is Over !」(Livedoor President Horie, 3 top execs arrested for alleged financial fraud、http://www.crisscross.com/jp/news/362014)となったため、シラノ・ド・ベルジュラックをひたすら愛し続けた初心なロクサーヌ(http://www.spac.or.jp/repertory04c.html)のような、天才詐欺師・小泉氏に対する一般国民の“深い恋慕の情”が漸く醒め始めたか(?、未だあまり期待はできないが・・・)のように見えることです。小泉首相は、1/25の国会答弁でも「司直が捜査中なので口を挟みたくないが、オレには昨秋の総選挙でホリエモンを自民党の広告塔に祭り上げた直接的な責任はない!」と再三再四の白を切っていますが、その表情は“唇ほろび歯寒し”(もたれあい関係にある相方が滅びそうになり、もう片方の悪漢が苦境に嵌っている状態)の悲壮感が漂う、チャイコフスキーのメロディーが似合いそうなドラマチックな表情となっています。 ところで、この“幻想のメロドラマ”には、もう一人の主役でもあるシカゴ学派のミルトン・フリードマン(http://cruel.org/econthought/schools/chicago.html、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3)かぶれの御用学者・竹中氏の存在(カルト宗教の疑いがある新自由主義思想と市場原理主義で初心な日本国民の洗脳と折伏を諮っている)が欠かせないのですが、話が長くなりすぎるので又の機会とします。また、もう一人の脇役・武部氏は“小泉氏の自称100%イエス・マン”という、あまりにもつまらぬ役回りの端役なので取り上げるつもりは一切ありません。 |