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[暴政]「神憑る小泉劇場」と「ホリエモン」が煽ったトリクルダウン幻想 2006.1.23 自由主義的な考え方の根本についてアダム・スミスへ大きな影響を与えたと されるイギリスの政治思想家マンデビル(Bernard de Mandeville/1670‐1733) の著書『蜂の寓話』(The Fable of the Bees/1714)の考え方の根本は“「私 的悪徳と強欲」が最終的には「公共的便益」につながるのだ”という奇妙な考 え方です。それを言い換えれば、“贅沢、虚栄、虚勢、我欲、強欲、傲慢、嫉 妬心などの凡ゆる悪徳こそが経済的繁栄につながると主張する特異な思想であ り、マンデビルは、それらをむやみに公権力で制限することは逆に国家の衰退 を招くのだ”と主張したのです。この考え方を現代的・合理知な“経済理論風 にソフィスティケイトしたもの”が供給サイドの活性化を重視する「サプライ サイド経済学」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83% A9%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6)の立 場であり、それが現在の日本を風靡する“小泉=竹中流・新自由主義思想”の 土台となっているのです。そして、この“小泉=竹中流・新自由主義思想”に 引きずられる日本は、小泉首相の「靖国神社参拝」への拘りという異常なファ クターが加わることで、更に、異様に「神憑る小泉劇場」と化しつつありま す。 また、この“小泉=竹中流・新自由主義思想”の強固な信念となっているの が「トリクル・ダウン理論」(trickle-down theory/原義は水滴などがポタポ タ滴り落ちる/参照、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3% 82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E7%90%86%E8%AB%96)です。それ は、政府の資金を公共事業や福祉などで低所得層や弱者層の国民に直接配分す るよりも、傾斜的に大企業や富裕層の経済活動を活性化させる「勝ち組-負け組 み」政策(貧富差拡大・二極化政策)の方が国の経済政策としてより有効だと いう考え方です。そうすれば、やがて富の一部が低所得層に向かって徐々にポ タポタと流れ落ち、国民全体の利益になるという訳です。我が国では、小渕内 閣が所得税の最高税率を引き下げた時(平成11年以後の各年分の所得税の最高 税率が50%から37%に引き下げられるとともに、各年度分の住民税の最高税率 (700万円超の課税所得金額)が15%から13%に引き下げられた、 http://www.prings.com/tax/kaisei10.htm#s1)に、この考え方が理論的根拠と して用いられました。 今や、小泉首相が「通常国会」開会の施政方針演説で“自画自賛”と“無責 任極まりない「有終の美」”発言(=敵前逃亡発言?)をする一方で、国家財 政破綻の不気味な足音が次第に大きくなりつつあります。この小泉首相の底抜 けに『無責任な感覚』は一体何なんでしょうか? そもそも小泉政権は、名目 上は橋本内閣の「財政構造改革」を引き継いだはずでしたが、2002年の国会で 「こんな公約を破るなど大したことではない!”と雄叫びを上げた直後から、 なぜか「財政構造改革」の目標は放置されてしまい「郵政民営化」一本の目標 へ突っ走ってきたのです。その後、2004年3月の日銀発表から日本の家計貯蓄 率はマイナスへ転じ始めています。このたび「金融広報中央委員会」(事務 局・日銀情報サービス局)の「家計の金融資産に関する世論調査/2005年版」が 発表されました(2006.1.22付・日本経済新聞、 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060122AT1F1302521012006.html) が、それによると貯蓄を「持っていない」と回答した世帯(2人以上)が22.8% を占め、その割合は昭和38年(1963)に調査を始めて以来最高となっていま す。また、この貯蓄を「持っていない世帯」の割合は2004年比で0.7%上昇しま した。実に、日本の全世帯の約1/4近くが「無貯蓄世帯」となってしまったので す。一方で、ここで日本の富裕層は世界で2番目に多いとの指摘もありますの で、「神憑る小泉劇場」の下で日本における世帯間のニ極化が着実に進んでい ることが分かります。 2005年の衆議院選挙で、日本国民は小泉自民党を圧倒的に支持しましたが、 その時、小泉首相は国民に対して次のような点についての明言と議論を避けて います。 ●郵政民営化によって国債暴落の危険性が増大するという事実 ・・・それまでの発行済み国債の約1/4、140兆円を郵貯・簡保が保有してお り、このような買い支えができなくなると国債暴落の懸念が高まる。 ●小泉政権下で財政赤字が更に悪化した経緯の説明 ・・・それまでの在任中に約二百数拾兆円の財政赤字を増加(国債を増発)さ せた。 ●大増税政策を予定していること(参照、 http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060109) ・・・選挙用のリップサービスでは増税を否定していた。(これは耐震強度擬 装などの詐欺行為に等しい!) その一方で、小泉首相は“人の心も金で買える!”と公言するホリエモンを 日本国民が見習うべき独創的なビジネスモデルの旗手として最大級の賛辞を送 りながら持ち上げ、「総選挙の顔」の代表に仕立て上げて見せたのです。雑誌 「livedoor 2005 winter」(参照、下記URL★)上での自 民党・武部幹事長による“堀江君は素晴らしい青年だ”という発言に、その 深々とした余韻が残っています。このように「神憑る小泉劇場」が鼓舞してき た“格差ある社会は活力がある社会だ!”というフレーズは、まさにカルトの 信条ではないかと見紛うばかりです。また、今になって見れば、2002年の国会 での小泉首相の雄叫びが『「アメリカ・ブッシュ大統領」と「ヒューザーの小 嶋社長」と「ホリエモン」のためを思えば、こんな公約など破っても大したこ とではない!』の聞き違いではなかったかと思えてきます。 ★「堀江君は素晴らしい青年だ」 自民党・武部幹事長 ライブドア誌対談で ベタ褒め(北海道新聞・記事) http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3? &d=20060121&j=0022&k=200601218883 今、我われ日本国民は、そもそも『トリクル・ダウンの呪文』(trickle- down theory)を唱えた人物の名がデビル・マン(=悪魔/Devil-Man)の逆綴り (Mandeville)であることを想起すべきです。我われは、気づかぬうちに呪わ れた政治を選択し支持していた恐れがあります。18世紀初頭のデビル・マンの 呪いで、我われ日本国民は、おぞましい「サルのマスタベーション劇場」を無 理やり鑑賞させられているのかも知れません(参照、 http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060112)。 (参考資料) 岸田コラム/ホリエモンの特捜部捜査を動かした本当の理由 http://www.kishida.biz/column/2006/20060120.html 立花隆のメディア・ソシオポリテクス/ライブドア粉飾決算事件でITバブルはは じけたのか? http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/060118_itbubble/ ホリエモンと小泉純一郎 http://blog.goo.ne.jp/yamane_osamu/e/93f24937ef9890694292567bd7144dd7 神憑り狂気乱舞するライブドアの忘年会 http://www.tanteifile.com/diary/2005/12/31_02/index.html 「問題あると思わず」 ライブドア宮内取締役ら供述 http://flash24.kyodo.co.jp/? MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006012101004379 小泉劇場で『政府の民営化』が実現した先にあるものとは? http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050914/p1 米貯蓄率、大恐慌以来のマイナスに・2005年 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060122AT2M2100X21012006.html 米企業業績、一部に陰り・10―12月期 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060122AT2M2101821012006.htm 米国産牛肉:消費者団体連絡会、信頼回復求め首相に意見書 http://www.mainichi- msn.co.jp/keizai/wadai/news/20060122k0000m040069000c.html 「格差は拡大している」 公明代表が内閣府見解を批判 http://www.asahi.com/politics/update/0120/009.html 米要請でも靖国参拝やめず 大統領に首相明言 http://flash24.kyodo.co.jp/? MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2006012101004377 |