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タイトル:非公式情報 第188号  2006/01/15


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ドイツの情報機関はイラク攻撃を支援したのか?

By StrangeLove

今月の12日、ドイツのメディアは同国の情報機関BNDがアメリカのイラク侵攻に協力していたと報道した。アメリカ軍がイギリスなどの軍隊を引き連れてイラクを先制攻撃した2003年の春、イラクに残っていたBNDの工作員がアメリカの情報機関に対し、攻撃目標に関する情報を伝えていたというのだ。当初、ドイツの外務大臣は報道を全面否定していたが、すぐに前言を撤回してBNDの工作員がイラクで活動していたことは認めた。

報道内容が正しいなら、シュローダー政権はイラク戦争に反対するポーズをとりながら、裏ではアメリカの侵攻作戦に協力していた疑いが出てくる。ドイツ国民の多くがイラク攻撃に反対していることを考えると、大きなスキャンダルに発展する可能性がある。勿論、シュローダー政権がBNDの活動内容を知らなかった可能性もあるが。

BNDは1956年に創設されているが、その母体となったゲーレン機関は第2次世界大戦が終わった直後からドイツの巨大企業とアメリカのエリートたちを後ろ盾として活動を続けていた。

ゲーレン機関の中心人物、ラインハルト・ゲーレンは大戦中、ドイツ陸軍参謀本部第12課の課長を務めていた軍人。いかにもナチ的な拷問を用いて集めたソ連に関する情報をアメリカ側に提供することで生き延びていた。BNDの初代長官に就任した際には中将へ昇進している。「ミサイル・ギャップ」など間違った(あるいは嘘の)情報で「ソ連の脅威」をアメリカ側に吹き込み、冷戦を煽ったのもゲーレンだ。

ともかく、BNDは歴史的にアメリカの情報機関と極めて緊密な関係にある。暗号ソフトに「秘密のカギ」を組み込む秘密工作などでもBNDはアメリカの機関と協力関係にあったことが知られている。

それに対し、ドイツ社会民主党との関係は微妙。友好的とは言えないであろう。例えば、反ナチの立場を鮮明にし、アメリカのエリートから嫌われていたヴィリー・ブラントを首相の座から引きずり降ろす工作にBNDが参加していた疑惑もある。この辺の事情は『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)に書かれているので一読を。

ドイツの現政権はアメリカ政府に接近しているようだが、今回の報道は少なからぬ影響を与えることになりそうである。ドイツ国内にとどまらず、ヨーロッパ全域の問題に発展する可能性も小さくない。
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