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[暴政]グローバリズムの進展で崩壊の一途を辿る「日本の原風景」 2006-01-07 (注)この内容は、2006.1.6付ブログ記事「『フランドル=イタリア交流史』に見るグローバリズムの原像」 (http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060106)のコメントに対するResを新しい記事としてUPしたものです。 昨年、11月17日に山形県東田川郡三川町猪子(地図、http://v3.mapion.co.jp/c/f?grp=sonyM&uc=1&scl=500000&icon=mark_loc%2C%2C%2C%2C%2C&coco=38%2F48%2F58.880%2C139%2F50%2F36.145&el=139%2F50%2F36.145&pnf=1&size=500%2C500&sfn=sonyM_maps_00&nl=38%2F48%2F58.880&)に大ショッピングモール(イオン系の商業複合施設)がオープンしたため、鶴岡市の各商店街などでは「週末は集客が望めなくなる」など、危機感を強め頭を悩ませています。 三川町猪子のロケーションは、大雑把に言うと山形県庄内地方のほぼ中央に位置しており、鶴岡市(南)と酒田市(北)に挟まれた地域です。このあたりの冬は豪雪地帯で非常に自然環境が厳しいところで、昨年末に起こった特急「いなほ14号」脱線事故の現場(羽越本線砂越〜北余目間最上川鉄橋付近)は、ここから北東へ約7〜8kmのところに当ります。 この庄内地域の南部にある鶴岡を海坂藩に見たてて書いた藤沢周平の傑作が小説『蝉しぐれ』であり、昨年、その映画化作品(黒戸三男・監督)が公開され多くの感動を呼び起こしました。そして、なんといっても、この庄内地方の美しい自然景観が、そこを訪れる人々の心をとらえてしまいます(参照、http://www1.odn.ne.jp/rembrandt200306/shonai.htm)。 この庄内地方にかぎらず、今の日本では、全国に点在する稀少で美しい日本の自然と地方の人々の伝統的な暮らしぶりが根こそぎ破壊されつつあります。グローバリズムの波を受けるヨーロッパでも似ような出来事はあるようですが、その政治スタンスは日本とは異なり、新自由主義思想に一定の制御力を課す方向へ舵を切り、必要な部分へは新たな規制を考慮するという、いわば市民意識重視型の政策が進められています。いつ訪れても、ヨーロッパの自然・都市景観が一定のホメオスタシスを感じさせるのは、このためです。 また、いま「構造改革」の名のもとに日本の大都市で行われている都市政策の目玉は「バブルの遺産である廃れた塩づけ土地の再開発」(銀行等金融機関の不良債権放棄の対象となった取り扱い困難な土地)であり、その内容は下記の二つに分かれます。 ●ビッグな超高層マンションの建設(比較的、取り扱い上の問題が少ない大規模な塩漬けの土地) ・・・一流不動産会社、大手デベロッパーなどのかかわりが目立つ。 ●中・低層マンションの建設(暴力団等の絡み、錯綜した抵当権などで処分等が困難な土地) ・・・この周辺には不当な地上げ行為、耐震強度擬装疑惑などの淀んだ空気が漂っている。 また、日本中の都市部郊外の国道沿いにはコンビニ・中型ショッピングセンター・ラーメン店・焼肉店・ガソリンスタンド・サラ金の無人店舗・ファミリーレストラン・パソコンカフェ・カラオケ店などが派手で目立つ看板を林立させています。しかも、その仕様は全国同じレベルに統一され、マニュアル化されています。 一方、2006.1.5付「日本農業新聞」の論説(http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0601/05.html)によると、今年のWTO(世界貿易機関)の農業交渉は大きな山場を迎えるようです。このなかでも、上限関税の導入問題をめぐるアメリカの主張は強引なもので、一気呵成の大幅な関税引き下げが決定した暁には、日本の農業基盤が急速に崩壊する恐れがあります。多国籍アグリビジネスの横暴なビジネス展開(http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~hisano/documents/hisashu17.pdf)も農業関係者の危機感を煽っています。つまり、この方面からも、日本の農山村の風景が破壊されようとしている訳です。 かくして、日本の美しい自然環境と伝統的な地方の人々の暮らし及び都市部に残る伝統建築物などが際限なく壊されようとしています。我われがヨーロッパの知恵から学ぶべきことは、このように奔放で横暴きわまりないグローバリズムを制御するという「強い意志を取り戻すことの重要性」だと思います。 |