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タイトル:非公式情報 第186号  2005/12/31


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メディアの化けの皮

By StrangeLove

日本のマスコミは「力」に弱く、政府や大企業に関しては腰の引けた報道しかできない。そうした彼らの実態を批判する本も出版されたが、「権力者に弱いメディア」は日本だけの話ではない。アメリカのメディアも権力者には相当弱い。

何回か前にボブ・ウッドワードの話を書いたが、彼の所属しているワシントン・ポストは情報操作と深い関係にある。第2次世界大戦後、1948年頃からアメリカの情報機関はマスメディアと手を組み、国民の意識を操作する秘密工作を開始している。その中心にいたのが、アレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてフィリップ・グラハムである。

最初の3名はCIAの内外で破壊工作を指揮していた人物だが、最後のひとりは異色。ワシントン・ポストのオーナー(当時)なのである。フィリップは大戦中、アメリカ陸軍の情報部に所属していて、そのときにダレスたちと知り合ったという。ちなみに、フィリップの妻がウォーターゲート事件当時の社主、キャサリンであり、キャサリンの親友のひとりがウィズナーの妻だ。

勿論、情報機関に協力していたのは彼らだけではない。CBS社長だったウィリアム・ペイリー、タイム/ライフを発行していたヘンリー・ルース、C・D・ジャクソン、ニューヨーク・タイムズの発行人だったアーサー・シュルツバーガーなども協力者。まだまだ協力者はたくさん存在する。

1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領(当時)が暗殺されているが、その時の様子を撮影した8ミリフィルム(通称、ザプルーダー・フィルム)を事件から24時間以内に買い取り、1969年に裁判所から提出を命令されるまで倉庫にしまっておいたのがライフであり、非公開を決定したのがC・D・ジャクソンだった。公表されたフィルムには大きな傷がついていた。

1980年代になると情報操作から一歩進み、「思想工作」が始まる。「プロジェクト・デモクラシー」だ。同じ頃、米英両国の結束を強めるためにBAP(次世代のための米英プロジェクト)が設置されているが、ここにもメディア関係者が多数、参加している。ロナルド・レーガン政権の政策に対する批判がその頃にイギリスで高まっていたため、米英両国の間に亀裂の入ることを恐れたようだ。

大手メディアといってもビジネス界全体から見れば、さほど大きな会社ではない。カネが大好きな記者も少なくない。「ジャーナリストは高級売春婦より安い値段で買うことができる」と言われているそうである。これでは権力者と対峙できるはずがない。
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