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タイトル:[ep-finance] ファンドで証券化は食えるか?  2005/12/09


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         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 9-Dec-2005

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おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

さて、最近いきなり寒くなりましたよねぇ。
冬の入り口らしい、すごく乾燥した寒さが東京を襲っているのですが、
そのおかげでかこのところ咳き込む事が多くなりました。
まわりからは、
「鳥?」
とささやかれておりますが(苦笑)

もしそうなら今頃高熱で苦しんでいるはずでしょ?
みんなもただじゃ済んでないでしょ?

と、逆切れしております(笑)


さて、昨日は昨日で事件はあったものの、なんだか順調に日本株も
堅調な動きを見せていますよねぇ。。。そんなときにいろいろなところから
注目を集めてしまいがちなのが、ヘッジファンドなのですが、
実はクオンツの作ったシステムでシステムトレードしているような
株のロングショート(あがりそうなのを買って、下がりそうなのを売る)戦略の
ファンドにとって、この

何でもあがる

マーケットでは儲かりません。何故か。下がるはずのものがあがるんですから
本来意図していた、マーケットの歪みがさらに歪む訳ですので収益は半減、もしくは
なくなってしまうのです。

じゃあ、売りポジションなくせばいいじゃない

ということでしょうけど、システムトレードを売りにしているファンドがいきなり
システムを使いません、なんて言ったらお客さん(投資家)は怒りますよね?
話が違うじゃないかって。

収益絶対主義とされるヘッジファンドも、なかなか大変なようです。。。

さて、そんな肥大化への道をまっしぐらのヘッジファンド業界ですが、
そんなところにお金のチャンスがないかなぁ、と考える人は、いろいろいらっしゃるのです。

今日は、そのお話から行きましょうか。
<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 [企業の資産流動化と信託: 番外編 - 証券化ビジネスはヘッジファンドビジネスに入り込めるか?]

ある日、私が社会人になってはじめて入った会社の同期で
証券化のエキスパート氏と会って食事をしました。

まぁ、同期という事もあって四方山話も山のようにしたのですが、
その横で、彼が証券化の新しいアプローチを考えていてそのアイデアの
相談をされた、というのが今夜の本題ではあったのです。

といいながらも、酔った勢いで、会話は既存のエキゾチックなアセットクラスの
話から、 WBS の本質論までと、さすがはプロ!という着眼点での
話になり、楽しかったのですが、ここでは守秘義務も絡むことから
新しいアイデアの話に限定して紹介しましょう。

彼は、言ってしまえば某米系大手金融機関で、証券化の草分けの方の
チームで働いているのですが、大手なだけにエキゾチックなアセットクラスを
することなく、商売を進めていくことが出来ていたようなのですが、
ここに来て、銀行をはじめとする間接金融が息を吹き返していることから
資金需要のあるところの ABS に対する需要の先細り感があるようなのです。

で、そういった資金需要のあるところとして、ヘッジファンドのようなところの
可能性がどれだけなのか、というのが、まぁ、話のきっかけでした。

ヘッジファンド業界で、証券化のできる可能性のある資産って、そもそも
ありえるのだろうか、というのが疑問でしたが、よくよく考えてみると
次の3つの可能性がありえるだろう、ということになったのです。

1. 投資家の持つヘッジファンドの持分を担保にして資金調達する。
要は CBO/CDO のヘッジファンド版で CFO (Collaterallised Fund (of Funds) Obligation)
2. ファンドが投資家に対してキャピタルコールする時の、ファンドが投資家に対して
もつキャピタルコールの権利
3. プライムブローカーがヘッジファンドに対してレバレッジさせるためにマージントレードさせて
いる際の信用供与を担保として資金調達

さて、3.についてですが、プライムブローカーというと、リーマンブラザーズや
ゴールドマンサックスなど、世に名高き投資銀行さんが多いですので、そこが資金調達を
行うといったときに、日々値洗いの大変なポジションを担保に供出するくらいなら
自分のところの債券発行会社に発行させるほうが全然お手軽でコストも掛からない、
という観点でみると、(某銀行のような自らのアセットを常に売りに出すような
メンタリティが導入されるなどの)よほどのことがない限りないだろうなぁ、ということと、
もし、万が一やった場合に、ヘッジファンドインデックスを見るとわかるのですが、
なんだかんだといっても、ヘッジファンドはみんな同じような相場観を持っているわけですので、
その反対に市場が動いた場合には、マーケットのメルトダウンのような異常事態が
発生するわけですので、マージンコールを行う時には事実上すべてのプレイヤーに
対して行うわけですから、これを裏づけにした場合には、早期償還事由になるけれども
キャッシュはどこにもない。。。という局面がなんとなくイメージできるのです。

上記は、実は2. はアメリカではあるらしいのですが、これに対しても同じで、
投資家に対してキャピタルコールを行うというケースは、実際にはそうそうなく、
また、事実上ファンドに対する投資家の未払いリスクの保証行為と代わらない
訳ですので、ある意味クレジットファシリティの提供になるので、ABCP で機動的に
調達してすぐに返す、ということの繰り返しをどれだけ頻繁に行う、もしくは
ファシリティ分のフィーを取るというビジネスが受け入れられるか、という問題に
なるのではないでしょうか。

んで、そう考えた場合に、一番現実的なのは最近の証券化の時流にもあっている
1. の CFO ということになるのですが、ファンドの投資を行っている投資主体の
資金調達ニーズってどうなんだろう、という根本的な問題にぶち当たるのです。
まぁ、CFO ということですので、投資家に対してリクイディティを提供してあげる、
という、意味で、例えば個人の投資家の事業性資金の融通のために担保として
ファンド持分を、という話とあまり変わらないのかなぁ。。。という見方もあるのです。

実は、あとひとつ大事なことがあるのですが、それは守秘義務に抵触するので内緒、
ということで(笑)

ということで、うーん、ファンドビジネスと証券化、融合するにはなかなか難しいのかも
しれません。
                   http://www.emichanproduction.com/
                          -> "Finance"
<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

さて、この結論から見ると、

「証券化からファンドビジネスには互換性がないのか?」

と思われるかもしれません。が、証券化もファンドもどっち付かずな
私だから、あっちふらふら、こっちふらふら、と出来るのかもしれませんが(笑)

ABS の債券発行主体となるオフショア SPC周りの議論は、実はパッシブ運用する
オフショアカンパニーの使い方の一つでしかない、とか、根底をよくよく見ると。。。
なんて書いていると同業他社さんが増えそうなのでやめよっと(笑)

さて、emichanproduction.com にたどり着く人の半数以上は、検索サイトから
なのですが、最近多いのは事業信託、とか WBS というところで、今時の
はやりというのが何となく見えてくるのですが、前回ご紹介した考察

http://www.emichanproduction.com/nucleus/?itemid=256

でも書いたのですが、また、上記の彼とも話をしていてちょっと考えると

 確かに即物的な担保にお金を貸す事から、将来生まれてくるだろうキャッシュフローを
担保にする、という考え方、は理解するものの、果たしてそのキャッシュフローを生むという
絵自体の実現性、というのは、実はその業を実際に行うオペレーターに大きく依存する、
と考えた場合に、それって、ABS の本来の考え方であったセラー/オペレーターに依存しない、
質の高い担保価値に対してお金を出す、というそれというよりは、オペレーター自身の業に対する
質に対する出資、すなわち、オペレーターリスクを取る方便にすぎないのでは?

と引っかかるのではないかな。。。と。要は、事業にお金をつけるというのは、究極的には
コーポレートそのものに対する無担保、もしくはリコースローンと変わりがないんじゃないの?

という議論ではないのかなぁ。。。と。ま、難しいのでよくわかりません(笑)
これは、引き続き考察して行かないといけませんね。

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールでも、blogに突っ込んでくださいね。

では、また次回お楽しみに。

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はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。


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