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大胆企画 「音楽で食べていく方法」 トライトーン発行 第10号 CM音楽制作会社で活躍しているアーティストたちが 音楽で食べていく方法について語ってくれています。 毎回、持ち回りで各アーティストが音楽の実践を語ってくれます。 その中で、実践していくテクニック、楽しさ、裏話またプロとしての 初仕事、仕事をもらうきっかけ などをもとに どうやって音楽を生業としてやっていくのかを、探っていただければ 幸いです。(正直、我々も仕事を獲得するのに必死で頑張ってます。) 目次 1 音楽の現場から 「カラオケ制作について 3」 横井ラン 2 音作りについて 「第3回 エフェクト 基本篇(エコー)」浅賀順一 3 気になる音楽 「サントラで嗜む極めて私的な映画紹介7」呑舎利 ---------1 音楽の現場から------------------------------------------ 「カラオケ制作について 3」 横井ラン ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 横井 ラン 日本音楽院(現AMVOX)で作曲、編曲を学び、 作曲家 すぎやまこういち氏に師事。 CM音楽制作会社 有)トライトーン設立。 主な作品 ニューバランスTVCM ほか。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 最近、地震が多いですね。関東、特に東海地方は いつ、大地震がおきても不思議ではない状況のようです。 でも、言うだけで真剣に備えている人は私の周りには 一人もいません。これでいいんでしょうか。 それはそれとして、今回はカラオケ制作 の3回目です。 カラオケの使用音源には限界がありますが、普通のCDの音源 には制限がないので、カラオケの音作りにはかなり工夫が いります。よりCDに近づけようとして、エディターのみなさんは 苦労されているようです。 工夫のひとつとして 本来、生楽器では出ない音域のものを発音させ(機械だから できる)それをさらに加工して、よりCDの音ににせよう とすることがあります。ある意味、食べ物屋さんのショーウィンドウ に並んでいる、模擬食品(?)づくりと似たような作業かも しれません。 それから、 原曲のデフォルメが大事なようです。 たとえば、イントロ、インター、エンディングは違和感の あるくらい大きくつくった方が喜ばれたりします。 流れている曲の部分部分の聞かせどころ(聞かせ楽器)を特に しっかり抑えておくというのも必要みたいです。 ある意味、音作りの職人になりたい人は やってみたら、いかがですか。 今回はここまでです。 ---------2 音作りについて---------------------------------------------- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 浅賀順一 東京生まれ AOR、クロス・オーバー、ブラック・コンテンポラリー系の音楽から 影響を受け、 曲作りを始めるとともに都内ライヴ・ハウスを中心に 活動を続ける。 現在はCM音楽制作、フリーで活躍中。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 第3 エフェクト 実践偏(エコー) さて前回エコーについて書きましたが、そのあたりも踏まえまして、 今回はリズムトラックを夏っぽく爽やかに、という感じで 僕がよくやっているドラム+α的な内容を紹介します。 リラックスしていきましょう! 1. まず8ビートのドラムをBPM120で2小節ほど打ち込みます。 音色はなるべくDryな音を選び、リバーブは切っておきます。 2. 次にパーカッション(クラベス)を打ち込みます。 ベロシティ120、位置は2小節目の4拍目で、 スネアとハイハットに重なる位置。定位はセンターでも よいですが、音量バランスはドラムとクラベスの両方の音が ちゃんと聞こえるくらいに設定しましょう。 3. それでは、先ほど打ち込んだクラベスにリバーブをかけましょう。 ミキサーのエフェクトモジュールでリバーブを選択します。 今回はプレート・リバーブを使います。設定値は次に書きましたが、 後にどのような音が重なるかで聞こえ方が変わってくるので、 その都度調整していきます。 Type : PLATE (鉄板リバーブをシミュレートしたリバーブ) Mix : D<W63(エフェクト音のみにしましょう。) Send/Return : (好きなバランスに調整) Pan : Center(パンがある場合、若干左右に振っても良いです。) Reverb Time : 4.0sec Initial Delay : 61.5msec Reverb Delay : 63.1msec (お使いのリバーブがプリディレイのみの場合、 Pre Delay : 125msecにします。) Density(反射音の密度を調整) : 3 Diffusion(左右の広がり感をコントロール) : 8 Er/Rev(初期反射と残響のバランス) : E16>R FB Gain : 3 HPF Freq : 180Hz LPF Freq : 4kHz プリディレイの設定ですが、 実際は空間を広く想定していくにつれ値を大きくしていくのですが、 今回はテンポに合わせBPM120の16分音符分 (約125msec)ずらしてみました。 このプリディレイのタイムを広げる(数値を上げる)ことで、 楽器の音が埋もれずに輪郭がはっきりしたままリバーブがかかる訳です。 いかがでしょうか。つづきは次回ということで。 ---------3 気になる音楽------------------------------------ 「サントラで嗜む極めて私的な映画紹介 7 」 呑舎利 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 呑舎利 (どんしゃり) "呑舎利組合"主宰。 一応音楽の学び舎を卒業しているらしいが、多くを語ろうとしない。 長い修行・熟成の期間を経て、 いよいよ音楽業界へ本格的なダイブを画策中。 「和」を声高に叫ぶ割に、時折妙な日本語が飛び出す。 ラーメンより蕎麦好きなのは「和」どうこう以前に内臓年齢がヤバい 証拠。 ちなみに、実年齢は内臓ほど年老いてはいない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 第7回 『宇宙戦争』(1953 米) 監督:バイロン・ハスキン 音楽:リース・スティーブンス さて、『宇宙戦争』の話。 とても古い作品ですが、リメイクされた事もあり先頃DVD化されました。 レンタル店でも、大きな店鋪には置いてあるでしょう。 比較的簡単に観れると思われます。 ところで皆さん、話題のスピルバーグ版はご覧になりましたか?? 個人的には『インディペンデンス・デイ』などよりは、 人にもオススメ出来る作品に仕上がってると思いました。 ところどころ、音で上手く演出するあたり、さすがのスピルバーグです。 ・・・ただ、御大ジョン・ウィリアムスの音楽は、ちょっと期待外れ。 裏方に徹していると言うよりは・・・手抜き?? 『スターウォーズ』新作と同時期で、手が回らなかったのでしょうか? 演奏者も、とても下手。特に、エンド・ロール曲での金管!! 最近では稀にみる音のハズしさ加減で、 こっちが恥ずかしくなってしまいました。 というところで、今回はここまでとさせていただきます。 ---------------------------------------------------------------- 以上、今回も内容、盛りだくさんでした。 お楽しみいただけましたか。 <<お知らせ>> この度、メルマガに記事を寄せてくれているアーティストら (横井ラン、呑舎利、多美恵)がそれぞれ、 CDを制作、販売することになりました。 実際にどんな音を作っているのか 興味のある方は一度、試聴してみてください。 トライトーン ホ−ムページ CD販売について http://www.mgtry.net/item.html お知らせ終わり。 ================================================ <注意> 「音楽で食べていく方法」に記載した全文は トライトーンはじめ、執筆者が著作権を有するもの であり、固く複製禁止をお願い申し上げます。 ================================================= 大胆企画 「音楽で食べていく方法」 は 来週土曜日、発行予定です。 次号をお楽しみに!! ご意見、ご感想は trytone@mgtry.net まで トライトーン http://www.mgtry.net/ |