|
======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第94回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その24) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。 前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。 古典的な近接作用の理論であるマックスウェル電磁気学では、エネルギーが極端 に偏って配分される現象は説明できません。 そのため、量子論というトリックが必要になるわけです。 そこで、今回から、そのトリックの手口を簡単に説明していきたいと思います。 ただし、一回ではとても説明しきれないので、複数回にわけて説明いたします。 この話は、仮想力線電磁気学自身についての話ではありませんが、遠隔作用と疑 似近接作用を理解する上でとても参考になる話ですので、どうか我慢してお読み 下さい。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 99.偏りが説明できない理由 **************************************** ここで、第77回以来取り上げ続けてきた問題と同様の問題を考えてみます。 [図94] B ○ ○ ○ A C 以前の問題と比較すると、物体Bや物体Cの位置が違っていますが、それ以外は 同じです。 さて、この問題では、エネルギーの大部分が物体Bに配分され、物体Cにはほと んど配分されないという、エネルギー配分の極端な偏りが生じます。 ところが、近接作用の理論であるマックスウェル電磁気学では、そうしたエネル ギー配分の極端な偏りが、説明できないのです。 なぜでしょう? それは、以前も説明したように、物体以外の部分、すなわち、空間にエネルギー が拡散してしまうからでした。 第87回に、こんなイメージ図を描いたのを覚えていますか? [図94・α] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■A■■■■■■■■■■■■■■■■■C■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 物体Bや物体Cの位置等が異なる点を除けば、あの時描いた[図1・α]と同じ です。 そこで、このイメージ図を用いて、ちょうど物体Bがエネルギーを得た時の図を 描いてみましょう。 それが下図(図94・α・2)です。 [図94・α・2] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■□■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■□■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■□■■○■■□■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■□■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■□■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ この図を見れば、物体Bに集中的に配分されるはずのエネルギーが、空間に拡散 してしまっている様子がよくわかると思います。 つまり、この図の□(白ぬきの四角)になっている部分の空間領域にエネルギー を奪われてしまっているために、物体Bは、本来得るはずの大きさのエネルギー を得ることができないわけです。 **************************************** 100.粒子というアイデア **************************************** では、物体Bにエネルギーが集中的に配分されるようにするには、どうしたらよ いのでしょうか? そのためには、エネルギーを拡散しないようにすれば良いわけですね。 つまり、エネルギーを一箇所に集めておけば良いわけです。 上記のイメージ図で表すと、次のようになります。 [図94・α・1’] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■A■■■■■■■■■■■■■■■■■C■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ エネルギーを得た部分を示す□が一個になっていますね。 物体Aから放出されたエネルギーは、物体Aと物体Bとの間の一箇所にのみ、ま とまった状態で存在しています。 この状態で物体Bにエネルギーが伝われば、物体Bに集中的にエネルギーが配分 される現象が説明できるでしょう。 そこで気付いてほしいことがあります。 それは、□が一個だけの状態が、ちょうど粒子のように見えることです。 まるで物体Aから物体Bへ、エネルギーの粒子が放出・吸収されるように見える でしょう。 これが、いわゆる「粒子性」という考え方です。 このように「粒子(性)」という考え方を用いれば、エネルギーが集中的に偏っ て配分される現象が、とりあえず説明できるわけです。 **************************************** 101.粒子の問題点 **************************************** ところが、この「粒子(性)」という考え方には、重大な欠点があります。 まず第一に、エネルギーの粒子が存在する位置の問題です。 これは、エネルギーの粒子が進む方向の問題と言い換えても良いでしょう。 物体Aは、物体Bの位置や存在を知りません。 ですから、物体Aがエネルギーの粒子を放出する際、どちらの方角へ放出すれば 良いのかわからないのです。 このため、エネルギーの粒子の位置も定まらないことになるのです。 これは重大問題です。 ちなみに、図94・α・1’では、物体Aと物体Bとの間に□が描かれています が、これは、問題を解いている人間が、勝手に、エネルギーが物体Bにうまく渡 るのに都合のいいように□の位置を決めつけてしまっているからにすぎません。 つまり、□となる位置を決定できたのは、問題を解いている人間が、物体Bの位 置を知っていたからにすぎないのです。 ですから、本来は、□の位置は決定できないのです。 次に、第二の欠陥は、エネルギーは物体Bだけに配分されるのではなく、ごくわ ずかながら物体Cにも配分されることについてです。 (一個の)エネルギーの粒子という考え方では、エネルギーは一箇所にしか存在 しないことになっていますから、この現象は説明できません。 第三の欠陥は、第二の欠陥と本質的には同じです。 物体Bが物体Cと同じ距離だけ物体Aから離れている問題の場合では、両者に配 分されるエネルギーは同じになるはずです。 ところが、エネルギーが(一個の)粒子の状態で存在したのでは、どちらか一方 にしか配分されないことになってしまいます。 このように、エネルギーの粒子性という考え方には、利点もある一方で、欠点も あるのです。 **************************************** 102.二重性から確率へ **************************************** そこで、この欠点を解決してくれそうなのが、「二重性」という考え方です。 もう少し具体的に言えば、「粒子と波動の二重性」です。 つまり、エネルギーは、波のように拡散した形態で存在すると同時に、粒子のよ うに一箇所に集中した形態で存在する…という考え方です。 そして、これが、量子力学が登場する前からあった量子論の考え方です。 確かに、これだと、エネルギー配分の問題は解消されます。 でも、これでは全くの「二枚舌」ですよね。 エネルギーが同時に全く異なる二種類の形態(それも、ある意味では正反対の形 態)で存在するという、非常に気持ちの悪い話です。 というか、全く矛盾した話です。 そこで、さらに変わった考え方を導入してみましょう。 それは「確率」という概念です。 そして、これこそ、アインシュタインが死ぬまで認めようとしなかった量子力学 における考え方なのです。 次回は、この考え方について簡単に説明しようと思います。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |