メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2005/03/12


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  2005/03/12
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第124号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が
本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●布石

屋久島で3月6日、28年ぶりの平地での積雪。
気温も、5度くらいまで下がった。
一時は小瀬田集落で、道路に10センチほど積もったほど。
麓から見える前岳にも、びっしりと氷の結晶が張り付いている。
うちの猫も、この日ばかりは家から出たく、ニャーィと言いたげだった。

あちらこちらでは、雪だるまが目に付く。
島の子供たちが、おお急ぎで雪をかき集めて、小さい雪だるま大きい雪だるま。
島の人は、3月で雪が降るのは珍しいと言い、観光客は、「北海道より寒いじゃない
か。」と言う。

確かに、北海道にいるみたいだ。
しかし、島に住む年配の方々の話を聞くと、屋久島にも、昔は平地でも雪がパラパ
ラするのは、珍しいことではなかったそうだ。
子供らは、雪だるまを作って遊んでいたという。
庭のバナナが、寒さのため枯れたりもしたそうだ。

この日、屋久島への訪問が初めてだった人は、きっと、屋久島を南国だとは、思わ
ないかもしれない。
私は、北海道の冬の道路の怖さを知っているので、夏タイヤで道路を走るのは、と
ても怖かった。
冬用のスタッドレスタイヤでさえ、凍結した路面は危険なのだから。
もちろん、屋久島には、スタッドレスタイヤなどはない。
ガイドの人やタクシーの運転手の方々などが、タイヤに巻くチェーンを持っている
にすぎない。

屋久島に移住してから、始めてオーバーを着た。
ずっとしまいこんでいたために、樟脳の匂いが一日中鼻に付いていた。
スリップ事故も、あったみたいだ。
途中で雪がひどくなってきたので、私はしばらく待機をしていた。
原集落から宮之浦集落まで行く途中の出来事だったのであるが、原集落は寒いとは
いえ、道路に雪は積もってはいなかったのだ。

この日ばかりは、島の南と北の違いを、思い知らされたことはなかった。
それでも、午後からは日差しが出てきて、あっという間に雪は溶けてしまった。
やっぱり、ここは南国。
しかし、奥岳に降り積もった雪は、当分の間溶けそうにない。
縄文杉登山や屋久杉ランドに行きたかった観光客の人には、残念な旅になったかも
しれない。
その分、28年ぶりの屋久島の雪を見られたのは、貴重だと思う。

小瀬田に住んでいるNさんは、しきりに、「氷河期に向かっているからだ。」と言っ
た。
世間では、地球は温暖化に向かっていると思っているが、Nさんは逆の説を唱えて
いる。
毛糸の帽子をかぶり手袋をして、足踏みしながら「寒いねー、今から鹿児島市に行
くから、オーバーを買ってこようかな。うち暖房器具もないしー」、今後の布石か。

一番心配だったのは、シイタケのこと。
ほだ木が、気になっていた。
1月に、シイの木を手に入れた。
「マテバシイ」という種類。
台風で倒れた木をもらってきて、1メートルくらいの長さに切る。
そこへ、おおよそ6センチ間隔で、シイタケの種駒を、専用のドリルで穴を開けて、
打ち付けていった。
一年後には、シイタケ君が出てくる。

余りにも寒くて、シイタケ菌が死んでしまったのではないかと、心配になる。
「大丈夫だろう。シイタケは菌類だから、何千年もの歴史を生き抜いているから大
丈夫だ。」と、真顔で主人が言うシイタケの種駒は、屋久島の森林組合というところ
で販売している。
そういえば、買いに行ったとき、冷蔵庫から種駒が入った袋を取り出してきたから、
寒さには強いのだろう。
冬眠しているってかんじかも。
シイタケがたくさん取れたら、干しシイタケにする。
種駒を打ち込みながら、布石、布石とつぶやいていたのだった。



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屋久島パイン株式会社   http://www.yakushimapain.co.jp/
発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
本      社       東京都千代田区麹町1丁目8番14号
屋久島支店       鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地
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