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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第87回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その17) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。 前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。 『エネルギーを受け取るもの』に注目してお読み下さい。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 71.空間に対する疑問 **************************************** 前回述べたように、『エネルギーの授受』には、『エネルギーを受け取るもの』 が深く関与してくるものなのです。 ですから、『エネルギーの授受』について考える場合、『エネルギーを受け取る もの』がどういうものかが重要になってくるのです。 そこで改めて、『エネルギーを受け取るもの』が何なのか、考えてみましょう。 遠隔作用では、『エネルギーを受け取るもの』は、『物体』(もう少し正確に言 うならば『物質の実体となるもの』)です。 空間(真空)は『エネルギーを受け取るもの』にはなり得ません。 一方、近接作用では、『エネルギーを放出するもの』と接しているものが、『エ ネルギーを受け取るもの』になります。 ですから、第77回以来取り上げ続けてきた下図のような問題では、物体Aと接 している(微小)空間(領域)が、『エネルギーを受け取るもの』になります。 [図1] B ○ ○ A ○ C すると、ここで、次のような疑問が生じてきます。 (1)空間がエネルギーを受け取るなどということがあり得るのか? (2)もしあり得るとしても、受け取るエネルギーの大きさは、どうやって求 まるのか? これらは近接作用における極めて深刻な問題です。 そこで、これらの問題について考える前に、 『近接作用では、どうしてエネルギーは空間を拡散していくことになるのか?』 ということを考えてみましょう。 これは、一見、関係なさそうなことに思われるかもしれませんが、実は大ありな のです。 **************************************** 72.エネルギーが拡散する理由 **************************************** 上の図1の問題において、物体Aから放出されたエネルギーが空間を拡散してい く(故に物体Bに極端に偏って多く配分されない)ことは、すでに第85回に、 エントロピーの法則によって説明いたしました。 しかしながら、元来、エントロピーの法則は熱力学の概念ですから、ここはやは り、電磁気学的な根拠に基づく説明が欲しいところです。 そこで、なぜエネルギーが空間に拡散してしまうのか、電磁気学の立場から考え てみましょう。 近接作用では空間が『エネルギーを受け取るもの』になるわけですから、図1は 次のようなイメージでとらえることができます。 [図1・α] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■B■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■A■■■■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■C■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 物体Aの周りの空間が■で埋め尽くされていますね。 ここで、ちょっと、お断りしておきたいことがあります。 まず、これら■は無限小の大きさで、しかも隙間無く並んでいる…と考えて下さ い。 また、A、B、Cの文字があるところにも■は存在する…と考えて下さい。 さらに、■は奥行き方向にも存在する…と考えて下さい。 加えて、図に描ききれない外の部分にも■は存在する…と考えて下さい。 つまり、物体が存在する場所以外の全ての空間の部分に■がある…と考えていた だきたいのです。(テキスト・アートの限界上、御了承願います。) さて、■は、空間を無限小に分割したものです。 物理学における微積分計算ではお馴染みの、いわゆる微小空間領域(の一種)で す。 ■は、『物体』ではありません。 故に質量はありません。 ならば、なぜ、こんなもの(の存在)を考えるのかというと、要するに、空間が 『エネルギーを受け取るもの』であることを強調したかったからです。 さて、物体Aのエネルギーは、まず、物体Aと接している■に与えられます。 こうして物体Aはエネルギーを失うわけですよね。 次に、『物体Aと接している■』から、それらと接しているさらに周囲の■にエ ネルギーが与えられます。 すると、そのまたさらに周囲の■にエネルギーが与えられ・・・・・・・・・ ということが次々と連鎖反応的に起こることによって、エネルギーはより周囲へ と拡散していくことになるわけです。 こうした様を、図1・αにおいて、エネルギーを得たところの■を特別に□で表 した図で示すと、下図のようになるでしょう。 [図1・α・1] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□□□■■■○■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□○□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ [図1・α・2] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■□■■■□■■○■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■□■○■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■□■■■□■■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ [図1・α・3] ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■□■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■□■■■■■□■○■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■□■■○■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■□■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■○■■ ■■■■□■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 形がひどく歪んでいますが、これはテキスト・アートの限界からくるものですの で、御了承願います。 とにかく、以上のことから、エネルギーが、物体Aから、より周囲の■へと伝わ っていき、空間を拡散していく様子がわかると思います。 そして、このことから、物体Bにエネルギーが集中して配分されてしまうことが ないこともわかると思います。 ついでに、物体Aから遠ざかるにつれて、エネルギーを得る■の数が多くなり、 そのために、個々の■が受け取るエネルギーは少なくなることもわかると思いま す。 物体は自分と接している■からエネルギーを受け取るわけですから、遠くにある 物体ほど受け取るエネルギーが少なくなる様子もわかると思います。 **************************************** 73.問題だらけの特徴 **************************************** さて、上の■が描かれたイメージ図は、近接作用の考え方を、わかりやすく示し ているものと言えると思います。 しかしながら、同時に、近接作用が抱える重大な問題点をも、はっきりと示して くれるものでもあるのです。 それは、つまり、『空間』というものが有する特徴についてです。 ここで、■が有する特徴について、よ〜く考えてみて下さい。 まず、エネルギーの授受について。 与えられるエネルギーを、そのまま素直に受け取ってますね。 まさに「来るものは拒まず」です。 しかも、自分が得たエネルギーを、これまた素直に全部、他の■や物体B・Cな どに放出していますね。 はたして、そんな『もの』が、この世にあり得るのでしょうか? それを考えると、■は、まことに奇妙な特徴を有するものであると言わざるを得 ないのです。 先ほども述べたように、■は物体ではなく、それ故、質量はありません。 これだと、上で述べた奇妙な特徴の一部については、そこそこ説明できるのかも しれません。 しかし、質量がゼロの存在ということ自体が奇妙です。 しかも、そのことから、以下のような問題(矛盾)が生じてきてしまうのです。 一つ目は、エネルギーを受け取れないことです。 質量の無いものが、エネルギーを有することなどできるのでしょうか? エネルギーを有することができないものは、エネルギーを受け取ることはできま せん。 とすれば、質量を持たない■は、どうしてエネルギーを受け取ることができるの でしょうか? 二つ目は、エネルギー(や作用)の伝達速度です。 質量が小さいものほど、加速されやすいものです。 ですから、質量がゼロまたは無限小ということになれば、加速度は無限大になり ます。 ということは、質量を持たない■がエネルギーを授受するのに必要な時間は、ゼ ロということになります。 そうなると、エネルギーが無数の■、すなわち、空間を伝わっていく速度は、無 限大になるはずです。 よって、光(電磁波)の速度も無限大になるはず…。 でも、これは事実に反します。 三つ目は、物体にエネルギーを与えられないことです。 質量の小さいものほど、質量が(自分より)大きいものにエネルギーを与えるの が困難になってきます。 これは、野球のボールを地球にぶつけても跳ね返されてしまうことからも、おわ かりでしょう。 したがって、質量がない■が、質量をもつ物体(BやCなど)にエネルギーを与 えることは不可能になってしまうのです。 しかも、■の周囲には、質量を持たない別の■が存在するわけですから、物体よ りも、別の■の方がはるかにエネルギーを与えやすいのです。 そのため、エネルギーは、物体には与えられず、別の■に与えられてしまうので す。 これでは、物体Aから物体BやCに作用が伝わる現象が説明できません。 四つ目は、物体Aから■が受け取る(奪う)エネルギーが求まらなくなってしま うことです。 たとえば、物体1が物体2に作用を及ぼしてエネルギーの授受が起こる場合、二 つの物体の質量がわからないと、どれだけのエネルギーが授受されるのかは求ま りません。 その理由は、運動量保存則や、エネルギー保存則を用いて問題を解かなければな らないからです。 運動量保存則 m1・v1 + m2・v2 = m1・v1' + m2・v2' エネルギー保存則 ( 1 / 2 )・m1・( v1 ^ 2 ) + ( 1 / 2 )・m2・( v2 ^ 2 ) = ( 1 / 2 )・m1・( v1' ^ 2 ) + ( 1 / 2 )・m2・( v2' ^ 2 ) もし物体2の質量がゼロ、すなわち、エネルギーを受け取る相手が物体ではない ということになってしまうと、運動量も運動エネルギーも定義できませんから、 これらの式を用いて解くことができなくなってしまいます。 ですから、図1の問題で、■が物体Aから受け取るエネルギーは、この解き方で は求まらなくなってしまうのです。 実は、近接作用すなわちマックスウェル電磁気学では、こうした問題を解くため に、あるトリックを用いるのです。 これについては、次回、説明することにいたしましょう。 このように、■すなわち近接作用における空間が有する奇妙な特徴は、多くの問 題(矛盾)を引き起こしてしまうのです。 このことから、近接作用の考え方は、相当無理のある考え方であることが、おわ かりいただけるのではないかと思います。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |