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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第85回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その15) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。 具体的には、前回の続きで、エネルギー配分が偏る話についてです。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 61.空間という邪魔者 **************************************** 集中・偏在するはずのエネルギーを、広い範囲に拡散させてしまうものは、何で しょうか? マックスウェル電磁気学で、重ね合わせを可能にする根拠となるものとは、何で しょうか? 正しい思考を邪魔するものは、何でしょうか? ヒントは、近接作用では重要な、遠隔作用では不要なものです。 とくれば、もう、おわかりでしょう。 答えは『空間』です。 つまり、『空間がエネルギーを有する(ことができる)』という、近接作用にお ける絶対の前提が、正しい思考の邪魔をしているのです。 そこで、今回から、このことについて、第77回以来取り上げ続けてきた問題を 例にして、説明していきたいと思います。 **************************************** 62.空間とエネルギー **************************************** 近接作用では、作用は空間によって伝えられます。 ですから、エネルギーもまた空間によって伝えられることになるのです。 そして、そのためには、空間はエネルギーを有することができるものである必要 があるわけです。 そういうわけで、近接作用では、このことを絶対の前提としているわけです。 さて、このことから、近接作用と遠隔作用とでは、物体間のエネルギーの授受の 仕方が大きく異なることになります。 遠隔作用では、物体間で直接的にエネルギーが授受されます。 これに対し、近接作用では、空間を介してエネルギーの授受が行われます。 というか、空間を介さないと、エネルギーの授受ができないのです。 ですから、『物体間でエネルギーがどう配分されるか?』ということは、『空間 がエネルギーをどう伝えるか?』ということによって決まるのです。 これは、言い換えれば、『エネルギーは空間をどう伝わっていくか?』というこ とです。 そこで重要になってくるのが、御存知、『エントロピーの法則』です。 **************************************** 63.エネルギーの伝わり方 **************************************** ここで、また、毎度お馴染みの図を御覧下さい。 [図1] B ○ ○ A ○ C 近接作用では、自分と接しているものにしかエネルギーを与えることができませ ん。 ですから、物体Aは、周囲の空間のうち、自分に接している微小空間領域にのみ エネルギーを与えます。 すると、もし、そのままだと、物体Aと接している微小空間領域だけが、エネル ギーがどんどん高い状態になっていってしまいますよね。 一方、エントロピーの法則によれば、空間のエネルギー分布ができるだけ一様に なるように、エネルギーの移動が起こることになっています。 つまり、特定の領域にエネルギーが集中・偏在しないよう、広い範囲に拡散する ことになっているわけです。 というわけで、エントロピーの法則により、物体Aと接している微小空間領域に 与えられたエネルギーは、そこに留まり(集中・偏在し)続けることなく、より 周囲へと拡散していくことになるのです。 こうして空間に広まっていったエネルギーのうちの一部が、やがて物体Bや物体 Cにたどり着き、これらの物体に受け取られることになるわけです。 **************************************** 64.空間が配分を決める **************************************** さて、同じ現象を、今度は、『エネルギーを受け取る物体』すなわち『作用を受 ける物体』の立場から見てみましょう。 具体的には、物体Bや物体Cの立場から、です。 近接作用では、物体は、自分と接しているものからしかエネルギーを得ることが できません。 ですから、物体Bや物体Cは、自分と接している微小空間領域からしかエネルギ ーを受け取ることができないのです。 このため、空間を広がるように伝わってきたエネルギーのうち、たまたま自分の 方へ伝わってきたエネルギーのみを受け取るだけなのです。 このことから、各物体へのエネルギーの配分のされ方は、『空間』によって決め られてしまうことがわかるでしょう。 物体Bや物体Cは、空間が伝えてくるエネルギーを、ただ受動的に受け取るだけ なのです。 したがって、各物体へのエネルギーの配分のされ方は、空間におけるエネルギー の分布の仕方によって決まることが、おわかりいただけると思います。 **************************************** 65.できるだけ平等に… **************************************** ならば、エネルギーは空間ではどのように分布するのでしょうか? それを決める重要なもの(の一つ)となるのが、すでに述べたように、『エント ロピーの法則』なのです。 それによると、エネルギーは、特定の領域に集中・偏在したりせず、広い範囲に 拡散するように分布することになっています。 つまり、できるだけ一様に、平等になるように分布している、ということです。 ですから、各物体へのエネルギーの配分のされ方も、できるだけ平等になるよう な配分のされ方をすることになるわけです。 よって、物体Bにエネルギーが偏って多く配分され、物体Cにはほとんどエネル ギーが配分されないといった、極端な不平等は起こらないことになるわけです。 ただし、いくら「平等に」とはいっても、広がっていけば、遠くへ行くほど薄ま ってきます。 このため、物体Aから遠ざかるほど、エネルギーは弱くなります。 とはいえ、それも、距離からイメージされる程度にすぎません。 ですから、物体Bと物体Cとが受け取るエネルギーの差も、距離の差からイメー ジされる程度のものになるわけです。 **************************************** 66.物体以外にも配分 **************************************** 以上で、近接作用では、エネルギーは集中・偏在せず、拡散してしまうことが、 おわかりいただけたと思います。 と同時に、奇妙なことが起こることにも気が付かれたのではないでしょうか? それは、物体以外の領域、すなわち、物体が存在しない領域にもエネルギーが配 分されることです。 近接作用では『空間』はエネルギーを有することができるのですから、これは当 然の帰結です。 これに対し、遠隔作用では、こんなことは許されません。 エネルギーを有することができるのは、物体(あるいは物質の実体の部分)だけ です。 物体の存在しない領域には、エネルギーは配分されず、故に、存在しません。 物体(あるいは物質の実体の部分)にのみ、エネルギーが存在するのです。 こんなところからも、遠隔作用ではエネルギーが集中・偏在することになるとい うことが、おわかりいただけるのではないかと思います。 実は、こうした違いが、遠隔作用の特徴を理解する上で、非常に重要になってく るのです。 いずれにせよ、今回の話で、近接作用では、エネルギーの配分のされ方が、『空 間』によって一方的に決められてしまうことであることが、御理解いただけたと 思います。 神話の世界にたとえるならば、空間は『神』であり、物体は『神』にもてあそば れる『人間』といったところでしょうか。 そのせいか、近接作用の考え方、すなわち、『場の理論』には、かなり恣意的な ところがあります。 それについては、今後の話の中で明らかにしていきたいと思います。 * * * さて、次回は、エネルギーを有することができる『空間』の、さらなる問題点に ついて説明したいと思います。 具体的には、『作用を受けるもの』の影響に関して、です。 どうぞ、お楽しみに…。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |