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タイトル:Daily Drama Express 2005/01/18 みんな昔は子供だった (2)  2005/01/25


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2005/01/18 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル みんな昔は子供だった
局  名 フジテレビ
放映日時 火曜22時
キャスト 照崎アイ子(国仲涼子)
 矢吹昭平(陣内孝則)
 佐上柾 (瑛太)
 旗ゆかり(白石美帆)
 田所肇 (筧利夫)
 佐上欣也(大杉漣)
 高木ナツ(風吹ジュン)
 矢吹龍平(深澤嵐)
 中村美紀恵(滝沢沙織)
脚  本 水橋文美江

あらすじ  第二話 『泣いてもいいよ』

 自転車に乗り、すっきりと晴れあがった秋の道を走るアイ子(国仲
涼子)。刈り取られた田んぼ道。トンビの声が冴えわたる。
 今日は 山村留学生の授業1日目だ。アイ子は、秋風を胸いっぱい
に吸い込み、「よおーし!」と気合を入れる。

 「おはようございまーす!」
 宿泊センターに、ハイテンションでやってきたのは、教師の田所
(筧利夫)。まだ夢の中の男子をたたき起こすと、次は女子の部屋。
だが、男子と違って既に着替えを済ませていた。
 「部屋入る時は、ノックして」
 とモモ(伊藤沙利)。
 詩音(野村涼乃)の母親は、詩音のことが心配でならないようだ。

 昭平(陣内孝則)が作った朝食に、龍平(深澤嵐)は「レストラン
みたいだ」と 目を見張る。
 「あのねー、龍平くん。うちも一応レストランなの」
 「最初っから こんなに飛ばして大丈夫?」
 「今日だけに 決まってんだろ!!」
 そこにアイ子が やって来た。
 「今日から毎日、こんなご飯が食べられるんですねー」
 と アイ子が料理を誉めると、昭平の態度が一変する。
 「毎朝毎晩、心をこめて 作らせていただきます!!」
 昭平はこう言いながら、怒っている龍平の顔を横目に苦笑い。

 朝食に集まってきた保護者たちは、「(親に捨てられた子が)どう
してここにいるのか」と新(熊谷知博)のことを 気にするが、田所
は「連絡をとっている最中」と説明し、何とか納得してもらう。
 センター長の柾(瑛太)は、元気のない詩音のことを気に掛けてい
る。

 今日は 保護者を交えての模擬授業だ。
 宿泊センターから、田畑や紅葉の山を見ながら 学校までの道を歩
き、30分かけてやっと到着。
 「ここが、みなさんの学校です。今日から3ヶ月、楽しくやりまし
ょう!」
 アイ子が笑顔で話す。

 ―――― 「楽しくやろうね」 そう言いながら、先生はぎゅ
っと 拳を握ってた。その小さな拳の中に 先生のいろんな思い
が詰まってたことなんてこと、その時の僕には 分からなかった
んだ ――――

 森の水分校。
 アイ子は「かりんジュース」を作る授業を始める。
 「先生、これは何の授業なんでしょうか…?」
 風太(高木優希)の母親が口をはさむ。
 アイ子は、「1対1という言葉には、いろいろな意味がある」と話
し始める。同じ長さ、形のチョークは「1対1」だが、形の違う
「1対1」もあると言う。
 「言葉や数の持つ、いろいろな“形”を実感してもらいたいんです。
それは国語でもあるし、算数でもあるんです」
 だが、中学受験を気にする風太の母は不満でならず、それをたしな
める父親と口論を始めてしまう。
 「分かってくれますよね、先生。風太の努力をムダにさせたくない
んです!来年、受験に失敗したら、責任とって下さるんですか?!」
 アイ子は愕然とする。かつて受け持った生徒や保護者から、同じ言
葉を投げつけられた、過去の記憶がまざまざとよみがえってくる。校
長の佐上(大杉漣)や校医のナツ(風吹ジュン)らが 心配そうに見
つめている。
 「大丈夫、ですから」
 アイ子はやっとのことで 笑顔で答えた。

 矢吹食堂。
 昭平と田所の前に 不機嫌そうに座っているのは、宿泊センターの
持ち主である旗じいの孫娘 ゆかり(白石美帆)。仙台の大学で天文
学を勉強しているというが、どう見てもそのいでたちは 水商売風だ。
星の研究のために、あの家を使おうと帰ってきたのに、勝手に宿泊セ
ンターになってしまったことで、研究が出来ないと すごい剣幕だ。
 「私はね、この研究に賭けてんの!」
 「俺だってね、この山村留学に 人生賭けてるんですよっ!」
 田所は ゆかりを昭平に押しつけて、逃げるように帰っていく。

 授業は一段落。ナツがアイ子に駆け寄り、「すっとうつむいてた」
と、詩音のことを口にする。
 「体っていうより、“ここ”の問題かも…」
 と ナツは胸の辺りを指差し、去っていく。
 詩音のことを考えているうち、アイ子は、ふと何かを思いつく。

 職員室では――。
 「聞いてた学校と違いますし、授業内容も違うでしょう? 様子の
よく分からないところに 子供を預けるのは、親としては不安です」
 「そうよね。山村留学と言っても、授業は都会と変わらないと 思
っていたけど。周りが“自然”というだけでサ」
 風太とモモの母親が、不安げに発言するのを じっと聞いていた佐
上がやおら立ち上がる。
 「私は 子供の力を信じています。都会の子もいなかの子も、環境
が違うだけで、本来持っている能力に 変わりはないと思うんです。
要は子供たちに、何を与えることが出来るか ということです。
 この村には、都会にはない良さがある。ここでしか学べないことが
 たくさんある。ここには 子供たちの力を伸ばす何かがある。
――私は そう確信しております」

 ――保護者たちが 職員室を後にすると、佐上はくずおれるように
イスに座り込む。
 「緊張、しました…」
 佐上の言葉に感動していた田所の隣で、佐上は大息をつく。

 アイ子は、紙コップを手に 教室に戻ってきた。そして、子供たち
に糸電話を作らせると、校庭に連れ出した。
 「恥ずかしがらずに話してみてください」
 風太とモモ、新とワタル(糟谷健二)がそれぞれペアを組み、糸電
話を口や耳に当てる。
 詩音と組んでいた龍平と代わって、アイ子が詩音に話しかける。
 「もしもーし、聞こえますかあ? 聞こえたら 返事してくださー
い!」
 アイ子は、根気よく詩音に話しかけるが、詩音の口は開かない。
 何度目かになって、ようやく「もしもし」と 蚊の鳴くような声が
聞こえた。アイ子は コップを地面に置くと、少しずつ 後ろに下が
り始めた。
 「ちょっと声が遠いので、大きな声で話してもらえますかあ?!」
 アイ子は、詩音の本当の声が聞きたいのだ。後ろに下がりながら
「もしもーし!」と繰り返し、どんどん距離を離していく。
 その姿を微笑みながら見ていた柾や 他の子供たちの顔色が変わっ
た――アイ子の下がっていく先は、階段なのだ。アイ子は全く気づく
ことなく、相変わらず 「声を聞かせてくださーい」と 下がり続け
る――と、アイ子の姿が消えた!
 柾と子供たちが急いで駆け寄ると、階段の下で「痛〜い」と土をは
らうアイ子がいた。龍平が「大丈夫?」と言うと、アイ子は Vサイ
ンで答える。みんな笑っていた。詩音も 笑っていた。

 とうとう 親たちが帰る時間になった。
 子供たちは、それぞれの父母と別れの挨拶をする。ワタルの母親は
 いざ別れるとなると心配になって、自分のしてきた水色のマフラー
をワタルの首にまいてやるが、ワタルは迷惑そうだ。
 詩音の母親も心配して 詩音に話しかけるが、うつむくばかりで何
も言わない。アイ子は、そんな詩音に さっきの糸電話を手渡す。
 「その洋服、詩音ちゃんが選んだんですか?」
 と 詩音の着ている空色のジャンパーを指さす。
 「とってもかわいい、似合ってます。これから3ヶ月、おしゃれの
こといっぱい、教えてくれますか?」
 「…はい…」
 コップを口に当てた詩音の口から、返事が聞こえた。母親も「がん
ばれるわね」と うなづく。

 保護者たちは 次々にバスに乗り込む。
 「いろいろ言いましたけど、全部風太のためなんです。先生に預け
たことを後悔するようなことだけは したくなかったんです…」
 風太の母親は、アイ子に頭を下げてバスの中へ。風太はそっと涙を
ぬぐう。
 「何だよ。一番年上なんだからさ。泣くなよ」
 ひやかすワタルに「うるさいな」と風太。

 バスは 行ってしまった。心細そうにしている子供たちの中で、た
だ一人ワタルだけが 元気よくバスに向かって手を振っていた。

 ―――― あの時先生は 一生懸命がんばってたんだと思う。お父
さん、お母さん、みんなの気持ち、全部ひっくるめて 先生は…とび
っきりの笑顔で ぼくらのそばに いてくれた ――――

 「自分の名前を 書いてください」
 アイ子は、名前のシールをみんなに渡し、苗字ではなく 下の名前
を書かせると、下駄箱に貼らせた。アイ子もシールを貼った。龍平は
 うれしそうに笑っている。

 ―――― 今まで 二人だけの下駄箱が、急ににぎやかになった。
それだけのことが ちょっぴり嬉しかった。だけどその時は 考えも
つかなかったんだ。そのシールがいつか はがされてしまうってこと
が… ――――

 佐上が 森の水分校にゆかりを 連れてくる。子供たちはアイ子と
一緒に、にぎやかに 教室の掃除をしている。
 「もう少し、ああいう光景を見ていたいんです」
 「私は 思い出なんかないけどね。自分の通っていた小学校がなく
なる なんて言われてもサ。ま、実際、卒業したら、バイバイなわけ
じゃん?」
 ゆかりは荷物を持って、学校をあとにした。

 バス停へ急いだゆかりだったが、まだ夕方なのに 終バスは3時で
終わっていた。
 「最悪ー!!」
 とゆかりは ため息をつく。
 渓流の水のせせらぎが聞こえ、見渡すとうっすら雪化粧した山並み
が 遠くに見える。その山のふもとに見える『旗じい』の家。ゆかり
は、生まれ育った場所のにおいを吸い込む。

 宿泊センター。
 夕食後、何も後片付けしない子供たちに 若干切れ気味の昭平。

 「親がいないってさ、なーんかワクワクするなあ」
 ワタルと龍平は 男子部屋で寝転がっている。
 「うちんちの母さん、うっるさいんだもん。あーしろこーしろ、あ
れはするなこれはするな…もう、わけわかんねえ。おまえんち、うる
さくないの?」
 「うち、かーちゃんいないもん」
 ワタルは起き上がり「ケータイの番号を教えて」と尋ねる。
 「? ここでは、ケータイ使えないよ」
 と 父昭平に教えられたとおり答えた龍平だったが、ワタルのケー
タイには、しっかりとアンテナマークが3本 写っていた。

 宿泊センターでの夕食が終わり、昭平親子は家に戻った。龍平はへ
そを曲げている。
 ケータイがこの田舎でも使えると分かり、だまされていたと知った
龍平は、昭平のついたウソが許せないのだ。
 「子供にケータイは 必要ない!」
 「買って下さい!」
 「おれおれ詐欺にでもあったら どーすんだ!」
 ――居間の電話が鳴る。
 「龍平? おれ…」
 ワタルのようだ。だが、その後応答がない。
 龍平と昭平は、宿泊センターに急ぐ。

 宿泊センター。
 玄関のガラスを どんどんたたく音に、何事かと驚いて開ける柾。
昭平と龍平、遅れてアイ子が 飛び込んできた。
 ワタルは毛布にくるまって、センターの居間のすみっこに座ってい
た。手には母親の置いていった、マフラーを握っている。
 「我慢しなくていいんだよ。子供は、我慢しなくていいんだよ」
 とアイ子は ワタルのそばに座り、優しく語りかける。
 マフラーを顔に押し当てて、ワタルは声を上げて泣き出した。
 「いっぱい泣いて、元気になろうね」

 ―――― そうなんだ。ふざけてはしゃいでいたけど、ワタル君 
本当はさびしかったんだ。お母さんや、家族と離れて… ――――

 この騒ぎに、他の子供たちも起きてきた。アイ子にしがみついて泣
いているワタルを 心配そうにうかがっている。

 ―――― 今でも思う。誰かのそばで泣けるってことは、そう
いう人がいるっていうことは、ささやかだけど 本当にしあわせ
なこと ――――

 「そうだ、龍平君。あそこに行きましょう!」
 不意にアイ子が立ち上がった。

 寒くないように全員着込み、懐中電灯片手に 夜の道を歩き出す。
今夜は三日月。暗い夜だ。
 薄着で宿泊センターにやったきたアイ子は、昭平からジャンパーを
貸してもらってやってきた。

 丘の上に並んだ 子供たちとアイ子、柾は、星空を眺める。
 「龍平くん、見えますか?」
 龍平が夜空に向かって指をさすと、アイ子が話し出す。
 「龍平くんはね、7等星を見ることが出来るの」
 「それって、すごいの?」
 とモモ。
 「私たちが、普通に見ることの出来る星は、6等星までなの。でも、
龍平くんは7等星を見ることが出来る」
 子供たちは不思議な顔をしている。
 「この村には、ちゃーんと夜がやってくるからです。都会にいると
 いろんな明かりがあって、夜だけど夜じゃないんです。
 龍平くんは、本物の夜空の下にいるから 7等星が見えるんです。
ね?すごいでしょ?」
 龍平は誇らしげに 微笑む。
 「先生もね、いつか 見たいと思ってるんです」
 柾がその横顔を見つめる。
 「…私も 見たい、7等星…」
 と詩音がポツリ。みんな驚いて 詩音の顔を見る。
 「この空は、みんなのお父さんお母さんと つながってます。離れ
てるけど、とぎれてるわけじゃない。だから、頑張りましょう!」
 もう一度、みんな 星空を見上げる。
 「春までに見れるといいね。7等星、見れるよ、絶対」
 とアイ子がつぶやく。

 ―――― とりあえず、大変だった一日は終わった。あの夜みんな
は 同じ空を見つめていた。ぼくは みんなの気持ちが、ちょっとだ
けつながったような気がした ――――


寸  評  昔は格差があったでしょうが、今は子供の環境には ほとんど差
はないと思います。テレビはどこも同じ物が見れるし、ケータイだっ
てつながります。ましてやインターネットとくれば、こちらは何の地
方格差もありません。
 でも、ケータイがなくてもインターネットが使えなくても、子供は
楽しく生活できるはず。それが、本来の子供の姿だったような気がし
ます。
 教育のIT化が叫ばれて久しいです。子供たちの教育に、どんどん
コンピュータが入り込んできてますが、本当にコンピュータが子供た
ちに必要なのか、もっと大事なことはないのか 考えてしまいます。
 7等星の星が見られるサイトは、探せばきっとあるでしょう。でも、
自分の目で実際に見た星とは 絶対に違います。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 都会の夜は、本当に星が見えません。実家はちょっぴり田舎なので、まだ見
えるほうです。夫の実家は、ものすごく田舎(このドラマの舞台に近いものが
ある)なので、すっごく星がきれい。こんなに星があったんだーと 気づかさ
れます。仙台という都会に住んでいるゆかりが、この村に帰ってきた理由がわ
かります。
 ところで 劇中、昭平が「会津磐梯山」の歌を口ずさんでますが、ゆかりの
大学が「仙台」というところを考えると、この村は福島県の会津地方のどこか、
という設定なんでしょうか。(三森)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
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