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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第84回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その14) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。 具体的には、前回の続きで、エネルギー配分が不平等になる話についてです。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 56.僅かな差で大きな差 **************************************** ここで、再び、第77回以来、取り上げ続けてきた問題を思い出して下さい。 [図1] B ○ ○ A ○ C これは、物体Aが、物体Bと物体Cとに、動的な電磁気現象による作用を及ぼす 問題でした。 そして、第80回では、物体Bと物体Cとが、物体Aからそれぞれ受け取るエネ ルギーの量が、大きく異なる(物体B≫物体C)ことを指摘しました。 距離の差から単純にイメージされる差よりも、もっと大きな差が出るのです。 このことから言えるのは、動的な電磁気現象、すなわち、誘導によって生じる電 磁気作用では、条件のわずかな差で、配分されるエネルギーに大きな差が出てし まうということです。 このため、たとえば上の図1の問題では、物体Bが(物体Aからの)エネルギー の多くを奪い取ってしまい、物体Cは僅かなエネルギーしか受け取れないことに なるわけです。 さて、条件の差となるのは、距離の差だけではありません。 第一章で指摘したように、まず、『作用を受けるもの』の質量の差というのがあ ります。 [図1’] B’ o ○ A’ ○ C’ たとえば、上の図1’は、物体B’が物体C’よりも質量が小さい場合です。 受ける作用の強さが同じでも、質量が小さい(大きい)方が、仕事をされやすく (づらく)、故に、エネルギーを受け取りやすく(にくく)なります。 このため、物体B’がエネルギーを沢山受け取り、その分、物体C’が受け取る エネルギーは少なくなってしまうのです。 また、この他に、『作用を受けるもの』に働く拘束力の差というのがあります。 たとえば、下の図1”は、物体B”には拘束力がなく、物体C”には拘束力があ る(を受けている)場合です。 [図1”] B” ○ ○ ┬ A” ├○┤ ┴ C” 拘束力があると、物体Aから作用を受けても、仕事をされづらくなり、それ故、 エネルギーを受け取りにくくなります。 このため、物体B”がエネルギーを沢山受け取り、その分、物体C”が受け取る エネルギーは少なくなってしまうのです。 いずれにせよ、条件の僅かな差により、受け取るエネルギーに大きな差が出てし まうのです。 **************************************** 57.エネルギーの集中 **************************************** さて、そのことが理解できたところで、今度は、作用を受けるもの、すなわち、 エネルギーを受け取るものの数がもっと多い場合を考えてみましょう。 下図を見て下さい。 [図4] ○C ○D ○ ○ A B ○E ○F これは、作用を受ける物体が五つ(B、C、D、E、F)の例です。 物体Bだけが、他にくらべて物体Aの近くにありますね。 このことから、物体Bがエネルギーを沢山受け取り、他の四つの物体は少しのエ ネルギーしか受け取れないことがわかるでしょう。 ならば、これが、下図のように、距離の差がさらにひどくなったら、どうでしょ うか? [図4’] ○C ○D ○ ○ A B ○E ○F 物体Bだけが極端に近い位置にありますね。 このため、物体Bがエネルギーのほとんど全部を受け取り、他の四つの物体が受 け取るエネルギーはほとんどゼロになってしまうでしょう。 すると、これは、まさに、物体Bだけがエネルギーを受け取った現象のように見 えるでしょう。 そして、それはまた、物体Bだけが作用を受けた現象のように見えるでしょう。 それは、まるで、何か『粒子』のようなものが衝突したかのようです。 **************************************** 58.光の粒子性と波動性の正体 **************************************** そう言われると、何かを思い出すでしょう。 そう、光の粒子です。 実は、これが、従来、『光の粒子性』を示すものとされてきた現象の正体なので す。 『光の粒子性』とは、エネルギーの偏在、すなわち、不平等極まるエネルギーの 配分のことだったのです。 別の言葉で言えば、「寡占」、「独占」といったところでしょうか。 また、一つだけが飛び抜けて大きなエネルギーを得ることから、エネルギーの分 布が不連続になることでもあります。 ならば、『光の波動性』とは何でしょうか? それは、もうおわかりのように、エネルギーが集中・偏在するのではなく、広く 拡散するように配分される場合です。 この場合、エネルギーの分布は連続的なものになります。 以上をまとめると、次のようになります。 エネルギーが一カ所に集中して配分される(偏在する)現象が、『光の粒子性』 とされてきた現象の正体です。 そして、エネルギーが広い範囲に拡散し連続的な分布で配分される現象が、『光 の波動性』とされてきた現象の正体です。 このように、動的な電磁気現象、すなわち誘導によって生じる電磁気作用では、 条件次第で、エネルギーが一カ所に集中(偏在)したり、広い範囲に拡散したり するのです。 しかも、そうした違いが、とても敏感に、極端に現れるのです。 このおかげで、『光の波動性』だけでなく、『光の粒子性』も説明できてしまう のです。 つまり、『光(電磁波)』は、実は『波』でも『粒子』でもなかったのです。 一方、動的な電磁気現象を正しく説明できるのは、既に何度も述べたように、遠 隔作用だけです。 遠隔作用の理論である仮想力線電磁気学が、なぜ、光量子という概念を必要とし ないか、これでおわかりいただけたと思います。 **************************************** 59.不平等こそ自然の摂理 **************************************** ここで、どうしても認識を改めなければならないことがあります。 それは、『不平等(になること)こそ、自然の摂理である』ということです。 残酷なようですが、これが自然界、物質の世界の現実なのです。 お金だって、そうですよね。 放っておくと、どんどん貧富の差がひどくなっていきます。 ちなみに、カール・ハインリッヒ・マルクス(1818〜83)は、そうして生じる資 本の偏在により、資本主義(自由主義)経済はいずれ破綻するだろうという問題 提起をしました。 そして、それを防ぐために、私有財産を禁止し、平等な資本配分を行うべきだと いう解決方法を説きました。 これが、いわゆる「マルクス主義」の超初歩的(?)概念です。 もっとも、彼の解決方法は、残念ながら現実世界ではうまいかないことが歴史に より証明されてしまいました。 しかし、問題提起の方は、今でも十分意義があると思います。 いずれにせよ、ここで理解しなければならないのは、 1.不平等になるのが、自然の摂理 2.平等になる(不平等が解消・軽減される)のは、人為のおかげ ということです。 遠隔作用を理解する上で、これは極めて重要なことなのです。 **************************************** 60.思考を邪魔する犯人は? **************************************** しかし、こんなことを言うと、こう反論する人が現れることでしょう。 「それは、エントロピーの法則に反している。エントロピーが増大するように、 つまり、乱雑さが増すように、一様(→平等)になるように、エネルギーは配分 されるものなのだ。」と。 残念ながら、こういう主張は、エントロピーの法則の誤用の産物です。 上で述べたことは、エントロピーの法則に、何ら反しないのです。 と言われると、「ええっ?、どうして?」と疑問に思われる方も少なくないかも しれません。 実は、ここに極めて重要な問題が隠されているのです。 つまり、正しい思考の邪魔をしているものが、皆さんの頭の中に居座っていると いうことです。 では、それは一体、何でしょうか? それは、本来、集中・偏在するはずのエネルギーを、広い範囲に拡散させてしま うものです。 それはまた、第81回で指摘した、マックスウェル電磁気学で、重ね合わせを可 能にする根拠となるものです。(☆お待たせしました☆) 次回は、いよいよ、その正体が明らかになります。 どうぞ、お楽しみに。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |