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タイトル:Daily Drama Express 2005/01/13 H2 (1)  2005/01/20


===================================================== 発行部数   20 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2005/01/13 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル H2〜君といた日々
局  名 TBS系
放映日時 木曜22時
キャスト 国見比呂(山田孝之)
 古賀春華(石原さとみ)
 橘英雄 (田中幸太朗)
 野田敦 (中尾明慶)
 雨宮ひかり(市川由衣)
 木根竜太郎(石垣佑麿)
原作  あだち充
脚  本 関えり香
 山崎淳也

あらすじ  真夏の阪神甲子園球場。強い日差しが照りつけている。スタンド
の大声援が聞こえてくる。「かっとばせ!橘!!」の言葉がこだます
る。スコアボードの先攻に「千川」、後攻に「明和一」の表示。
2−0で千川高校がリード。

 ピッチャーマウンドに国見比呂(山田孝之)。真剣な眼差しで打者
に対している。バッターボックスに橘英雄(田中幸太朗)。射るよう
な目つきで比呂を見据えている。三塁側アルプススタンドから英雄を
見つめる雨宮ひかり(市川由衣)。
 一塁側ベンチでスコアブックを手にしながら比呂を見つめる古賀春
華(石原さとみ)。千川高の野球帽をかぶっている。春華は念じる、
「がんばれ、負けるな」。

 ややうつむき加減の比呂。おもむろに投球動作に入り、渾身の一球
を投げる。その瞬間、春華の手からスコアブックが落ちる。

 二年前の春。「私立千川高校」。サッカー部の部室に入り、ユニフ
ォームに着替える比呂。グラウンドに出ようとして、空き缶が床に転
がっているのを見つけ、それを拾う。そのまま投球モーションに入り、
投げると10Mほど離れたゴミ箱にダイレクトで入る。

 部室を出て歩いていく比呂。グラウンドではサッカー部が練習して
いる。校舎裏では野球愛好会がだらだらと練習している。練習途中に
携帯電話に出て、そのままどこかへ行ってしまう人、隅っこで座って
ただ見ているだけの人……。飲み物を抱えた春華が走ってきて、みん
なに配ろうとするが、うまづいて転び散らかしてしまう。それを見て
も誰も助けようとしない。気まずそうに飲み物を拾い集める春華。

 「私立明和第一高校」。野球部が練習している。部員数が多く練習
風景も真剣そのもの。バッターボックスに入りフリー打撃をはじめる
英雄。1人の上級生が監督のもとにやってきて「監督、新入生のあい
つだけ特別扱いは納得できません」と抗議する。しかしそのときマシ
ンから放たれたボールを英雄は軽々とスコアボードを直撃してしまう。
呆然とする上級生。監督は「あいつにお前のスパイクを磨かせる気か
?」と言うと、「はぁ、すげえ。さすが2年連続中学関東大会で優勝
した4番バッター」と脱帽する。しかし監督は「あいつ一人じゃ優勝
できねえよ」と付け加える。するとその上級生は「そういえば、その
ときの優勝ピッチャーってどこ行ったんですかね?」と言う。その間
も英雄は快音を連発する。その様子を見ている生徒たちは感嘆の声を
あげる。

 グラウンドそばを3人の女子弓道部員が通りかかる。その中の1人、
ひかりが立ち止まり、英雄の打撃を見てうれしそうな表情になる。
 千川高校。箱いっぱいのボールを両手に抱えてよろよろ歩いてくる
春華。つまづいて転び、ボールを散らばらせてしまう。慌てて拾い集
める春華。そこへ「古〜賀〜ちゃん!」と声をかける木根竜太郎(石
垣佑磨)。竜太郎はサッカー部のマネージャーになる件考えてくれた
?と春華にちょっかいを出してくるが、春華は「サッカーはよく知ら
ないし、甲子園が好きだから」とすげない。竜太郎はあんなちんたら
やってる連中が甲子園にいけるわけないじゃんとしつこくつきまとう
が、春華は「いいじゃないですか、夢なんだから」と取り合わない。
その様子をたまたま近くを通りかかった比呂が見かける。比呂は散ら
ばったボールのひとつを拾い、投げる。ボールは見事竜太郎の頭に当
たる。カッとなった竜太郎は犯人探しに行ってしまう。

 春華がきょとんとしていると、比呂が投げたボールを返しにやって
くる。春華はボールを投げて竜太郎を退散させたのが比呂だと知ると、
お礼を言い、またボールを拾い集める。比呂はその様子を見ながら
「うちに野球部あるんだ」とぽつりと言う。春華はボールを拾いなが
ら「やっぱり知らないんだ。うち、愛好会ならあるんですよね。今度
試合もありますよ」とにっこりと言う。比呂は少々困惑した表情にな
る。ボールを拾い終えると春華はもう一度お礼を言い、その場を去っ
ていくが、ボールを入れたかごを置きっぱなしにしてしまい、また慌
てて戻ってくる。

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 −(春華のN)それが国見比呂とのはじめての出会いだった。
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 千川高校。女子テニス部員たちが下校している。その中に長身のロ
シア人留学生がいる。その様子を階段の上から隠れて写真にとってい
る野田敦(中尾明慶)。
 たまたま女子テニス部員の近くを歩いていた比呂がそれを目ざとく
見つけ、「この盗撮魔」とからかう。敦は「取材だよ、取材」と弁解
する。比呂は笑いながら「お好み焼きでも食いにいく?」と言うと、
敦は「おまえのゴチ?」と乗ってくる。比呂が「腹減ってんの?」と
聞くと、敦は「んなわけねーだろ。新聞部なんて暇ネタ集めているだ
けだし」とため息をつく。敦はとなりのクラスの女子が新聞部に入っ
てくれたら彼女になってあげると言われて新聞部に入ったのだった。

 比呂が「腰の調子は?」と聞くと、敦は「だいぶよくなった」と答
える。敦が「肘は?」とたずねると、比呂は表情を曇らせる 比呂の
脳裏に医師から言われた言葉がよみがえる。「君の肘はこのまま投げ
たらあと三ヶ月で壊れる。言わばガラスの肘だ」。肘の曲げ伸ばしを
しながら「快調だよ」と比呂は答えるが、その言葉に元気はない。

 比呂は敦と一緒に下校する。すると肩を落として歩く3人の男の子
に「あんたたち、試合に負けて悔しくないの?今度負けたら絶交だか
らね」と文句を言う女の子を見かける。敦は「昔のひかりに似ている
よな。なあ比呂、俺たち元青南中黄金バッテリー、しょっぱくねえ?」
と言う。比呂は少し動揺するが「今時野球なんてだせぇんだよ」と一
蹴する。敦は背後にいた春華を見かける。春華はカバンを他の男子生
徒にぶつけて中の教科書を散らかし、慌てて拾い集めている。それを
見て敦は「かわいい!」とにやける。

 夜道。仲良く並んで道を歩いている英雄とひかり。ひかりは「どう、
夏の大会にはレギュラーになれそう?」と聞くと、英雄は「俺はお前
を甲子園に連れて行くって約束したからな」と手ごたえを感じている
様子。ひかりが「そういえば比呂、サッカー部に入ったらしいよ。昔
からちょろちょろしていたし、結構向いているかもね」と言うと、英
雄は少し考え込んで「俺が比呂の立場だったらどうしてただろう?」
と言う。ひかりは「英ちゃんなら肘が壊れるまで続けてそう」と代わ
りに答えると、英雄は納得顔で「俺には野球しかないからな」と笑う。

 比呂が家に帰ってくると、父親の太郎(柳沢慎吾)はカレーの作っ
ており、母親の信子(石野真子)はミニチュアセットをホームビデオ
で撮影していた。太郎が「おい比呂、うちの社長令嬢が同じ高校に入
学されたそうだから失礼のないようにな」と言う。太郎と信子がラブ
ラブでじゃれあっているので、比呂はうんざりした口調で「名前は?」
と聞くと、太郎は「古賀……」と答えるが、信子が「おとうさぁ〜ん、
(カレーに入れる)伊勢えびのびてるよぉ」と甘ったるい声で言うの
で、太郎は伊勢えびにかかりっきりになってしまう。やってられない
という気分になった比呂は家を出ていく。

 本屋の前に来た比呂は、中をうかがいつつ、こっそりと店前の雑誌
の袋とじを破こうとする。すると店から雨宮太一(杉本哲太)が出て
きて「お前また袋とじ破こうとしただろ」と注意する。比呂は慌てて
「今日はカレー……」と口走ると、太一は「太郎さん、凝ってるんだ
な」と察しがついたように言い、「おい、さくら(七瀬なつみ)、比
呂の分も用意してやってくれ」と奥に向かって声をかける。さくらが
おたまを手にしながら現れ「比呂ちゃんいらっしゃい。そうだ、比呂
ちゃんが頼んでた本届いているわよ」と言う。この本屋はひかりの実
家であり、国見家と雨宮家は昔から家族ぐるみの付き合いをしている。
太一がサッカーの本を持って出てくる。それを受け取りながら、比呂
は思いついたように「ひかりは?」とたずねる。太一は「今日はまだ
だ」と答える。比呂が店内の時計を見ると19時40分をさしている。比
呂は「ちょっと遅いんじゃない、あいつも一応女だろ」とつぶやく。

 そこへ英雄とひかりがやってくる。比呂が「あっちー」と冷やかす
と、ひかりは「うるさいわね、あんたなんかまた袋とじ破きにきただ
けでしょ」と言い返す。
 そんな様子に英雄は「おまえら相変わらずだな」とやや苦笑いし、
「じゃあ、俺は帰るわ。ひかり、日曜の応援よろしく」と言う。比呂
が「スタメンだろ?」と探るようにたずねると、英雄は「4番だ」と
答える。その言葉に比呂は複雑な表情になる。英雄が去るとひかりは
「あーあ、いい迷惑だよねえ、三軒隣の比呂がうちを松屋か何かと勘
違いしてさ」と言いながら家に入っていく。さくらが「比呂ちゃんも
入りなさい」と声をかける。

 千川高校。英語の授業が行われている。敦はカメラの手入れに夢中
の様子。比呂はだるそうに机に突っ伏しながら窓からグラウンドを見
ている。グラウンドでは体育の授業でハンドボールが行われており、
春華が泥だらけになりながらボールをつかんでいた。その様子を比呂
がぼんやり見ていると、教師が比呂の前に立ち“Is she your 
friend?”と言ってくる。比呂は半分 寝ぼけて「マイ……フレンド…
…マグワイア、サミー・ソーサ(いずれもメジャーリーグを代表する
ホームランバッター)」と答えるので、教師は比呂の頭を思い切りは
たく。

 放課後、比呂はサッカー部の練習をしている。そのそばを用具を抱
えた春華が通りかかる。比呂は竜太郎からボールを奪おうとするがか
わされて転倒し、鼻血を出してしまう。竜太郎はそのままゴールを決
め、得意満面になる。

 比呂が水道場で鼻血を洗っていると、春華がタオルを差し出し「使
ってください」と言ってくれる。血がつくからと断る比呂だが、春華
はかまわないと言う。春華が「サッカーがんばってんですね」と言う
と、比呂はやや戸惑いながら「国立(高校サッカー全国大会の決勝の
会場)目指そうと思って」と答える。春華は「甲子園のほうが素敵で
すよ」と言う。甲子園という言葉が比呂の心にこたえる。
 比呂は「そうか」と言うと、春華は「うちの家族はみんな野球が好
きで、夏はビールに枝豆、そして甲子園なんです」と言う。春華も小
学3年生のとき初めて甲子園に行って感動して以来、自分が甲子園で
プレーしたいと思い、マネージャーの募集もないのに愛好会に押しか
けて入ったほどの野球好きだという。

 自分の説明の後、春華は「そっちは?」と比呂に尋ねる。比呂は
「サッカーは初心者。昔もボール系だけど」と言葉を濁す。春華は
「わかった卓球でしょ。卓球やってた人ってなぜか隠すんですよね。
もてなかったんでしょ?」と勝手に決め付ける。そして「野球やって
ればよかったのに。野球やっている人はみんなかっこよく見えますよ」
と言う。野球、野球という言葉にイライラしてきた比呂はその場を立
ち去ろうとする。春華は「あっ、私1年2組の古賀春華です」と自己紹
介する。比呂は少し困惑しながら「俺は国見……」とだけ言って行っ
てしまう。春華が「お疲れ様です」と声をかけるが、比呂は振り返ら
ない。

 放課後、コンピュータールームの掃除をしている春華たち。女友達
が吉祥寺のパルコに行こうと声をかけてくるが春華は断る。「お金あ
るんでしょ、家お金持ちなんだし」と女友達が言うと、春華はむっと
して「練習に行くんです。明日試合だから。それより応援に来てくだ
さい」と言う。しかし「あんな愛好会が勝てるはずないでしょ。イチ
ローみたいなスターもいないし」と断られる。

 しょげかえる春華に追い討ちをかけるように、試合中止の連絡が入
る。相手の商店街の軟式野球チームの投手がぎっくり腰を起こしてし
まったというのだ。その試合は上級生の引退試合のためのものだった
ので、春華は残念がる。そこへ竜太郎が試合中止の話を聞きつけて
「このファンタジスタ(サッカーのプレーで観客を魅了するスター選
手)の木根くんが助けてあげよう」と言ってくる。竜太郎はサッカー
部が野球部の相手になると言うのだ。試合ができるので、春華は大喜
びしてその申し出を受ける。

 翌日試合前。野球愛好会側のメンバー表には「松坂、上原、小久保、
清原、桑田」と名前だけはそうそうたるもので、サッカー部側はどよ
めく。マウンド上では竜太郎が投球練習を始めるが、スピードが速く
てキャッチャーは捕球できない。
 竜太郎は余裕ぶって「本番は手加減しますから」と捕手に言ってい
るので、春華は「野球を甘く見ると痛い目にあいますよ」と怒る。竜
太郎が「俺が本気で投げたら取れる奴いねえよ」と言うと、比呂が
「俺が受けますよ」と捕手を買って出る。そこへ新聞部が取材にやっ
てくる。その中にはカメラを持った敦もいて、野球愛好会側にいる春
華に釘付けの様子。

 一方で竜太郎は「お前とれるのかよ」と比呂を疑うが、比呂は竜太
郎の速球を簡単に捕球する。しかし投げ返す球はヘロヘロでスリーバ
ウンドする。竜太郎は「まじめにやれよ」と怒り出すが、比呂は「肩
が弱いんだ」と言い訳する。竜太郎はまあいいやといった顔で「よし
試合始めるぞ」と言う。

 そのころ、ひかりは英雄の実家の酒屋に寄っていた。英雄の母親は
ひかりの髪を整えながら「あの子、今朝連行ってんのよ」と言うと、
ひかりは「今日は早く終わるかも」と言い、英雄の部屋で待つことに
する。英雄の部屋には「目指せ甲子園」の張り紙や、リトルリーグや
シニアリーグの表彰状や盾、カップ、そして比呂、英雄、敦らのチー
ム写真が飾られている。

 そこへ英雄が帰ってくる。写真を見ながらひかりは「英ちゃんは小
学校のときから大きかったんだね。比呂なんか私に追いついたの中二
のときだったよ。いつも私の弟に間違えられたし、ユニフォームもぶ
かぶかで着るというより着られているって感じだった」と言う。英雄
は「でも中一の紅白戦だったかな、初めて対決したときそれまでエー
スで4番だった俺が三球三振、ぶかぶかのユニフォームをきたあいつ
が大きく見えたよ」と言う。ひかりは「もう2人の対決って見られな
いのかなあ」と少し残念そうにつぶやく。ひかりは、写真の中で隅っ
こに移っていたひねくれてそうな男の子に気づく。英雄に尋ねると、
英雄は「俺が入るまでエースで4番だった奴だよ。ヒネ?タネ?ヨ
ネ?だったかな」と首をかしげる。

 一方試合は、サッカー部のリードで進んでいた。竜太郎の投球の前
に野球愛好会は三振の山で、竜太郎は「木根マジックに女の子は釘付
けだぜ」と調子づいている。見かねた比呂はバッターに「バットを短
く」とか「脇をしめて」とアドバイスを送り出す。するとそれまでか
すりもしなかったのが、徐々に当たり始める。

 竜太郎は攻撃のときはダラダラ走ってみせたり、守りではわざと無
死満塁の場面にして、そこから三者連続三振を取ったりと完全に手玉
にとってみせたりとふざけきっている。敦は「完全に遊ばれてるなあ」
と何気なく言うと、春華はむっとして「(そういうふざけぶりを)新
聞にちゃんと書いてください」と言う。3回裏を終えて、0−6とサ
ッカー部の一方的な展開になる。

 4回サッカー部の攻撃中、比呂がベンチでぼんやり見ていると、脇
にグラブがあるのが目に入る。3歳の誕生日に両親からグラブを送ら
れたこと、日が暮れるまで投球練習し、ひかりにあきれられたこと、
中学時代の優勝シーン……。目を閉じて無意識に肘をさする比呂。
4回裏野球愛好会側も徐々にヒットが出始め、ランナーが三塁まで達
する。続く打者のあたりは一塁ゴロでバックホームされるが、比呂は
ぼんやりしていてボールが取れず1点入る。春華ら野球愛好会は大い
に盛り上がる。

 しかし5回の表のサッカー部の攻撃で追加点が入ってしまう。タイ
ムリーヒットを打った竜太郎は塁上から春華に「約束は守れよ」と言
い出す。竜太郎はサッカー部が試合に勝ったら春華がサッカー部のマ
ネージャーになるという条件を出していて、春華は試合できるので、
よく考えずにその条件を受けてしまっていたのだ。それを聞いた野球
愛好会の人たちは「俺たち、いつもコールド負けなんだよ」と愕然と
してしまう。春華も気まずそうな表情になり、何も言えない。5回表
終わって1−8。

 5回裏野球愛好会の攻撃。竜太郎はまた四球を連発する。敦は「ま
た演出かよ」とうんざりするが、ふと比呂が投げ返す球に力が入って
いるに気づき、慌てて学ランを脱ぎ、ミットを借りてウォームアップ
し始める。竜太郎が次の打者も四球を出し満塁になると、比呂は立ち
上がり、振りかぶると思い切り投げ返す。その球威に捕球した竜太郎
はのけぞってしまう。どよめくグラウンド内。比呂はキャッチャーマ
スクをとると「1年国見、ただいまをもってサッカー部を退部します
!」と叫ぶ。そしてそのまま野球愛好会のベンチに行き、「1年国見
です。よろしくお願いします」と言う。敦も来て「同じく野田です。
よろしくお願いします」と言う。比呂は「入会早々僭越ですが、俺を
代打に使ってください」と言う。

 英雄とひかりが試合をしているグラウンドの近くを携帯電話をかけ
ながら歩いていた。ひかりは比呂、英雄は敦にかけているが、留守電
で出てこない。2人は電話を切りふとグラウンドを見やる。するとバ
ッターボックスに入った比呂がいて思わず目を疑う。

 竜太郎は「お前もつくづく馬鹿だな」とせせら笑って、比呂に投げ
てくるが、比呂が軽く振りぬくと打球はぐんぐん伸びて満塁ホームラ
ンになる。これで盛り上がった野球愛好会側は続く敦も鋭い当たりを
放つ。しかしこれはピッチャーライナーになる。

 6回表サッカー部の攻撃。マウンド上に比呂が立つ。比呂がただも
のでないと思った竜太郎は慌てて比呂の入部届けの紙を探させる。そ
してそこの出身校に「青南中学」と書かれているのを見て驚く。野球
愛好会の部員も比呂が中学で全国レベルの投手であることを思い出す。
そんなすごい選手であることに春華は目を丸くする。比呂の投げる球
は速くて見えず、サッカー部員ではまったく打てずにすぐ攻撃が終わ
ってしまう。

 7回裏の野球愛好会の攻撃。試合を見ながら比呂が「腰は?」と聞
くと、敦は「悪くねえ」と言う。敦も「肘は?」と聞くと「知らね。
これだけ投げたら最後かもな」と言う。敦が「ひかりが見てたら笑う
な」と言うと、比呂は「あいつひでえんだよ。肘のこと話したら『あ
なたから野球をとったらただのバカ。根性で直せ』って」と言って少
しむくれる。しかし敦は「だからお前は野球をやめられたんだろ。も
しひかりが完全に野球やめろと言ったら、お前は肘が壊れるまでやっ
てただろ。野球しかないお前にせめて草野球できるくらいのノリシロ
を残してやりたかったんだ」と言う。敦は手を握ったり開いたりしな
がら「ちくしょう、お前の球の感触忘れてたのになあ。迷惑だからこ
れで最後にしてくれよな」と付け加える。比呂は「派手に勝って締め
くくろうぜ」と言う。

 比呂の打順になる。春華がバットを差し出し「お願いします、ぶち
かましてください」と頭を下げる。比呂は無言でバットを受け取る。
2ストライク後、比呂は「お前のカーブが見てみたい」と挑発する。
竜太郎はカッとしてカーブを投げるが切れがよすぎて暴投になり、そ
のまま振り逃げで出塁する。続く敦は比呂がカーブをわざと投げさし
たことを見抜いていた。そうすれば竜太郎が次こそカーブでしとめよ
うとする性格だからである。敦はカーブを待ち、それをジャストミー
トしてホームランにする。7−8、1点差。

 試合はそのまま進み、9回裏野球愛好会の最後の攻撃。2死1塁で
比呂に回ってくる。ネクストバッターボックスに出た敦は離れで英雄
とひかりが見ていることに気づき「いたのか……」と驚く。それに気
づいた春華が「誰ですか?」とたずねると、敦は「幼なじみなんだ」
と教える。春華が2人を見やると、ひかりが気づき、春華に一礼して
くる。春華も一礼する。ひかりは携帯をマイク代わりに「解説の橘さ
ん、この場面どうでしょう?」とふると、英雄は「あいつは中学時代、
おれよりサヨナラヒットは多かった。9回のあいつの集中力ははかり
しれない」と言う。

 マウンド上の竜太郎は比呂の研ぎ澄まされた集中力に押されるが、
ふと1塁ランナーのリードが大きいと見るや牽制球を投げる。不意を
つかれたランナーは戻れずタッチアウトとなり、7−8でサッカー部
の勝ちとなる。呆然とバッターボックスに立ち尽くす比呂。

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 −(春華のN)投手国見比呂。高校初登板、4イニング無失点。
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 翌日比呂が登校すると、女子生徒が写メをとってきたりと学校中比
呂フィーバーになっていた。あっけにとられる比呂に、敦が声をかけ
呼び寄せる。壁新聞に比呂と敦の活躍がでかでかと書かれていた。

 昼休みに屋上でパンを食べていると、春華がやってきて野球愛好会
の部員募集のポスターを見せる。敦が「サッカー部のマネージャーに
なったんじゃないの?」と聞くと、春華はけろりとして「サッカー部
全員に焼肉おごったら許してくれました」と答える。そして「これか
ら宣伝して部員を集めていけば部もできるし、甲子園に行けるかも」
とはしゃぐ。そんな春華を見て、敦は「悪いけど、俺は腰、比呂は肘
のドクターストップ。だからあれは俺たちの引退試合」とすまなそう
に言う。水を差された春華が「じゃあ、なんで試合に出たの?」と聞
くと、比呂は「あんな試合、野球の神様に失礼だろ」と言う。すると 春華は「わたし、ラッキーだったんですね、国見くんが投げていると
ころ、ちゃんと見れたんですもんね」と言って走り去るが、立ち止ま
り、振り返って「あの……ちょっとかっこよかったです、野球やって
いるところ」と付け加える。

 春華は雨が降りしきる中、部員勧誘に打ち込み始めた。校舎裏では
雨にもかかわらず愛好会の会員たちが練習に励み始めていた。そんな
様子を見るにつけ比呂は野球への思いが再燃し始める。自宅の部屋で
比呂は無意識にシャドーピッチングをしたりする。

 次の日、春華は野球愛好会の会員募集の張り紙の前に立っている生
徒を見かける。春華は近寄り「入会希望ですか?」と言うが、その生
徒は何も言わず立ち去ってしまう。

 お昼休み。学食で席を探してながら、敦は比呂に「新しい部活決め
た?」とたずねる。比呂が「検討中。そういえば、ミカリン(新聞部
入部を条件につきあった彼女)は?」と聞くと、敦は「終わった。
5股かけてて、本命の大学生がいて。ありえねえ。次は……」と言っ
て、辺りを見ると、テニス部の女子留学生が目にはいる。それを見て
敦は「外人にすっか」と言う。

 そこへ春華がやってきて、2人にコーチをしてほしいと頼み込む。
あの試合以来会員たちがやる気出しているのだと言う。比呂は「(そ
ういう)ガラじゃないよな」と否定するが、敦は「おれちょっと興味
あるかも」と言う。そこへ学食備え付けのテレビから医師法違反で逮
捕された医師のニュースが流れる。その医師の写真を見て、2人は目
を見開いて絶叫する。それは2人にドクターストップをかけた医師だ
ったからだ。

 2人はすぐ再診断してもらうと、ともに異常なしと言われる。ふぬ
け状態で診察室を出てきた2人はそのまま、川原に行ってしばしたた
ずむ。敦は「どうするこれから?甲子園目指すなら転校もありだろ。
明和一高でクリーンアップ復活!って」。しかし比呂は考え込んでし
まう。

 南東京大会が始まり、比呂と敦は明和一高の試合を見に行く。ひか
りも来ていて、2人に「英ちゃんもまたいっしょにやれるって喜んで
た。転校届け早く出しなよ。私が手続き教えるから」と言う。英雄が
打席に入る。初戦の第一打席。英雄は豪快なホームランを放つ。それ
を見た比呂は「幸せだよな、あいつと対戦できる投手は」とつぶやく。
それを聞いた敦は「じゃあ決まったね」と言って、比呂を引っ張り野
球愛好会の練習場へ向かう。

 野球愛好会の練習風景を見て、敦は「これは鍛えがいがありそうだ
ね」と言い、やる気満々の様子。そこへ春華がやってくる。2人を見
るや「怪我なんともなかったんですよね、それじゃあ」と言いかける
と、敦は「これからよろしく」と言う。春華は大喜びし「これで甲子
園も夢じゃないですよね。ありがとうございます」とはしゃぐが、比
呂は「待って、ごめん、俺、やっぱできないよ……」と沈んだ顔つき
になる。

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 −(春華のN)あのとき、国見くんの顔から本当の気持ちは見えま
せんでした。
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寸  評  登場人物の構成に厚みがあるという感じで、予想していた以上に
面白かったです。比呂と英雄を軸にしたドラマだとは思いますが、春
華とひかりにもそれぞれの思いがある。とくにひかりは英雄を応援し
ているけど比呂も気になるという複雑な気持ちを持っていますね。結
構見ごたえがありそうな予感がします。
 それにしても、怪我が誤診とは……。たしかに2人とも野球をあき
らめる怪我を負うというのは不自然なので、そういうことかと言う感
じではありますが。原作を見てないのですが、原作もそういう展開な
んでしょうか。

執 筆 者 ケン()

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2. 編集後記
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 お正月の間はラグビー大学選手権を見てたりしました。1/2の準決勝、1/9の
決勝とも国立競技場に3万人入ったようで、ラグビー人気もなかなかなもので
す。スポーツは野球、サッカー、テニスが主流ですが、学園ものでラグビーも
加わってこないかなと思いました。(ケン)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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