メルマガ:仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
タイトル:仇花の記憶 05/01/20 74号  2005/01/20


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第二巻二回  卵と鶏
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
ではゆるゆると綴らせて戴きましょうか。

書店に行く度に溜息を吐いてしまうのは、本当
に増えてしまった同人誌再録アンソロジーの出
版点数でございます。漫画に特化した書店でも
かなりの数が置いてありますが、同人誌と言う
ものに縁も縁も無い様な巷の書店にまでアンソ
ロジーが配本されているのを観ますと、何とも
言えぬ複雑な思いが湧き上がって来ます。ここ
迄市場が成長したのかと言う感慨と、同人誌の
存在を知らない一般の方に申し訳ない様な、そ
う言う想いです。

今でこそほぼ完全な同人誌の再録で内容が賄わ
れている感のあるこれ等のアンソロジーですが、
一時期、アンソロジー用の書き下ろしなるもの
で紙幅が埋まっていた事がございます。その為、
同人誌アンソロジーに作品掲載=プロ作家との
短絡思考が生じたらしいですが、それは少し勇
み足と言うものでしょう。
同人誌アンソロジーに作品が半ば常連的に再録
されている(また連載の様に続き作品が巻を跨
りつつ再録されている)方でもスタンスは分か
れます。オリジナルを描く様になってプロへの
転向を図る方。一足踏み出せばプロへの道が開
けると傍目には見えるのにあくまでも同人と言
う場に留まる方。
いずれの方法が正しいとも筆者には断言しかね
ます。それぞれ作家さんが選ばれた道ですから。
現在では同人と言う現場に踏み止まった作家さ
んの存在に配慮してか、ふゅーじょんぷろだく
と社とHILAND社で作家さん毎の同人誌ベストな
るものが発行されて居ります。こう言う動きが
各社に広がるか否かはまだ未知数ではあります
が、一つの可能性を示唆するものでしょう。そ
の作家さん毎のベストシリーズからなお外れて
いる大物と目される方もいらっしゃるのですけ
どね。作家さんご自身の自体か大人の事情かは
定かに判断しかねますが。

さて、続々と発行される同人誌アンソロジー、
市場は安定している様なのだからいっその事雑
誌形式にすれば販売単価が下がってもっと回転
が良くなるのではないか、と皮算用なさった方
もひょっとしたらいらっしゃるかも知れません。
実は筆者も皮算用致しました。一冊毎の単価に
泣く人も多いでしょうし。
但し、単行本と言う形式も利点になる部分は大
きいのです。保管と言う観点から考えると雑誌
形式よりも紙質が良い訳ですから劣化が起こり
難く、また流通と言う観点から考えると在庫管
理がし易くなる。ISBNコードが適用できますか
ら。
二次創作と言う内容が内容ですから雑誌化はか
なり難しい事なのでしょうけど、ここまで市場
が発展してしまうとつい皮算用の夢も見てしま
うものなのです。

同人誌アンソロジーが何故浸透したか、をふと
考える事があります。
発行された当初は通販カタログの延長線上の存
在であった、と思うのです。少なくとも草創期
の同人誌アンソロジーの現物を見ていた限りで
は。
が、版を重ねる毎に版元さんの意識がカタログ
製作から作品集を編むと言う方向に流れて来た
様に思います。その明確な発露が何時だったか
は指摘し難いですが、記憶を辿る限りではキャ
プテン翼及び聖闘士星矢の波の中期辺りではな
かっただろうか、と。サムライトルーパーの辺
りではまだカタログ意識が混在していた様に見
受けられます。少なくとも るろうに剣心やONE 
PIECE・封神演義辺りで既にカタログ的な気配は
消えていた様です。
版元さんが作品集的な意識でアンソロジーを編
み始めると、作家さんや読者さんの意識も変わ
ってきます。アンソロジーが数多の同人誌ベス
ト版で在るかの様に受け止める意識が生まれた
としても不思議では無いでしょう。
ただ、選ぶのも編集さんと言う人間なんですけ
どね。同人誌を熟知している編集さんが選ぶベ
ストと、そうでない編集さんが選ぶベストとで
はまた趣きも違って来ようかと。選択条件に
「(判型その他から考えて)本にし易い作品」
と言うものもありましょうし。
これからまだまだ同人誌アンソロジーは増えて
いくのでしょう。その度色々な課題を生み出し
つつ。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二巻二回 2005.1.20発行

文責:葡萄瓜XQO
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